テロ
少年から向けられた銃口から発射してくる銃弾が体のどこにあたるか俺の能力の一つ予知で見る。予知で見た未来を参考に自分の身体に向かって飛んでくる銃弾を流れる仕草でギリギリで華麗に避ける。そのまま少年へ近づく。
近づく俺にビビッて少年はさらに引き金を引いて銃弾を送り続けていきたので、銃弾を念力で止める。少年はさらにビビッて固まったので少年の手からハンドガンを取り上げて、ハンドガンを四次元空間へ入れた。
「え?」
「これ危ないから僕が預かっておくよ」
まるで悪い夢でも見ているような少年に一声かけて、自分の家に向かって歩き出した。
後ろから少年に別の銃で撃たれてもいいように視界で少年を監視していたが、少年は呆けるだけで襲うことはなかった。奪ったハンドガン以外は持っていないようだ。
ハンドガンはすでに持っているからほしくはなかったが、奪わないと少年が人に向けって打つので仕方ないのである。
持っている銃器はすべて砂まみれで正確に動作するか怪しい状態だけど。ほとんど引き金を引いても暴発して危ないから無人島のコンテナに死蔵するしかない。処分に困ったら海辺の交番に届ければいっか。
人がいない場所で体を2メートル以上して、ピンクのフルフェイスのヘルメットを被って、肘から先に腕を生やしてたY字にの状態。いつもの体売りの女モードで街を練り歩く。異形な存在を前に弾丸を放ちまくる少年達は止まる反応が面白かった。
家に向かう途中、身体中穴だらけのかろうじて生きている怪我人を助けたり、人に向けて発砲するトリガーハッピーな少年達から銃器を奪ったりして我が家に到着した。
空は黄金色に染まり、太陽が沈みかけていた。
ここらへんはまだ銃器を持った少年達は来ていないのか被害が見当たらない。ただ近場で銃乱射が起きた影響か、周囲は静まっていて人影も見当たらない。まるで俺一人だけ世界に取り残された気分だ。
一安心して家の中に入ってみる。体売りの女モードの状態で。
☆
隣街で銃乱射事件が起きたらしい。
早めに帰宅したヨルノはスマホ画面に映し出されたニュースをリビングのソファーの上で読んでいた。
「乱射事件ね。日本でも起きるんだ」
そんなニュースを読んで他人事のような感想が口から出た。
多くの人が亡くなったであろうニュースを読んで他人事なコメントを述べるのは不謹慎と思われるが、平和な日本でそんなニュースを読んだら信じられなくて、漫画みたいだなって思ってしまうのはしょうがないと思う。
近所はとても静かで画面に映し出されたニュースはとても信じられなかった。
「わかった。私は家で大人しくしているからお父さん達も気をつけて、お兄ちゃん?お兄ちゃんはわからないよ」
同じくニュースを見た両親が職場から電話をかけてきた。心配性な両親二人からしつこいくらいに心配されて家から出るなと口うるさく言われた。そして「マヒルどうした」と聞かれたが連絡がつかない。お兄ちゃん、もといお姉ちゃんへの連絡がつかないのは両親も同じらしく凄く心配していた。
私も何回も電話とメッセージを飛ばしているが連絡が取れていない。
お姉ちゃんが通う高校は乱射事件が起きた隣街から離れているから巻き込まれてはいないだろう。きっと大丈夫だ。
ダラダラとソファーの上でだらけているとガチャンと玄関の鍵が開く音が聞こえた。お姉ちゃんが帰ってきたと思ったが、そのまま出ていったら不用心と気づいた。隣街で乱射事件で起きているから不審者が家の中に入ってきたかもしれない。
家の中に入ってきた人物がお姉ちゃんとわかるまで隠れよう。
背を低くしてソファーの物陰に息を潜めた。
隠れて正解だった。家の中に入ってきた人物はお姉ちゃんなかった。2メートルを超える身長と四本の腕。しかも4本の腕は肘から先が枝別れしているようにY字状になっていた。掌が8個あった。
都市伝説のような女が家の中に入ってきたはずなのに恐怖心が沸かなかった。恐怖心を掻き立てる異形な存在なのに怖くはない。それどころか親近感が芽生えた。
この人知っている気がする。
私がもたもたしている間に異形な女はキッチンに行って、冷蔵庫を漁り始めた。漁っている瞬間を私はスマホで撮影する。
冷蔵庫から取り出したのはプリン一つ。
あれはお姉ちゃんのプリンだ。楽しみにとっておいたプリンを異形な女は空間に出現させた黒い靄のような穴にプリンを入れて、望む物は手に入れたと言わんばかりに家から出ていった。
「あれは何なの?」
訳が分からなかった。あの女はいったい誰?何故家に入ってプリンを一つ持ち去ったのか。何一つわからなかった。マヒルが帰ってきたら、せっかくとっておいたプリンがなくなっていると分かったら真っ先に疑われるのはヨルノだろう。
今しがた撮影した動画を友達やお姉ちゃんにメッセージとして送った。マヒルがそのメッセージに気づくのは事件後である。




