表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
183/197

不思議な学校の現象9

「ちょっと!この音何なの!」


 破壊音を聞いたタマコが起き上がり、声を荒げるように騒ぎたてた。

 きっと俺達を見つけられない手の化け物がなりふり構わずに探しているはず。それでもガンガンって固い物を叩きつけるような音は出ないと思う。


「タマコ落ち着いて。たぶんあの手の化け物が何かをしているだけだから。音の様子からして相当怒っていると思う」


 必死に抱き着くタマコを宥めながら音がする方へ視界を飛ばす。そこには電信柱で校舎を叩く手の化け物がいた。大きな音を発てて俺達を追い立てる腹づもりなのかそこらへんで引っこ抜いた電信柱で激しく校舎を両手で叩いている。幼児が物を叩くと言うよりもある程度成長した子供が怒りに任せて道具を使って物を壊していると言った感じだ。

 俺達がいる保健室は一階にあるため、数分は見つかりそうにないが、屋上は力任せに叩いているからか崩れて吹き抜けになっている。この調子じゃあ俺達が見つかるまでやめないだろう。

 早く外に逃げないと瓦礫の下敷きになる。俺の場合は身体を潰されても再生して逃げきれるが、普通の女の子のタマコは生き埋めになって死ぬ。


「あの化け物は校舎を壊して僕達を生き埋めにするつもりみたい」

「何それ。早く逃げよう」

「待って。このまま校舎から逃げたら化け物達の思うつぼだよ」


 保健室から逃げ出そうとするタマコを止める。

 このまま校舎から出ても化け物に掴まるだけ、あいつらは校舎を壊たら俺達は校舎から出てくると思っているのだろう。その時を見張ら駆って捕まえようとしている作戦なのだろう。校舎を粉々になるまで出てこなかったら瓦礫と化した校舎の残骸をかき分けて探すのだろう。それか諦めるのか。

 どっちにしろ校内にはいられなくなった。

 しかし街の方には案山子がいる。案山子は手の化け物に怯えているようだが、俺達を襲わない保証はない。案山子がいない民家の方が多いみたいだけど、そんな民家にも何か潜んでいる可能性もある。

 追い立てられている今はそんなことをなりふり構わっていられないが、どうしても尻込んでしまう。


「マヒルは何をためらっているのか知らないけど、早く逃げないと危ないのよ?。そう!あの化け物から逃げれたマヒルのテレポートを使って安全な場所へ逃げればいいのよ。それとも街の方にもあの化け物がいるの?」


 俺の表情を読むように顔を覗きこんだタマコは察したように問いかけてきた。

 早く校舎から逃げなちゃいけないのに逃げた先に何がいるのか心配している。視界で見ていたのになんでためらっているのか自分でもわからない。案山子がいない民家に化け物が潜んでいるかもしれないが、可能性が低いはず。

 ああ、俺も異常事態の連続にパニックを起こしているのかもしれない。テレポートをした先に海の街にいた影の化け物がいるかもしれない。もっと恐ろしい物が潜んでいるかもしれない。もっといい方法があるかもしれない。

 そしてかもしれないばかりの俺は最善な選択を選ぼうとして迷っている。ただそれだけだ。迷う原因が分かったのに動けない。スーパーアルティメット団と出会ってからの経験が俺の判断を鈍らせて迷わせる。


「どんな化け物なの?マヒルが言う視界?千里眼みたいな力を使って見てきたの?」

「案山子。180センチぐらいの案山子が家の中にいた。ほかにも化け物がいるかもしれない」


 俺の口から黙っているはずだった案山子のことをタマコに話していた。ついでとばかりに憶測も口にした。

 まるでいつもの俺じゃないみたい。これもここの異常現象なのか。


「いた?あったじゃなくて?」

「うん。家の中に案山子がいて、外を覗いたり、移動したりしていた。手の化け物に怯えているように見えたけど、友好的な相手じゃないかもしれない」


 視界で見たことを憶測混じりにタマコに説明した。


「そう、民家にそんな物が。でもその案山子がいない家もあるんでしょ?」

「うん。でも見えないのがいるかもしれない」


 今迷っている間に三階、二階が崩れた。もう時間がない。何かいたらまたテレポートで逃げればいい。それだけの話なのにまだ迷いがある。

 四分の一が崩れた。選んでいる余裕はない。このままだと瓦礫の下敷きになるだけだ。


「タマコ手を繋いで」

「こう?」


 タマコと手を繋いだのを確認した。なんだか迷いが消えたような気がした。

 すぐさま視界でテレポート先に何もいないのを確認してテレポートで校舎から逃げる。


「ここは?」

「学校から少し離れた民家だよ。選んでいる余裕はなかった。たぶん何もいない」


 テレポート先の民家は丁度学校がよく見える立地で、窓の外を覗くと学校があったと思われる場所に手の化け物らしき物が細長い棒(電柱)を握って叩き下ろしているのが薄っすら見える。校舎に叩きつける音は地響きとなって周囲の民家を地震のような影響を与えていた。

 すこし経つとガンガンと街の中に響く地響きは止んだ。

 校舎を壊し終わっただろう手の化け物は、窓から見えるのは周りが薄暗くて薄っすら見えるだけで手の化け物が何をしているのかよく見えないけど。


「止まった?」

「止めたらしい」


 壊し終えた手の化け物は瓦礫をかき分けて俺達の遺体を探すのではなく、校舎の瓦礫の上をフヨフヨと浮かび観察をしているようだ。

 これで諦めてくれるといいのだが。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ