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口封じ

 しかしどうやってタマコを口封じをするか。物騒な方法なら思いつくが、その方法取りたくない。

 タマコが急に失踪したらいろいろとめんどくさい事になりそうだし、どうするか。タマコは俺の秘密を知ってどうしたいんだよ。

 今のタマコは俺を脅す様子はないが、タマコが俺を見る視線は熱を感じる。その視線の理由は俺がタマコの恩人と関係があるのだろうか?そんなことはどうでもいい。今はどうしたらタマコに黙ってもらえるかが大事だ。お金を渡したら黙ってくれるかな?


 今俺の懐事情はとても潤っている。それは何故か。答えは簡単だ。一昨日、海の一件で西村に呼び出されたのだ。あれこれいろいろ言われたが、最終的に現金一千万を渡された。

 西村にこの金は何だと尋ねると海の一件で活躍した報酬だと言われた。

 俺って海で何かしたっけ?心の中で首を傾げながらももらえる物はもらえの精神で現金を受け取った。プラス、体売りの女で日本中を駆け巡って稼いだ金がある。都市伝説として着々と体売りの女の話が広がっている。ヘルメスさん程ではないが、体売りの女の話は結構有名になった。

 好きな物を好きなだけ買える状況で大金をタマコに渡すのは痛くはない。それで黙ってくれるのなら喜んで渡そう。


「なんでマヒルは自分がヘルメスさんだと隠そうとするの?言ってしまえば世界中のヒーローだよ?」


 タマコは不思議そうにそう尋ねる。


「隠そうとするのはいろいろデメリットがあるからだよ。それと家では男として暮らしているけど、親には女になれることを話していないんだ。家に押しかけるのはやめてくれよ」


 妹には女になれることをバレてしまって、お姉ちゃんって呼ばれている。せめて親の前で兄と呼んでほしい。まだ親にはバレていないが、妹が口を滑らせないかヒヤヒヤしているんだ。そういえばヨルノは俺が女になれることを知ってからスキンシップが増えてきたな。こちらとしては迷惑だけど、弱みを握られているからされるがままだ。

 俺の秘密を知ってしまったタマコに家にくるなと注意する。妹には秘密を知られているが、タマコが俺の親に言うかもしれないからな。


「デメリット?何がデメリットなの?」

「あー例えばだな。僕が自分はヘルメスさんだと証拠付きで回りに言いふらしました。大抵信じないと思うけど、まず僕の写真がネットで拡散される。そして僕を一目見ようと人がいっぱい来ます。それだけでデメリットなの」


 俺にとってヘルメスさんはロールプレイングの一つだ。最近やっていないけど。不思議な人物として世界中を駆け回る奇人なキャラだ。それに比べてマヒルという人物は平凡その物なキャラで影が薄い。かけ離れた人物がヘルメスさんだと言っても普通の人は信じないが、スーパーアルティメット団みたいな普通ではない人達が来るだろう。スーパーアルティメット団には住所は知られているだろうけど、他の組織、自由委員会とか教命部とかいろんな普通ではない組織のメンバーが家に来るかもしれない。もしかしたら周りに危害を与えるかもしれない。

 タマコにはそこまで説明する義理はない。せっかくスーパーアルティメット団の記憶を消したのに秘密結社のような組織を知って危険に晒すわけにはいかないだろう。

 タマコにはそこまで説明すれば納得してくれるだろう。


「マヒルが隠している理由はわかったよ。他のみんなには言わないで上げる。これって二人の秘密だよね」

「うん、ミキミとルカに内緒だよ?」


 俺の秘密を知ったタマコは微笑みながらそんなことを口にして、俺の手をギュッと握った。

 うん、これは秘密を盾にされて、いろいろ頼まれるパターンの奴だ。一番知られてはいけないヤツに秘密を知られてしまった。祝福の願書で叶えた願いの記憶は消えないなんてな。ミキミとルカにも確認を取らなくては。たぶん海での出来事で祝福の願書で叶えた願いの有無はないだろう。


「さーて、せっかくカラオケに来たんだから歌うぞ!」


 キスをしてほしそうに熱い視線を送るタマコから誤魔化すようにカラオケ店で一部屋ずつにあるカラオケ本体に曲を入れて歌っていく。俺が歌っている間にタマコは俺の意図を組んで曲を入れた。

 熱い視線は送るタマコは歌う時も曲を選ぶ時も店から出るまで俺にべったりだった。

 喉が痛まない程度に歌った。痛めても能力ですぐに治せるけど。


「マヒル楽しかったね。また来ようね」

「ああ、今度はミキミ達も誘おう」


 俺の腕に抱き着いたタマコは嬉しそうに言う。たぶん今度も二人で来ようと言っているのだろうけど、そんなタマコの意図を気づかないふりして四人で来ようと約束する。それを聞いたタマコは少しムッと表情を曇らせた。

 店員さんや他のお客さんから見たら、きっと俺達は百合カップルに言えるだろう。男性店員さんの視線が微笑ましい物を見ているかのような感じがしたので少しイラっとした。

 そんな男性店員の視界から消えたくて素早く支払い済ませた。

 カラオケ店から出るとき学生と思われる男性客達とすれ違った。普段なら気を留めることはないのだが、その男性客は大荷物で入店していた。特にギターケースを背負った少年が気になった。

 俺と雰囲気が少し似ているような。


「私、割り勘でもよかったのにって。マヒル?どうしたの?」


 少年達を見ていたら腕に絡みついたタマコに頬を突かれた。もう彼女づらだ。もう嫌だ。


「いや、さっきの男性店員がムカついてな」

「え?なんで普通だったよ?」

「俺達を暖かく見守っているみたいな感じウザいからガンを飛ばした」


 少年達を見ていたことを誤魔化してカラオケ店を後にした。

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