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遠足7

 ゲームセンターの中は少し薄暗い。ゲーム機の画面を見やすくしているのだろう。

 俺達以外には複数の男子生徒の姿を見かけた。個人でぽつんと格ゲーや音ゲーで遊んでいる。


「マヒルー!こっちーだよ」


 彼らはアトラクションで遊ばずにこんなところで時間を潰しているのを見て見習いたいと思っいるとタマコが手招きしてきた。

 俺も彼らのようにボッチライフを楽しみたいが、そうはいかないか。


「このぬいぐるみ可愛いよ!どうやるの?」

「メダルを入れるとやれるみたいだね。どこで買えるんだろう」


 俺もミキミ達がいるクレーンゲームコーナーに向かうとミキミとルカがクレーンゲームの前で困っている様子であたりを見回していた。

 クレーンゲームの投入口にはお金を入れないでメダルを入れてくださいと書かれていたのでおおかたどうやってゲームができるか困っていたのだろう。普通のゲームセンターのクレーンゲームはお金を入れて遊べるが、ここのクレーンゲームは専用のメダルを入れて遊ぶようだ。


「ほれ」

「ありがとう」

「このメダル何円だったの?」

「別にいいよ。対して高くもなかったし」


 近くに設置してあったメダルと両替ができる自動販売機で二十枚ほどメダル買ってミキミ達に五枚づつほど渡した。ルカが財布を取り出そうとしたので手で制して止めた。

 自動販売機には二十枚で千円、百十枚で五千円、二百三十で一万円、両替のボタンがあって俺は千円入れて二十枚のボタンを押した。

 これが一番安かった。限られた残りの時間で百枚以上も使えないし、二十枚くらいで十分だろう。

 だけど千円で二十枚は高いのか安いのかわからん。足元一枚メダルが落ちているし、拾っておこう。

 拾ったメダルを制服のポケットに入れた。


「マヒルちゃん、これやるね」

「ああ」


 俺からメダルをもらったせいか律儀にゲームやると言うミキミに軽く答える。

 ミキミがやるクレーンゲームは可愛い動物ぬいぐるみのクレーンゲームの中で乱雑に詰め込まれていた。

 詰め込まれたぬいぐるみを取るのは素人には難しいだろう。てか、取らせる気がないのは見え見えだが、超能力を使えば簡単に取れる。

 ミキミが欲しいなら念力を使ってクレーンが取ったように見せかけて取れる。


「取れないよ」

「もうミキミちゃんクレーンゲームは取りたい物の位置を把握してから取るゲームだよ。そんな大盤振る舞いな感じでやる物じゃないよ」

「ううー。このぬいぐるみが欲しいよ」


 一瞬で渡したメダルをとかしたミキミはクレーンゲームのウィンドウの向こうのぬいぐるみを見つめていた。


「じゃあ、私が取ってあげる」


 とルカが名乗りを上げた。

 それから三十分後。


「さっきまでの勢いはどこいったのさ?」

「タマコだって取れてないじゃん」


 ルカもタマコも渡したメダルを使い果たしてしまった。

 俺の番が回ってきたわけだが、ルカ達同様に俺も四回も失敗している。次で五回目だ。


「マヒルちゃん頑張って」


 ミキミは応援してくれるが、俺はそこまでぬいぐるみが欲しいわけじゃない。しかし、ここで諦めたらなんか負けた感じがして諦められない。超能力も使うのも同じく諦めたみたいだと思うから使っていない。


 五回目のクレーンを動かしてミキミが欲しがっているぬいぐるみの位置に移動させて下ろす。

 クレーンのアームが閉じてぬいぐるみの腕に引っかかる。アームが上に上がってぬいぐるみの腕を引っ張るがクレーンゲームの中が詰め込み過ぎているのか中々持ち上がらない。

 そしてぬいぐるみの腕がアームからすり抜けてまた失敗。


「取れると思ったのに」

「惜しかった」


 ルカとミキミが口々に言う。


「まだチャンスはある」


「「え?」」


 諦めるにはまだ早い。

 ポケットから先ほど拾ったメダルを取り出して投入口に入れる。


「まだ持っていたんだ」


 とタマコがボソッと言ったのを聞きながらアームを操作させる。

 ボタンを押してアームを降下させてぬいぐるみを掴むところが。

 がしゃんと音を立ててアームが落ちた。


「嘘だろ」

「あちゃーまたか」


 俺達の中に困惑が流れた。

 そこにたまたま通りがかったスタッフのお兄さんが来た。


「お姉さん達ごめんねー。この機体少し古いタイプだからさー。アームが落ちちゃうんだよね。お詫びに欲しいぬいぐるみをあげちゃうよ」


 スタッフのお兄さんは馴れ馴れしく語りながら腰に下げた鍵束でクレーンゲームのウィンドウを開ける。


「んで、どれが欲しいの?」

「え?その猫のヤツでお願いします」


 急にスタッフのお兄さんから言われ、戸惑って誰も答えないから、ミキミが欲しがっていたぬいぐるみを指した。


「はい、これね。他の子は何が欲しいの?これとかかわいいよ」


 スタッフのお兄さんは俺達にいいところを見せたいのか太っ腹なことを言ってぬいぐるみを差し出してきた。

 全員分のぬいぐるみをくれるようだ。


「じゃあ、全員同じものをお願いします」


 タマコがそういって三個のぬいぐるみのスタッフのお兄さんから受け取っていた。


「ふふふ、みんなおそろいだね」


 ミキミは嬉しそうにぬいぐるみを抱いた。

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