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不思議な学校の現象20

明けましておめでとうございます。今年も私の作品を読んでください。



熱を出して寝込んでました。

 戻るまであと二十五分。案山子達が来るまで特にやることもなく、俺は落ちていた枝を拾い力なく地面に沈んだ手と足を突いて時間を潰していると。


「人の子が神を倒したぞ!誰か長に知らせを!」


 どこからか沸いて出た赤い頭巾を被った案山子が声を高らかに上げていた。そんな声を合図にゾロゾロと案山子達が民家から出てくる。


「おお!神が倒された!」

「今宵は宴じゃ!」

「穴倉暮らしは終いだ!」

「人の子よ!ようやった」


 案山子達は俺とタマコを囲んで称賛を浴びせる。揉みくちゃになりながらも俺は手と足の化物を倒したことを案山子達に印象に残らせることに成功した。後は時間が来るのを待つだけだ。

 そしてタマコはされるがまま案山子に頭を撫でられて鬱陶しそうに俺を睨んでいる。この状況をどうするの?と訴えている。目で。

 褒め讃えられる中俺はあの男は案山子達に囲まれる俺を見ているのを見つけた。口元が動いているから組織に何かしら報告をしているのかもしれない。あの男にはこれ以上情報を与えないようにしないと、もう関わらないだろうけど、話しかけられても無視を決め込もう。

 案山子達は男の存在に気づいていない。気づいていても自分達の英雄をほめたたえるのに忙しいのか俺やタマコに我先に触れようと讃えようと必死にな感じだ。

 今もなお案山子達は続々と増えていく。

 騒がしくさがピークになりと同時に時間が近づく。そこへセバスが現れた。


「お嬢さん方、お待ちを!約束を守られた。今度は我々が守る番です。どこまでもついて行きます!」


 他の案山子達の讃える声で搔き消えてほぼ聞こえなかったが、確かにそういった。

 俺としてついてこなくていいんだけど。

 丁度時間がきた俺達は薄暗い町からいつも通う学校へ戻ってきた。見られた廊下に外は青い空が広がっている。今までいた世界とはあちらかに違う、日常的な場所へと戻ってこれた。


「戻ってきたの?」

「たぶん」


 窓の外を眺めると道路には走る車、散歩する老人、遠くに見える。案山子も空飛ぶ手もいない、いつも代わり映えの無い日常的な光景にホッとする。戻ってこれたと安心して俺は歩き出した。


「マヒル?どこに行くの?」

「どこって、教室に決まっているじゃん」

「待って」


 あれから何時間も経っているのか分からない。感覚的に一日以上あっちにいた気がする。教室に置いてある荷物を回収して一回帰ろう。とりあえずソシャゲのログインボーナスを受け取りたいし。

 俺が教室へ向かうとタマコも追いかけるように俺の後についてくる。


「二人ともお帰りー」

「学校が終わったらカフェに行こうと思うんだけど、マヒルちゃんとタマコは予定開いている?」


 教室に戻るとミキミとルカが楽し気に談笑していた。俺達は最低でも12時間も向こうにいたはずなのに二人は心配しているようには見えない。あたかも俺達がトイレに行ってすぐに持ってきたみたいな雰囲気だ。長時間行方不明になっていないってことだけは理解できた。

 隣に立つタマコの顔を覗くと、彼女もこの状況を飲み込めていないようだ。


「マヒルこれはどういうことなの?」

「僕だってわからないよ」


 この状況に驚愕するタマコが漏らした問いに俺は気が利いたことは言えずにわからないと答えた。


「二人ともどうしたの?何かあったの?それとなんでマヒルちゃんはジャージなの?」


 俺達の困惑を感じ取ったのかミキミが近づいて俺やタマコの表情を窺う。


「いや、なんでもない。ちょっと汚れちゃって着替えたんだ。それとカフェに行こうって現状学校は休校みたいな状態だけど、もう帰っていいの?」

「え?放送聞いてないの?生徒と先生がほとんど来ていないから学校終わりってさっき放送で言ったばかりだと思うけど?」

「そうか。僕とタマコは聞こえない場所に行っていたから聞いてないや。ねえ。タマコ」

「うん。マヒルと薄暗い場所にいて私の知らないマヒルが知れて少し嬉しかった」


 おい、誤解を招くことを言うなよ。確かに薄暗い場所だったけども一言二言余計なんだよ。


「薄暗くて服が汚れる行為って、まさか」

「マヒルちゃん!」

「誤解だ。僕とタマコはそんな関係になっていない。制服が汚れたことにはタマコは関係ない」


 タマコの言葉を真に受けて顔を赤くしたミキミとルカの誤解を必死に解いて、その後は四人で学校近くのカフェで談笑をして帰った。


「しかしあの場所は一体に何だったんだ?廃墟の街?案山子達の化物が暮らす街?何もわからない」


 ミキミ達と別れた俺は街からかなり離れた山道を歩いてた。とりあえず一人の状態で考え事をしたかったから何もない遠くの場所まで来ていた。

 不覚考えても何も思い浮かばなかった。あの場所のことはタマコと二人で見た不思議な夢と言うことにしようと結論づけた。

 俺は茜色に染まった空を見上げるとどこからかカツンカツンと棒を叩く音が聞こえてきた。

 いやな予感を感じつつも音の方を見ると、そこには一体の案山子がいた。


「お嬢様!ようやく見つけましたぞ!」


 草木をかき分けてくる案山子、セバスだった。


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