観覧車3
旅行楽しかった。
ゴンドラが地面に引き寄せられるように落ちていく。
「グエっ!」
そんな中でゴンドラが重力に習って落ちた衝撃で中に乗っていた俺達はゴンドラの天井にたたきつけられた。しかも俺が三人の少女達の下敷きになった。
そのおかげで念力でゴンドラを止めることができていない。
「キャアァァァ」
誰かの悲鳴が聞こえた。
その悲鳴が誰なのかわからない。
ゴンドラの天井にたたきつけられて意識が朦朧としている。どうやら頭を強く打ったみたいだ。
この状態でうまく念力を使うことができない。だんだん意識が遠くに行くのが手に取るように分かる。このまま死んでしまうのではないかと微かに残っている意識で考えていると。
ゴンドラが落ちている間は何故か、ゴンドラの中も外もスローモーションになっていた。これを走馬灯で言うのか。でも後悔もやりたかったことも思い浮かばない。ただ「死ぬのかな」と一言の言葉しか思い浮かばない。
ガン!
強い衝撃ともに激しい音がゴンドラ内に響いた。
「止まった?まだ、落ちてる!?今度は何よ?」
「下にあったゴンドラにぶつかったみたい」
俺達が乗っていたゴンドラが下にあるゴンドラにぶつかったようだ。
それでも俺達が乗るゴンドラは落ちるのは止まらない。それどころか、ぶつかったゴンドラもぶつかった衝撃で落ち始めた。
俺が朦朧としている間に被害がどんどん拡大していく。
俺は残った意識の中で無理に脳を覚醒させて念力を行使して俺達が乗るゴンドラの落下を止めた。それとゴンドラにぶつかったゴンドラも落ちたのでそれも泊めている。
後はゆっくり地面に下ろすだけ。
それと心配なのは他にゴンドラ落ちてこないよね。二度あることは三度あるってことわざがあるが、本当に落ちてこないよね?
「今度こそ止まったわよね?」
「みんな!外を見て!ゴンドラが浮いている!どこかにヘルメスさんがいるの?」
落下していたゴンドラが止まった安心するルカとゴンドラが宙に浮いていることに気づいて近くにヘルメスさんがいると思ってかゴンドラの窓から外を眺め始めたタマコ。ルカとタマコは案外大丈夫そうだ。
ミキミは俺の胸に顔を埋めて抱き着いている。
俺を守る為に抱き着いているのか、それとも近くにいたから無意識に抱き着いたのかわからないが、見た限り怪我をしていなさそうだ。
「みんな大丈夫?怪我とかしてない?」
俺はミキミの頭を優しく撫でながらルカとタマコに問いかけた。
「うん。私は大丈夫」
「そんなことよりもヘルメスさんを探すの手伝ってよ。これヘルメスさんの仕業だと思うからきっと近くにヘルメスさんがいるさずだからさ探してよ」
その言い方だとゴンドラが落ちたのも含めてヘルメスさんである俺のせいだと聞こえるからやめてほしい。その探しているヘルメスさんはタマコが尻を向けている先にいるんだけどな。この子はブレないな。
地面にゆっくりとゴンドラを下ろす。
ゴンドラが落ちたことで怪我をした人はいない。俺はゴンドラの天井にたたきつけられたけど、その時できた傷はすでに治した。だから今回の出来事の怪我人はゼロだ。
てか、ゴンドラが落ちたのってメンテナンスの不備だろ。乗る前に観覧車のスタッフらしき人物が観覧車のメンテで揉めていたからきっとそうに決まっている。
落ちたゴンドラの乗客の中にトラウマを植え付けられた人いるだろ。小さい子ならトラウマになって高所恐怖症になっているだろう。
運営側に訴えたら確実に勝てるぞ。
ゴンドラに乗っていたのは俺達とぶつかった方に乗って人は二十代の男二人組だった。
よほどビビったのかその男二人組はゴンドラから降りて地面にキスをしていた。
「マヒルちゃん。私、観覧車はもういい。高いところも無理。しばらくこうさせてお願い」
ゴンドラに降りてもミキミは俺から離れずに寄り添っている。地面に腰を下ろしてミキミはまた俺の胸に顔を埋めて弱弱しくそう吐いた。
ミキミはトラウマになったのかもしれないな。しばらくは俺の胸に顔を埋めるのは許してやろう。
ミキミは警察やら消防車が来るまでこうして俺の胸を堪能していた。
「二人とも大丈夫って、ミキミちゃんは大丈夫じゃなさそうだね。昨晩、あんなことがったのに今になって事故だもんね。でも無傷で立っていられるのは奇跡じゃない?私達の中で悪運が強い子がいるんじゃないの?」
「私達が助かったのはヘルメスさんが助けてくれたから、私達がこうして無事に話していられるの。わかったならルカもヘルメスさんを探して」
「はいはい。わかったわかった。探してあげるから落ち着きなさいよ」
タマコはヘルメスさんを探し続けている。それに付き合わされているルカが可哀そうである。俺は二人を見ながらミキミの頭を撫でた。
空き巣にあい、観覧車の事故にあった。今年のゴールデンウィークは一味違うな。誰かそういう厄を持っていたりしてな。
本日に二度目の事情聴取を受けた後に救急車に乗って、病院で精密検査を受けた。
迎えに来ていた田中さんの車にミキミと一緒に乗り、ルカとタマコとそこで別れた。
観覧車に乗っていた人達は消防署の人達の手によって無事に救出された。その後観覧車は取り壊されることになったのは後日のニュースで知った。
☆
「強い光が見える。あの子も」
マヒル達が二度目の事情聴取を受けている光景を眺める野次馬の中にいた一人の青年がポツリと呟いた。
九月から本調子で投稿頑張ります。




