不思議な学校の現象8
ぐるりと街中を探索したが、薄暗くて寂れただけの普通の街だ。もちろん人はいない。
静かで穏やかな街と言うよりも静寂な不気味さが漂っている。夜ならば肝試しスポットして人気が出そうだ。手の化け物がいなければ。そもそもここに来た方法が分からないから誰でも来れる場所ではないのかもしれないけど。
本当に不気味な場所だ。人がいないのはもちろん生き物の姿さえ見かけない。いたとしてもあの手の化け物によって殺されたのかもしれない。
何か物珍しい物は無いかと探してみるが、特にそういった物はない。無意味な物を探すのはやめて有効そうな物を真面目に探そう。まずはスーパーとかコンビニを見てみよう。
最初に目についたコンビニの中を確認する。中は長い間放置されていたのか商品に埃が被っている。これじゃあ棚に陳列されてある弁当や菓子パンは食べられそうにない。ガラスケースの棚はジュースなどの飲料水が陳列されている。ガラスケース内で放置されていたからか埃は被っていない。中の水を見ても無色透明で飲めそうだったが、ジュースやお茶などの飲み物は中に不純物が浮かんでいた。長年常温で放置した結果成分とかが分離したのだろう。美味しくなさそうだから飲みたくないな。
水とか大丈夫そうだ。それと埃を被っていたが缶詰を見つけた。数分かけて食べれそうな物を見つけた。
ここの他にコンビニやスーパーを何軒か見つけた。他のところもここと似たような状況だろう。とりあえず四次元空間の食料が尽きても大丈夫だろう。
他に気になる物があった。竹箒と思われる残骸が山になっている。最初はゴミの山だと思って無視していたが、俺が見つけただけで数か所あった。本当にゴミの山かと思っていたが、竹箒と布切れしかない山だ。
これを誰かが一か所に集めたのか。気になる。ここは人がいないから残骸を一か所に集めるのは不自然だ。風が吹いてここに集まったのかと思ったが、それなら他のゴミも混ざるはず、ならあの手の化け物が集めたのか?それも疑問に残る。知能が低そうな化け物がどこかから竹箒と布を集めるようなチマチマめんどくさそうな作業をやるとは思えない。他に誰かがいるのか?手以外にも化け物が?
考察しても答えは出てこない。のなら竹箒の残骸はただのゴミ山だ。
食べられそうな食料は見つけた。あとは休まりそうな場所だ。屋内は手から逃れられるが、他にも化け物がいるかもしれない。注意を払いつつ安全な場所を探さなくては。
家を物色しようと手頃な家を見定めていると一つの家の窓の奥に動く影が見えた。一瞬だったが結構大きい影だった。その影は人かもしれないし、化け物かもしれない。どんな存在か一回確認するのもいいかもしれない。
影が見えた家屋の中を確認した。家屋にいたのは、いや、あったと言った方がいいだろう。そこにあったのは窓の外を怯える様子で覗き見る一体の案山子があった。しかもピシッとスーツ着ていた。ただ上だけだ。下半身は細い竹の棒だ。これでズボンを履いていたらもっとヘンテコな姿だっただろう。
『今日の奴らはこの辺に来ていないのか?しかし、油断して外に出たらアニキの二の舞だ。このあたりの生き残りは私しかいないのか?ああ、一人は寂しい誰かこっちに来てほしい』
怯える案山子は窓の外を眺めるのをやめると、かっかっかと足音?を家屋に響かせながらブツブツと呟いてウロウロしている。俺が見ているのも知らずに。
どうやら案山子は手の化け物と敵対関係のようだ。様子から察するに一方的な蹂躙をされると言った感じだろう。ゴミ山の竹箒の残骸は案山子の残骸だったようだ。手の化け物が細枝をポキポキと折るように案山子を折って遊んだ残骸だろう。あの山は案山子達とって墓のようなものかもしれない。
案山子は話しているが、明らかに異形の怪物だ。いくらブツブツと喋っているからといって人間である俺達が接触しない方がいいだろう。俺達を見たら襲ってくるかもしれないしな。
他の家屋も中を見たらちらほらあった。一軒に一体から八体ほどの案山子が住んでいた。数体で住んでいる個体は精神的に安定しているようだが、一体のみで暮らす個体ほど錯乱しているように見える。孤独と手の化け物による恐怖で精神的におかしくなっているのかもしれない。
この街は案山子の街かよ。ゴミの山もとい、残骸の量を見るに昔はもっとあってそこらへんに立っていたのだろうな。
何故案山子が動くのか不思議に思うが、案山子に自我が芽生えた過程を求めるほど俺は勉強家ではない。
海の街の寺で人形が一人でに動いていたから案山子が人間みたいに動き暮らしているのを見て驚きはしない。
ここの住民である案山子はここから出られる方法を知っているかもしれないな。俺だけでも接触して反応見て対話できるか確認する必要はあるな。
「マヒルどうしたの?」
「何でもない。ただこれからどうするか少し考えていただけ」
タマコには案山子達について話さない方がいいだろう。あの手以外にも化け物の存在を知ったら行動するか予測できない。ミキミ達も心配しているだろうし、早く戻らないと。
ガンガン!
遠くで固い物を叩きつける音が聞こえた。




