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次日のタマコ2

「マヒル、ちょっといい?」

「何?」

「トイレ?私も行く」

「ごめん、マヒロと二人だけで話がしたいの」


 昨日のことを話しているとタマコが二人だけで話がしたいと言い出した。

 俺がタマコに連れられたのは女子トイレじゃなくて屋上へ行く階段の踊り場だった。いつもみんなでお弁当を食べている場所だ。

 ここで何を話しをするのかそれはそれで興味がある。


「話って?」

「昨日のことなんだけど」


 昨日の話?さっきもミキミ達と昨日の事件のことを話してたけど何か気になることでも気づいたのか?タマコは俺のことを知っているわけだから俺が黙ってたらミキミ達に俺の秘密をしゃべりかねない。話せる範囲で答えてやろう。


「事件のこと?」

「そうなんだけど、そうじゃない。聞きたいのは事件が無くなったこと。あれってマヒルがやったの?」


 ああ、そっちね。なんて説明しようかな。祝福の願書のことは忘れているようだから祝福の願書のことは普通に秘密にしておきたい。なんでも願いが叶う物って争いの元だしね。

 正直なところ説明なんてめんどくさくてしたくないけど、それだとタマコは聞くまでグイグイ来るからその方がめんどくさい。


「僕じゃないって言いたいけど事件を無くしたのは僕だよ。説明するのは難しいからしないけど、軽く話すとタマコが僕のことを覚えているのと一緒だよ」

「マヒルも願い事を書いたの?」


 そうだった。海の件以降タマコに俺のことを知っているのを説明するために祝福の願書を伏せて説明したんだった。


「そうだね。願い事を書いたけどみんな事件のことを覚えているのは予想外でびっくりしたよ。動画も残っているしね。昨日あんなことが起きた証拠がそこら中に残っていて自分一人だけ覚えているつもりでいたのに」


 そういう風に書いたと思ったのに祝福の願書は俺の願いをどういう解釈したらみんなの記憶に残るようにしたのか。そもそも本に自我があるのか。人の願い事を叶える力を持っているから自我を持っていそうで怖い。


「マヒルは願いを叶うことができる物を持っていて誰かに狙われない?マンガみたいに秘密組織みたいなのに」

「別の件ですでに狙われたんだよね。詳しいことは話せないけど遅刻したのはその組織にアジトに招待されたんだ」


 と冗談みたいに軽く話す。二回ほど誘拐されたんだよね。一回目はスーパーアルティメット団に、二回目は能力者を狙った誘拐犯に。二回目はともかく、一回目は自分より小さな女の子、リンちゃんにテレポートで車に乗せられたのは恥ずかしいから黙っていよう。

 しかし、自分が言ったことだけど中二病を発症したようなことを口走っている。第三者に今の話を聞かれたら正気を疑われるか、中二病ごっこでもしているのかって思われそうだ。

 俺が祝福の願書を持っているのはスーパーアルティメット団しか知らないしな。てかスーパーアルティメット団は俺から祝福の願書を取り上げないよな。願いが叶う物って誰も彼もが欲しがる代物なのに取り上げないのは願いが叶う物って意外とありふれている物なのか。能力に目覚めてからスーパーアルティメット団に見つかるまでそんな代物聞いたことが無い。願いが叶う道具類はネットで調べてもほとんどガセネタだろうし、一部の人達の手によって隠されているのだろうけど。すでにスーパーアルティメット団は願いを叶える手段をいくつも持っているから祝福の願書なんて今更って感じなのかな?死ぬことを一回キャンセルできるお札を持っているみたいだし。

 それとも俺が把握してない祝福の願書の隠れたルールがあったりして。最初の説明文以外に前の持ち主が願いとしてルールを付け足したとか。それをスーパーアルティメット団は知っているとか?

 自分が書いた願い以外は読むことができないから深く考えても無駄か。

 説明書以外にルールが追加されていても俺には関係ないし、たぶんほとんど願い事なんて書かないだろうから持っていても無意味だ。


「誘拐されて何かされたの?」

「いいや、特に何も?一回目は仲間になろうよってお誘いみたいな感じだったから、二回目はその組織が助けてくれたんだよね。自力で逃げ出せたけど」

「そう」


 タマコは安心したように目線を落とした。

 あの時は東京の高層マンションに連れてこられてメンバーの女の子達と遊んだだけだな。西村の家にはもう行くつもりはないけど。それにまさか支部なんて物があるなんてびっくりだよ。日本中にあるってことはないよね。


「その組織の人ってこの学校にいるの?」

「いるって教師とか生徒とかで?」


 タマコの質問を質問で返すと頷いたので答えるか迷った。

 学校内を視界で見回ったけどアキラはいないけど、メンバーがいるかもしれないし、スーパーアルティメット団以外の組織もこの学校にいるかもしれない。教命部とかいるかもしれないからな。

 昨日の事件も能力者が起こしたみたいだからこの街に俺が知らない能力者が確実にいるんだよな。それが自由の奴らなのか、教命部の人なのかわからないけど。


「ノーコメントで、もしかしたら他の組織の人もいるかもしれないからさ。タマコの為に答えられないんだ。しかも僕新入りだから、うっかり口を滑らすと危ないんだよ」


 タマコはこう言えばきっと自分と俺に危険が及ぶから引くと思うんだよね。

 ここまで話せばタマコの好奇心も満たせただろう。俺が話せる範囲で話せたし、これでいいだろう。


「それじゃ、みんなのところに戻ろう」


 タマコの手を引いてミキミ達がいる教室へ戻った。

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