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遠足13

「ねえ?君?起きて」

「ん?」


 俺はいつのまにか寝ていたようだ。

 どれほど寝ていたかはわからないがとりあえずソファーから身を起こして、まだ寝ぬたげな眼をこする。


「起きた。疲れているのに起こしてごめんね。君の親御さんへ連絡したいのだけどお家の番号を教えてくれないかな?ご両親の携帯の番号でもいいんだけど」


 目を開けると婦警さんが前かがみの状態で番号を聞いてきたのでスカートやブレザーのポケットをまさぐるが、スマホをがない。

 バスの事故で落としたのを忘れていた。

 それと今の状態で親と顔を合わすのは非常に不味いのでなんとか誤魔化すことができないか考える。


「スマホが無い。落とした」

「スマホを落として無いの?ソファーのしたとか落ちてないわよ。家の番号くらい覚えていないの?今頃親御さんも心配しているよ?」

「うーん。電話帳に登録しているから覚える必要がないから覚えてこなかった」


 あたかも寝ぼけているように振舞いながらも婦警さんの質問に答えていく。婦警さんは俺を心配しているのか俺の隣に座った。

 この婦警さん、俺のことなんかほっといてどっか行ってくれないかな?


「ーちゃん、こっちの資料お願い」


 受付の方から婦警さんにお声がかかった。


「呼ばれちゃった。ごめんね。君の同級生の救助で出払っていて人がいないの。ちょっと行ってくるね」


 同僚に呼ばれて行ってしまった。これはチャンスと思い自身にかかっていた毛布をソファーの上に畳んで置いといた。


「さてと行くとしますか」


 警察署から出ていこうとしたら丁度通りかかった俺を警察署まで運んでくれたバイクの女性とアイちゃんと呼ばれたバイクのサイドカーに載っていた少女とバッタリ出会った。


「この子はさっきの」

「おお!マヒルちゃん具合大丈夫?」


 悪いタイミングで出会ってしまった。これじゃあテレポートで帰れない。


「まあ、おかげさまで、それと保護してくれてありがとうございました」


 俺は二人にぺこりと頭を下げて感謝を口にした。


「いいの。困ったときはお互い様でしょ?土砂崩れに巻き込まれるなんて君って不運ね」

「それで貴女ここで何しようとしているの?そう、島?そこが貴女の家なのね」


 アイちゃんと呼ばれた少女は目ざとく俺を睨んで何か納得した表情をした。

 彼女は何かブツブツ呟いている。

 俺にはどうでもいいことなので二人をあしらってシャワーでも浴びたい気分だ。


「同級生のことは警察の人に任せて僕は家に帰ろうかなって思って、スマホも落としちゃったから家族に連絡できる手段もないから」


 声を震わせながらも今しようとしたことを話した。テレポートのことを伏せて。

 アイちゃんは同級生が森の中で救助を待っている中で俺だけが帰るのは薄情と思ったのかな?


「そんなに目を泳がせなくても大丈夫だよ。貴女の事情は察したわ」

「近くにいいとことがあるみたいだから付いてきて」


 何故か俺は銭湯に連れられた。

 警察署から二人に両手をがっちり掴まれてここまで連れて来られたが、隙が無くテレポートできなかった。


「びっくりしたでしょ?ここの銭湯朝から開店しているのよ」

「朝は男湯が混むらしいけど女湯はガラガラらしいよ」


 アイちゃんは片手にスマホを持って今知ったことを言う。

 ちらほらお客さんがいるが全員夜勤帰りと思われるオジサンばかりで女性客が見当たらない。女湯が空いているのは本当のようだ。

 三人で女湯の暖簾を潜り、脱衣所に行く。


 今更女湯に入るのは抵抗はない。海水で髪がパサパサして始めたからお湯で髪の毛を洗いたかったから入りたかった。代金も彼女達が払ってくれたからむしろ感謝している。

 ただ、彼女達は西野とかいうストーカーの仲間だ。怪しさ満載だ。

 タマコみたいにヘルメスさんファンだったとしても素顔を隠しているのになぜバレたのか。体型だって全く違うのに。


「そう警戒しないの私達は貴女を取って食おうとしていなくて、ただ仲良くしたいだけよ。私達と貴女は同じ穴のムジナだからね」


 アイちゃんは微笑みながら俺に語りかけてくる。

 同じ穴のムジナ?どういう意味だ。

 俺と彼女達は接点も共通もない。間には何の関係はないはずだ。

 ますます怪しく見えてきた。まさか、俺の超能力を見て近づいてきたのか。

 そんなヘマをさらした覚えはないが、人目はどこにあるかわからない。ネット上に出回っているヘルメスさんの写真は全部盗撮写真だし。

 まあ、大人しく温泉に入れば彼女達は満足するだろうから銭湯から出たら帰らせてもらえるだろう。


 服をロッカーに入れて、いざ風呂場に行く。


「胸を意外とあるわね」

「マヒルちゃんの頭洗ってあげる」


 と二人は甲斐甲斐しく俺に話しかけて、背中を洗ってもらったりしてもらった。アイちゃんは俺の胸を恨めしそうに見てくるのはスルーしよう。


「待って僕達、今日初めて会ったのになんでこんなことまでしてくれるのさ?」

「なんでってねえ?」

「私達はもう仲間、友達になった」

「友達って、僕はアナタ達の名前知らないのに友達の関係じゃないでしょ?」


 俺は彼女達と初対面はずなのに彼女達は友達のように接してくる。

 しかも俺は彼女達の名前すら知らないのに友達のように接してくると恐怖すら覚える。なんで初対面のはずの俺に?


「私はミナ。よろしくねマヒルちゃん」

「私アイコ。よろしく」


 彼女達はそう名乗った。

 そういうことじゃないっと俺は心の中で叫んだ。

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