不思議な学校の現象3
昇降口にとりあえず戻った。
外の風景に嫌悪感を感じたのは腑に落ちないが、外に出るのはマズいだろう。外に広がる普段の街並みと違う異質な街並みを思い返して思考する。
視界で校舎内を見回ったけど化け物の姿はまだ見てないが、昇降口に血の跡があったから校舎内も危険な場所に違いない。外に出る方がもっと危ないかもしれない。これだけ視界で探し回って何も見つからないのはいい事なのかもしれない。外に出れることが分かったし、何かあるまで校舎の中にいた方がいいだろう。
「他に何かあるかもしれないから別の方も探してみよう」
「そうね。まだ行っていないところもあるし、私はマヒルに従うわ」
他の場所も探索に行こうとタマコに提案してみたら、タマコは俺の手をギュッと握り微笑んだ。そんなタマコを見た俺は少しどきりとした。俺がヘルメスさんと知ってからタマコの様子がおかしい。俺が憧れたヘルメスさんと知ってか、スキンシップが増えた。ミキミ並みにハグをしたり、手を握ったりして少しウザったい。
年相応より大きめな胸の膨らみを押し付けるのはいいが、ハグとかで俺の胸の膨らみの柔らかさを堪能している節がある。今、同性の状態でも流石にそれはやめてほしい。気を許したら、キスまでしてきそうだ。
ミキミはナチュラルに友達として接してくれるが、タマコに至っては異性として接しているのではないかと思う。俺が元々男だと打ち明けたけど、ここまで態度が変わるとは思わなかった。
「次はどこに行くの?」
「購買部に行こう」
「食料の確保?」
タマコの察した通り購買部に行く理由は食料があるの確認の為である。
四次元空間に食料は入っているけど限りがある。ここにどのくらいいる破目になるのかはわからないが、持ち分の食料と校舎内にある食料を把握しておこうと思う。ただ心配なのは置いてある物食えるかどうかである。食べられる物かどうか試しに食べてみるしかない。
購買部に着くなり俺とタマコは部屋を物色した。棚にある弁当やパン類の他にバックヤード的な倉庫には菓子パンや総菜パンの箱を確認した。着く前に視界で確認済みだけど。
「いっぱいあるみたい」
「ああ、食料の心配はしなくて済みそうだ」
タマコの問いかけに空返事で返した。
ここにある食料を勝手に持ち出しても大丈夫だろう。学校の購買部だからって持ち去って咎める人間もいないわけだから。そもそも財布を持ってきてない。
「時間的にお昼時だからここにある食料を持って教室に戻ろう」
「うん」
棚にあった菓子パンを二つほど取って教室へと戻った。
戻る道中毒見として片方の菓子パンの半分を食べた。味はいたって普通のクリームパンだった。毒とかは入っていないことが分かった。タマコも食べっても問題ないだろう。
「食べ終わったら次はどうするの?保健室にでも行く?」
「そっちは別に後でもいい。次は屋上に行こう。」
保健室はどうでもいい。怪我とか病気とかは能力でどうとでもなるけど、夜までこの状態だと寝る場所を探さないといけなくなる。この分だと保健室のベッドで朝を迎えることになるだろう。
夜になる前に一回保健室を入って危険が無いか確認が必要だ。
次に行く場所は屋上だ。一度高所から街の様子を見ておきたかった。屋上から街を見下ろせば何かわかるだろう。ただ屋上へ行くためには屋上のドアの鍵を開けなくちゃない。普段は屋上へ出ることは禁止されているから鍵がかかっているんだよね。
なので視界を鍵がある職員室に飛ばして鍵が入っている保管庫から屋上の鍵を取り寄せる。
そもそも俺達を屋上にテレポートをすればいいだけの話か。タマコには能力のことをバレているんだし。
取り寄せた鍵を握りしめた俺はタマコを引き連れて屋上へと向かった。
「屋上に行くって言っても鍵は開いているの?あそこって生徒が屋上に出ないように鍵がかかっているはずだと思うけど」
「大丈夫。鍵はここにあるから」
向かう道中、疑問を抱いたタマコに俺は握っていた鍵を見せた。
「いつの間に取ってきたの?それとも合鍵を作っていたの?」
「細かいところは置いといて、これで屋上に出れるよ」
タマコは俺が屋上の鍵を持っていたことに驚きの声上げた。そんなタマコの反応を無視して屋上の鍵をチャリンと鳴らした。
屋上へ続く階段を上り、屋上へ出るドアの鍵を開けて外に出た。
外に出てすぐに空を見上げた。まだ昼時の時間にもかかわらず、空は夜のように暗い。月も星もない寂しさ空を覆っているようだった。
屋上から見下ろした町並みは俺が知っている普段の街並みとは違い、知らない住居、知らない道だった。まるで別な場所に学校だけポンと転移したみたいだ。学校の敷地外にスーパーやコンビニがあるようで校舎内の食料が尽きたらそこから確保できそうだ。
今度は学校の敷地内を見下ろすと特に異変は見られなかった。学校の敷地内は俺達が通う知っている学校のままだということが分かった。敷地内も外も人はいなさそうだけど。




