海33
皆様、あけましておめでとうございます。今年も自分の作品をよろしくお願いいたします。
「新入りさっさとゲートがある宿に戻るぞ!早くこのことをボス達に知らせるんだ」
「わかった。テレポートした先で攻撃をされては困るので少し離れた場所に転移するぞ」
西村達に人形の件を含めてこの人達に報告させている間に俺はミキミ達がいる部屋に戻らせてもらって休息を取らせてもらおう。
まずは宿から離れた場所にテレポートをして不思議空間へと繋がるゲート?が一緒に行く必要あるが、宿のゲートを超えたら自由にさせてもらうとしよう。
さてと視界を飛ばして宿の周辺で異常がないか確認しよう。テレポートした直後に影の化け物みたいなのが目の前に現れて襲われるわけにはいかないからな。確認して安全が確認出来たらテレポートしよう。
「俺はここに残る。残って街に人形が行かないように食い止める。みんなが今の内に戻って」
寺から脱出した俺達は行動に移そうとしたが、シンが変なことを言いだした。
「何を言い出すんだ!アホなことを言うな」
「そうだよ。周りの壁がボロボロだから正面に構えても意味が無いわ。あの小さな人形なら壁に空いた穴からでも寺の外に出ているわよ。すでに数十分も経っているから数体は寺の外へ出て街に向かっているわよ。ここにいたって無意味なの。アナタも一緒に帰還するべきだわ」
イチローが罵倒し、アヤがシンを説得する。
「わかった。残っていても意味がないなら一緒に戻る」
「よし、満場一致で全員戻るに決定な。新入り行けるか?」
アヤの説得で折れたシンが少しテンションが下がっている横でイチローが問いかけてくる。
アヤがシンを説得している間、ヨウは俺の服を掴んで怯えきった目で早くと急かすように見つめてきていた。少し鬱陶しくてこいつだけ人形の部屋に戻してやろうと考えていた時に説得が終わり話が纏まったおかげでヨウのイチロー達の方へ向かった。俺の服は掴んだままだけど。
「いつでも行けるよ」
テレポート先には問題ないことは確認済み。人影すら見当たらない静かな夜の街と言った感じだ。街は俺達以外いなくなって代わりに化け物が跋扈するようになってしまったけど。
「それじゃいくよ」
俺は自身の掛け声と共に宿の近くの場所にテレポートをした。
テレポート先に選んだのは宿の近くに建つ民家の庭先。そこは隠れる場所が多いが民家を囲う塀が崩れているから見渡しがいい。事前に隠れる場所を一か所ずつ確認しといたから安全だ。何か起これば逃げ出すことも隠れることもできるいい場所だ。
でも昼間この民家を見かけたときは塀は崩れていなかったのに夜になって改めて見たらずいぶん前に崩れたようで塀の瓦礫に幾分かコケが生えていた。どこかの家と見間違えたのかな?しかし、隣の家も通りの向こうの家も一部とはいえ塀が崩れている。昼間の時はそんな家なかったはずなのにな。
「ここは?」
「宿の近くの民家の庭」
「早くゲートに向かうぞ」
さっそくと言わんばかりにイチローが崩れた塀を跨いで宿の方へ向かった。
俺達もイチローの後を追いかけるように塀を跨いだ。
遠くに複数の人影が見えた。
「みんな50メートル西に人影が見えた。周囲を警戒」
シンも人影に気づいたのかテキパキとみんなに指示を出していく。
俺は人影が見えた瞬間に視界を飛ばして、見えている影を確認する。遠目から見て四人から六人の集団に見える。そのすべてが影の化け物だったら分が悪く、ここから離れる必要がある。
「あれはスーパーアルティメット団のメンバーだよ。何人か怪我しているみたい」
「こんな暗闇の中でよく見えるな。能力で暗い場所でも見えるように目を弄ったのか。やるな。新入り」
視界で確認した情報を四人に伝えるとイチローが関心したように呟いた。
見たものを説明すると6人くらいの人数で、その中の何人かは数時間に行われたスーパーアルティメット団の基地である不思議空間の建物の中のブリーフィング的な作戦会議で見かけたメンバーがいた。別の場所に調査に行った別のグループの人達みたいだ。
調査の向かった先でミスをしたのか、それとも何か異常存在に襲われたのか二人ほど血まみれの状態で仲間に運ばれている最中だった。
「本当の仲間でもわからない。声をかけながらゆっくり近づくぞ。新入りとアヤは近づかずにこの場で待機だ。新入り、俺達に何かあればお前の能力のテレポートで引き寄せて回復させてくれ」
俺の言葉を全部飲み込んで警戒した状態のシンは指示を出してイチローとヨウを引き連れてゆっくりとそのグループに近づいていく。
このグループのヒーラーである俺が行動不能にならないように護衛のアヤを残したようだ。もし、あのグループが敵的な存在で襲ってきてシン達がやられた場合は安全な場所にテレポートしてシン達を治療しろと言うことだろう。本当に仲間なら負っている怪我を治療しろってことだろう。
なんて人使いが荒いんだ。俺は早く休みたいのに。乗り掛かった舟だ。とことん付きやってやろう。
今は視界を飛ばして様子を見ようじゃないか。
「お前はイチローじゃないか!なあ、頼むよ仲間を運ぶのを手伝ってくれ」
「高橋!」
向こうも警戒していたようだが、近づいてい来るのが仲間であることが分かって安堵した様子で手伝ってくれと懇願してきた。




