不思議な学校の現象16
俺は手の化け物がいる場所から少し離れた民家にテレポートをした。
「あああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
男の絶叫が聞こえたので窓から外の様子を窺う。
テレポート先で俺が見たのは二つの大きな手は男をまるで虫の足を千切るみたいに手足を摘まみ千切ようととしていた。視界で見ていたが、さっきまでは男は絶叫しながら大きな手に身体を握り潰したり、ジタバタと藻掻くたぶびに頭を引っ張ったりして残酷にいたぶられていた。まるで小さな子供が人形で遊んでいるようだった。
そして今は大きな手に右腕を千切られようとしているのに今の男は何の反応もない。死んでいるのかと思ったが、どうやらかろうじて生きている見ようだ。今はただ気絶しているようだ。しばらくしてミョキっと生々しい物が折れる音が聞こえた。大きな手の化け物が男の右腕を千切ったのだ。不要となった右腕はゴミを捨てるように地面にボトリと落ちた。右腕があった箇所から上半身から下半身にかけて血が滴り落ちていく。気絶しているからか絶叫も反応もない。
静かに下半身へと流れた血と黄色い液体がポタポタと滴り落ちる。そこには無音の拷問が起きているだけの空間だった。
「これはエグイね。このまま放置したら確実に殺されるね」
大きな手に全身の骨を砕かれた男の心臓は弱々しくも動いている。このまま指を銜えながら見ているだけだと男は死ぬだろう。しかし、手足が無くなっていたとしてもすぐに治療は可能だから、ここからの脱出方法を知っている男には生きてもらわないと困る。本人も死にたくないと思うけど。
大きな手は男の反応が無くなったからか、今度は頭を摘まむ。
俺は男の首を折られる前に俺の前へテレポートさせる。全身骨を砕かれたからかだらりと力なく地面に倒れる前に念力で支えてやる。そしてボロボロの男の身体に触れて怪我を治療した。しばらくは起きないだろうけど
そこらへんに寝かせて大きな手を観察する。
大きな二つの手は今まで遊んでいたおもちゃが消えて周囲を探している。そして周囲を破壊し始めておもちゃを探し始める。
なんて幼稚でがさつなのだろうか。
「まるで幼い子供の癇癪だな。そういえば案山子達の仲間も捕まったって言っていたよな」
大きな手の化け物の下に案山子の残骸があるかと思って浮いている場所の下の方を探しても複数の案山子の残骸が見つかったが、それが今壊された案山子なのか、昔に壊された案山子なのかわからなかった。赤い頭巾も見当たらないから運よく手の化け物から逃げられたのだろう。
「さてとやってしまおうか」
相手は手首の先しかない化け物だ。そして案山子達から神と呼ばれる存在だ。倒せるかどうかと言うと正直わからない。タマコの前で倒せると言い切った手前でやっぱり倒せませんでしたと言うのはダサい。
大きな手の片方は全身に擦り傷のような細かい切り傷がある。あの手達は学校で俺達を襲ったのと同一な存在なのだろう。少ししか時間が経っていないが傷が治っていないところを見ると怪我をさせることは可能だろう。
試しに片方の手の人差し指の第一関節の先をテレポートで引き寄せる。
俺の目の前には俺の胴体と同じサイズの指先がボトリと落ちた。指先だけとなった肉片は動くことはなかった。ただ切り口から大量の血を垂れ流している。大量の血があふれていることを見ると手だけなのにまるで生きているみたいだ。手だけで一つの個体の生き物みたいだ。
とりあえず四次元空間から包丁を出してグサッグサッと指先を刺す。指先が大きすぎて中々奥へ差し込めないでいるが、特に反応がない。爪も剥しても血が出るだけで反応がない。
反応がないならテレポートでバラバラに解体すればいいと理解した。それであの化け物は倒せそうだ。
等の本体は地面に落ちて、指一本の指先が無くなった痛みで藻掻くように民家を破壊している。しかももう片方の手も痛がるようなそぶりを見せている。
あの手は痛みを共有しているのか?もしかするとあの手は巨大な何者かの両手で、本体はこの街のどこかに潜んでいるのかもしれない。本体も痛みに苦しんでいるのかもしれない。
「大きな手!」
結論を出した。すると先ほど治療した男が勢いよく起き上がった。手の化け物が放つ破壊の音で目が覚めたようだ。
「よう。おっさん起きた?今は大きな声を出さない方がいいよ。それとこれは貸しでよろしく」
目覚めたばかりの男に俺は一方的に言い放った。
「お前はさっきのお嬢ちゃんか?なんで君がここに?俺はさっきまで大きな手に掴まって、うっ」
「おっさんはここでゆっくりと休んでいな。後でいろいろと話をさせてもらうから」
「おい!待って。話は終わってい」
男の返答を無視して指先が無くなった痛みで暴れ回る手の化け物の付近へテレポートで近づいた。




