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世界改変

 マヒルが祝福の願書に願いを書いた瞬間世界が変わった。テロの事件が起きた現在からいつもと変わらない日常的な現在へと。

 人が死ぬ残酷な道から平和な道へ変わったのはいいが、現実が改変されたということはテロ事件がなくなった。テロ事件で死ぬ人が死ななくなった。現実が改変された人々はテロ事件についての記憶がないはずなのに、マヒルの余計な願いである記憶はそのままの部分が人々に混乱を招いた。

 人々の記憶にはいつもと変わらない平和な日常の記憶と残酷で染められたテロ事件の記憶。二つの記憶が混在してしまった。

 願った本人は疲れて寝てしまったが、テロ事件を体験した人々はその日の夜は慌ただしい状況になった。


「私は死んだはずなのに、生きている?いや今日もいつも通り仕事から帰ってきた?どうなっている」

「この記憶はいったいなんだ?この状況はどうなっている」

「あの人は生きているの?そんな保険金が!」


 太陽が沈み切った街でカオスな状況が繰り広げていた。

 人々の記憶以外にもスマホで撮影した写真や動画も残っていた。今日起きた乱射事件の証拠が残っていたのである。事件が起きた街の外でも事件の波紋が広がり、ある男の頭を悩ませていた。


「世界改変が起きたか。今回は何がトリガーで引き起った事象なんだ」


 異空間にあるオフィスで西村が今回起きた事件もとい、現象が書かれた報告書が写し出せれたタブレットとにらめっこしていた。

 世界改変。それは誰かが過去へ行き歴史を変えた人為的だったり、分岐したパラレルワールドと現在が併合してしまう現象を指す。

 世界改変はまず人々は感知できない。例外を除いて、できないはずなのに今回は何故か多くの人々の記憶に焼き付いていた。しかも動画や写真と言った証拠も残っている。こんなことはあれない。100%ありえないはずなのにありえないできことが起きている。

 そのせいで西村は頭を悩ませていた。


「人の記憶を改変するにも数が多すぎる。他の組織に要請はできないか。借りを作るのは悪手だし、もうどうすることもできない」


 タブレットの電源を落として、デスクに置いてあったマグカップに口をつける。口の中に広がるほろ苦い味を堪能してどうすることもできない現状を諦めた。

 今回の事件はスーパーアルティメット団のメンバーが数名関わっていたが、他の組織も同じだ。教命部や自由委員会のメンバーも事件にかかわっていた。それ以外の能力者の組織のメンバーも関わっていたのは調査してわかっている。

 海外からの組織に非難を浴びることになるだろうが、組織的に責任を取ることはないだろう。世界改変で結果的に今回の事件で死人がいないのだから。

 スーパーアルティメット団としてやるべきことは実行犯ともいえるべきテロを起こした少年達の確保と関わったメンバーの罰を与えることだ。それと世界改変が起きた原因の追求だ。

 実行犯の少年達はある組織で確保済みだ。あとは逃げ回っているメンバーを確保すえば今日の仕事は終わりだ。

 メンバーの確保は時間の問題で、確保班として送ったメンバーは実力も十分な信頼できる者達を送ったから深夜になる前には捕まえることができるだろう。

 問題は世界改変の原因だ。なぜ起きたのか全く分からない。心当たりがあるのはそれはそれで問題になるのだが。


「マヒル」


 ふと、ある少女の顔が浮かんだ。

 自身の能力を隠していた少女は最近入ったメンバーの一人だ。そして願いを叶える術を持っている人物だ。もし彼女が今回の事象を願ったかもしれないと脳内に過ぎった。テロを起こした少年達とは無関係、むしろ被害者側として今回の事件の関係者だ。

 しかも今回の事件の現場は彼女が暮らす街。動機ならいくらでもあげられる。友達や家族が今回の事件が原因で亡くなったとか。でも記憶が残っている理由はどういう意図があって今に至るのか分からない。

 世界改変と記憶が残っているのは別の現象なのか。

 ここらへんは後日彼女に聞かなければならない。

 今度の休みに彼女を本部へ呼ぼう。彼女に会いたがっているメンバーはいくらでもいるから彼女を連れてくるのに手を貸してくれるだろう。


 ☆


 とある宗教団体。


「これは祝福様のお力だー!」


 世界が改変した事実に宗教団体の代表が雀躍していた。

 代表者は今回の改変は誰か一人の願い一つで世界が変わったことを知っていた。それが何の力によって願いが叶ったのかは知らない。それでも今回の事件は一人の願いによって世界が変わったのを理解していた。

 何故、知っているのかは彼らは祝福の願書が使われたのを察知できるからだ。ただ祝福の願書の存在を知らない。知らないが、祝福の願書の持ち主を神として崇める宗教団体である。

 数百年ほど前の祝福の願書の持ち主がこの宗教団体を創立したのだが、当時の持ち主は祝福の願書を奪われるのを恐れて祝福の願書を明かさなかった。もし、誰かに奪われた時祝福の願書の力を使ったのを知れるように道具を作った。当時の持ち主が亡くなった現在でも組織に受け継がれている。


「場所は日本の東北地方です。日本支部に早く連絡を」

「急げ!祝福様を迎えなくては」


 教団員は慌ただしく作業をしている様子を代表は「私の願いが叶えてもらえる」と呟いた。

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