不思議な学校の現象5
タマコは必死でねじり取られた俺の足に触れて確認している。タマコに再生できることを教えていなかった。
「おい!これ以上はやめろ!足は生えているぞ。だからパンツを脱がすな!」
「だって根元まで確認しないと」
タマコは俺の足がちゃんとついているかどうか確認するために目視でスカートを捲りパンツを脱がそうとしている。こんな必死な攻防戦をしている暇はないのに。
まあ、中まで入ればあの手も手出しはできないだろう。タマコもそこはわかってじゃれついてくるのだろう。
生やしたから片足だけはだしの状態だ。手が捨てた足から靴下と靴をテレポートで取り寄せよう。
ガッシャーーーン!
屋上へと繋がるドアから指が生えてきた。いや違う。これはあの手の指だ。の手は俺達をあぶりだす為にドアに人差し指と中指を指し込んで破壊したのだ。鍵がかかていなかったからか、力強く差し込まれた指の力でドアは簡単に開いたが、力を入れすぎたのかドアの窓ガラスが割れて、俺達に割れたガラスの破片が降り注いだ。
「早く行け!逃げるぞ!」
「ちょっと押さないで」
俺はガラス片からタマコを庇いながら奥へと逃げた。
手は俺達のことをまだあきらめていなかった。後ろからガシャンガシャンと音がする。あの大きさでドアを入ろうとでもしているのか?大きさからして無理があるだろう。俺達が通れたから自分も通れるだろうと思っているのか。だとしたら頭は良くないのかもしれない。
でも助かった。あのままドアで足止めしてくれれば安全な場所まで逃げられる。
「頭を下げて!」
階段を下りて廊下を走っているとタマコが叫んだ。叫びを聞いたが、急に止まれないのでスライディング気味に体を廊下に滑らせた。数秒後に窓の外からガシャンと手刀が来た。
もう片方の手は相方が屋上のドアから入るのを待っている道理もなく、窓の外から走る俺達を狙って手刀を繰り出したのだろう。
タマコが叫ばなかったら俺は手刀を食らっていた。
「タマコありがとう」
「それよりも先を急ぎましょう」
咄嗟にしゃがんだタマコにお礼を言い、念力で体を起こして先に進んだ。俺の後にタマコも続いている。
俺達の後ろにはあの大きな手が狭苦しいそうに藻掻いていた。手にとって廊下は狭い過ぎるのでうまく身動きが取れないのだろう。プラスよく見ると手刀で割ったガラス片が手に刺さっている。あの大きさ比べてガラス片は細かいが小さな棘が刺さったみたいで痛いのだろう。
藻掻けば藻掻くほど床に散らばったガラス片が手に刺さっていく。あれも当分の間俺達を追ってこないだろう。
よく考えたらどこへ逃げたらいいんだ?今は闇雲に逃げているだけで実際どこへ逃げるのか決めていない。とりあえず保健室に逃げればいいか。
安心安全とは言わずともあそこなら窓も少ないから見つかることもないだろう。きっと大丈夫だろう。
「保健室に逃げるよ!」
「わかった」
俺達は窓の外を警戒しながら保健室に逃げこんだ。
とりあえず一息入れる為に水が入ったペットボトルを二つ四次元空間から取り出した。それと同時に廊下で藻掻いている手の様子を観察するために視界を飛ばした。
「タマコこれ」
「え?」
一つをタマコに投げ渡した。急に投げられた物は取れないのかペットボトルを落としていた。
「急に投げないでよ。これは水?」
「ごめん。そうだよ。ただの飲料水だからよかったら飲んで」
「ありがたくもらうけど、それよりも本当に足大丈夫なの?」
ペットボトルを拾ったタマコは片手で俺の足を弄る。
祝福の願書で俺のことを知ったのだから能力のことぐらい知っているんじゃないのか?
「本当に大丈夫だからこれ以上触らないでほしい。これはトカゲの尻尾みたいな物だから大丈夫だ」
トカゲの尻尾は骨とかまでは再生できなかったけど似た物と納得してもらえればいいだろう。
「それで私を治してくれたんだね」
「ん?何か言ったか?」
「何でもない。ただの独り言」
「そうか」
タマコがブツブツと言っていたようだけど視界で手の様子を見ていたからよく聞いていなかった。独り言って言っているからたいしたことではないだろう。
それよりもあの手だ。まだ廊下で痛そうに藻掻いている。刺さったガラス片を取らない限りあのままだろうけど、問題なのは屋上のドアでチャレンジを続けているもう片方の手だ。今も諦めずにドアから中へ入ろうとしている。指しか入らないのにドアから入ろうとしている手はだんだん諦めるだろうと思っている。入らないのに気付くのは時間の問題だろう。
どんだけ力を込めて無理矢理ねじ込もうとしたのか分からないが、ドアは歪んでぴったりと閉じることはできないくなった。
あの手を見たから迂闊に外を出るのは危険だろう。逆に考えればあの手を何とかすれば外に出られるのか。何も使われていない準備室とか狭い部屋に閉じ込めるとかすれば俺達を襲うことができなくなる。
あれ以外にも外に脅威があるかもしれないし、あれ以上の恐ろしい物が校内にいるかもしれない。
この異空間にわからないことが多すぎる。




