表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
34/197

遠足2

 小学生の頃に誰かが「遠足は家に着くまでが遠足だ」と定番を叫んでいた。小学生特有の無邪気さゆえの言葉だったのかもしれない。

 ボッチでいたいと思う俺にとって遠足というのは退屈で億劫なイベントだ。

 高校生になった今もそれの考えは変わっていない。

 回りのクラスメイト達はバスの中で楽し気にワイワイと騒いでいる。一部は寝ていたり、車酔いでグロッキーなクラスメイトはいるものの俺みたいに遠足なんかって思うクラスメイトおろか、他のバスに乗る同級生はいないだろう。


 同級生と言えばミキミだ。

 ミキミとはクラスが別だから同じバスではないが、バスに乗っている。

 噂をすれば、ピコン!とスマホに通知が届く。

 見たらやはりミキミからのメッセージだった。それを反応するかのようにタマコやルカが続けてメッセージが届く。

 メッセージを確認するために、ミキミに招待されたメッセージアプリのトークグループを開いた。

 3人の少女達の他愛もないトークが見れた。ただそれだけだ。

 俺は寝ていることでメッセージを送らずにトークグループを閉じた。


 隣で寝ているクラスメイトの耳から漏れる音漏れの音楽に耳を傾けながらバスの窓から見える山景色を眺めた。

 音漏れは大音量で聞いているのか、それともイヤホンが安物の粗悪品なのか少しうるさいが、鼾をかかれるよりかはマシなので我慢している。

 こんなことなら俺もイヤホンを持ってくればよかったと後悔した。


 経費削減の為か、高速道路を使わず、隣の市にある遊園地まで一般道路を使って向かっている。そのため過疎化が進む村を抜けて森と山道を走っている。

 目的地の遊園地まであと2時間と言ったところだろう。


「もう少しパーキングエリアで10分休憩するぞ。トイレに行きたい奴は行ってこい」


 担任がもうすぐパーキングエリアに到着すると事務的に告げた。

 高速道路じゃない限りド田舎の山道にパーキングエリアは無い。この先にあるのはトイレと自販機しかない山の光景を眺めるだけの駐車場だ。

 そんな場所をなんて分からないからパーキングエリアと呼んだのだろう。

 俺は行く必要がないが、バスのエアコンから出るかび臭い匂いと人が密集した匂いが混ざりあったなんとも言えない匂いと長時間同じ態勢でいたから腰が痛みだしたので外の空気を吸いにバスを出た。


 駐車場には俺や同級生が乗るバス群の他に車やバイクがちらほら見える。


 身体をほぐす為に散歩がてらのんびり周囲を歩いた。

 この駐車場はツーリングやドライブの休憩スポットで東屋みたいな屋根がついたベンチやテーブルがあった。

 自販機でジュースを買ってベンチに腰掛けて山景色を眺めた。

 眺めたのはいいが、空は鈍い色の雲が覆っているから綺麗な景色とは言えない。

 台風が近づいているから天気が悪い。今回の台風は日本の手前で西に逸れるらしいから雨は降らないだろう。


 空を眺めて雨は降らないだろうとフラグを立てたらポタポタと小雨が降りだした。

 ここで降り出したと言うことは遊園地でも降っているかもしれない。せっかくの遊園地での遠足が台無しだ。

 遊園地を堪能しない俺には関係ない話だ。

 今は小雨でも帰りは土砂降りで帰る羽目になるだろうか。


 ジュースを飲み終えてベンチから立ち上がるってバスに戻ろうとしたら、バスが走り出した。


「あー置いて行かれたわ。まっいっか」


 出席は今朝出席を取ったから欠席にはならないだろう。

 無人島にテレポートをしようとしたら。


「君ちょっといい?」


 眼鏡をかけたインテリ系の大学生くらいの青年が話しかけてきた。

 人が少ないとはいえ誰かが見ているかもしれないのにテレポートをしたら都市伝説になるが、すでに俺は都市伝説ていうか奇人みたいな感じでネット上で有名になっているが。


「君さっきのバスに乗っていたでしょ?」

「ええ、それがなにか?」

「困っているならバスを追いかけるけど?」


 青年は俺がバスに置いて行かれて困っていると勘違いをして親切心で話しかけてきたみたいだ。


「俺は別に困っていないです。俺のことなんてほっといくれていいです」


 本当に困っていない。その気になれば目的地まですぐに行けるから青年の心配は杞憂にすぎないだ。

 青年が俺の前から去ってくれれば家にも帰れるし、無人島にも行ける。


「私のことを警戒しているかな。知らない大人に話しかけられたら警戒するか。大丈夫。私は君の見方だよ。ってこれだと不審者か」


 はははと青年は笑う。


 俺に話しかけた時点で不審者だ。

 笑う青年を見上げて早く去ってくれないかと願っているが、一向に青年は去ってくれない。

 この人百万円を渡したら俺の前から消えてくれるかな?

 変なことを考えていると。


「私のバイクで送るよ?」


 指した先には青年の愛車であろうバイク『ニンジャ250』があった。それもヘルメットが二つもある。

 どう見ても誰かと来ている風だった。ますます青年のことが怪しく見えた。


「いいえ、大丈夫です」

「遠慮も心配しなくていいよ?ちゃんと送るって」

「大丈夫って言っているでしょ!」


 青年が優しく俺の手を引いてくるが、あまりにもしつこかったので乱暴に青年の手を振りほどいてトイレに逃げた。

 俺は多目的トイレに入り無人島へテレポートした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ