嘘
もうすぐ夏の始まりがやってくる。
自分は去年と変わらない夏の過ごし方をすると思うけど。
おいおい、マジかよ。ミキミのヤツ、ルカ達と一緒にカラオケに来ていたのかよ。なら俺必要なくね?このまま帰っていいかな?
しかも俺はミスをした。前にミキミとあったのは女になっていた時だ。今の俺は男の状態でノコノコとミキミの前に現れてしまった。
女の状態でくればよかったと後悔した。
ミキミは目を見開いて俺の顔をジッと見ている。この間あった時は女の姿だったのに今あったら男として表れたどういうことなのかって感じで戸惑っている。
「ミキミちゃんその人誰?知り合いなの?マヒルちゃんに似ている」
「ルカちゃん、この子は、マヒっ」
「おー?マヒルの友達か?俺はマヒルの双子の兄妹でマヒロって言うんだ。なんだよ。ミキミ、マヒルと間違えて俺を呼んだんだな」
ミキミに被せるようにルカに自分はマヒルの双子の兄妹と少し大きめで話した。気が弱いミキミは声を被せたことでびっくりして黙ってくれた。
当然、俺には双子の兄妹なんてものはいない。当然、ミキミは俺に双子の兄妹がいないことを知っている。ルカに嘘をついたのだ。
「マヒルちゃん双子だったんだ。道理でそっくりなわけだ」
その嘘にルカは納得してくれた。
安心したところでミキミが服の裾を引っ張る。
「マヒルちゃんどういうことなの?前は女の子だったのに今は男の子だよね?前に触ったおっぱいも本物だった。あれもヘルメスさんの呪いのせいなの?」
「そうなんだ。でも今日はヘルメスさんの呪いが一時的に無くなったんだ。それでね」
ミキミにはヘルメスさんの呪いで女にされたと話してあった。それで男に戻ったそれらしい理由をミキミに話した。
「でもあれからヘルメスさんについて調べたよ。困った人を助けている、漫画に出てくるヒーローみたいだなって思ったよ。タマコちゃんもべた褒めしていたけど、でもなんでマヒルちゃんが呪いを受けたの?」
ミキミはタマコにヘルメスさんについて小声で聞いたんだな。ヘルメスさんのことになると狂信者みたいにおかしくなるタマコから聞くだけでも、軽く三時間ぐらい語るからな。ミキミも十分おかしいからタマコの語りを平気で聞いてそうだ。
「俺とヘルメスさんの関係について誰にも話してないか?」
関係ていうか、本人だけど。
「誰にも言っていないよ。だってマヒルちゃんと私の約束だもん。話すわけないよ」
「それはよかった。前も言ったかもしれないけど俺とヤツにはいろいろあるんだ。話すことはできない。呪いが酷くなるかもしれないからな。男の時はマヒロって呼んでほしい」
こんなぐらいを言えばミキミは納得するだろう。
「お二人でこそこそ話をしているところ悪いけど、マヒロくんが持っている袋ってもしかして東京の有名スイーツ店のケーキだったりする?」
「ん?これか。一時間列に並んだけどあの店有名なのか?」
「えー知らないの?最近ニュースになるほど超有名店だよ。ショートケーキがすごく美味しんだよ」
へーだから列ができていたのか。列になっていたからケーキを買ったけど、これならミキミの口止め料として十分か。
よし、これをミキミに渡そう。
「東京に行くにも高速に乗って片道3時間以上かかるよね?なんで遠くにあるスイーツ店の物を買えたね」
「あー、それはだな」
く、ケーキはさっき買ったばかりとは言えない。
「そっか。隣の県の二号店か三号店ができたんだよね。そこで買った物だよね。あーだから一時間か」
「実はそうなんだよ。ケーキを買ってすぐにミキミから連絡が来てさ」
何か誤魔化せる言い訳を考えている間、ルカは一人で納得してくれた。
「ミキミこれを」
「え?これ食べたかったからそれで買ったんじゃないの?」
ケーキが入った袋をミキミに渡した。
「用事を済ませて偶然通りかかった店に並んだ買っただけだ。別に俺が食べたくて買ったわけじゃない」
ミキミの為に買ったから物だからミキミに渡しても後悔はない。一口だけ味見をしたかったけど、また並んで買えばいい。
人気の店なのだからすぐに閉店になることは無いだろう。
「じゃあな」
「待ってマヒ、行っちゃった」
俺はミキミ達から離れた。ミキミは何か言いたそうにしていたけどすぐに会える。
無人島に戻って、コンテナから衣服を取り出す。それとミキミに選んでもらった下着も。
ミキミに選んでもらった下着を付けるかつけないかずっと悩んでいた。悩んだ結果、せっかく買った物だから試着することにした。もちろん女の姿で。
付け心地は悪くはない。悪くはなかった。
そしてスカートも買ってしまった。スカートは買い盗んだ女生徒の制服サンプルで慣れているから普通に履くことができた。ミニスカは今のところは勘弁だ。
今の俺の姿は上はティーシャツの上にパーカーで、下はロングのスカートだ。俺なりに結構オシャレな感じにしてみた。
着替え終わったから、ミキミの下へ戻る。
「ミキミちゃんどう?マヒルちゃんは来るの?」
「どうかな?来ないかもしれない。これどうしよう」
「マヒロくんがくれたものでしょ?もらいなよ有名なお店だから美味しいよ。こないのなら中に入ろう。私達がいないのをヘルメスさんの話をしているタマコがもうそろそろ気づくでしょうし」
俺が去ってからミキミ達まだカラオケ店の前にいた。
「お待たせ待った?」
「マヒルちゃん!?」
「おーマヒルちゃん!さっきマヒロくんにあったよ」
「うん、みたいだね。さっきメールで聞いたよ。もうミキミたらまた間違えて送っていたから」
俺はミキミ達の前に現れた。




