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海32

 視界に映る動く人形を見ながら俺はとんでもない物を世に解き放ってしまったようだと少しばかり後悔した。あの扉を開けなければこんなことにはならなかったと思うが、ここに来たのは調査の為だったので誰かしらドアを開けたと思う。


「これからどうすんのよ!部屋に閉じ込められたのよ」


 苛立ったようにアヤが問いかけてくる。

 イチローやヨウは何もできないのかアヤの問いに返すことなく黙ることしかできない。二人はこの状況を打破できる能力ではないようだ。ここにいるメンバーの能力は特に興味はないが、少しは役立ってほしい。


「そう騒ぐな。何が俺達を襲っているのか知る方が大切だ。誰か向こう側を見たヤツいないか」


 回復したシンがそうつぶやいた。

 シンが倒れたからそれどころではなかったから動く人形を見ていない。視界で見た俺以外は。


「人形が箸を投げていた」


 俺は静かにそう漏らした。

 シン以外の視線が俺を見た。


「人形が動いていたって?」

「マジ?道理で人形が減っていたわけだ」


 そんなことをアヤとイチローが口にするが、ヨウはこういうのは苦手なのか顔を青くして黙ってしまった。少し観察すると部屋の隅に座ってしまった。


「ねえ?コイツ大丈夫?」

「大丈夫だ。前の仕事で教命部の奴らと戦った時のトラウマだから気にするな。こういうヤツはこんな状況でも多少は動けるからな。動かないならきつく頬を叩いて正気にさせてくれ」


 あまりの怯えようで心配になったので質問をすると答えを必ず返してくれるシンに聞いてみると酷い回答が出た。これあんた等の仲間なのに酷い言い草だ。

 てか、教命部と戦ったって自由委員会よりかはマシな連中と戦う状況ってあるのか。教命部の人達は片手で数えられる程度しか知らないけどさ。俺の初コンタクトはたまたま利害が一致して共通の敵である自由委員会の施設から脱出したけど、スーパーアルティメット団とは別の組織だから根本的に敵対関係なのだろうか。教命部のメンバーであるミカも海に来ていたけどスーパーアルティメット団のメンバーの何人かは嫌な顔をしていたような気がする。

 近寄らず離れずのような関係あろう。場合によっては世界をこんな風にした現況の自由委員会とも手を組むかもしれないな。


「しかし人形が動いているのか。部屋にあったはずの四桁を超える人形が無いということはすべて動いていると見て間違いないな。ずっと部屋の中に籠っているわけにもいかないしな」

「強引に出ればいいだろう?誰かを盾にして」


 イチローが俺を見ながらそう言う。

 まさかと思うが、傷を治せる能力を持っている俺を盾にするともりじゃないだろう。

 流石に今の俺は女だからそういうのに使われないはずだ。腕が取れようが、足がもげようが、すぐに回復できる能力を持っているからと言って、ただ出るだけのことで飛んでくる尖った物から守る盾に使わないはずだ。もし死んだとしても命の護符があるから生き返ると踏んでいたとしても盾になるのは痛いから嫌だ。

 それなら。


「誰かを盾にか。この異常を本部に連絡する必要があるが」


 シンも俺の方へ視線を向けてきた。

 お前も俺を盾にするつもりなのか。あんなに語り合った中なのに。っと言って質問してその答えを返していただけの仲だけど。

 ここでうだうだやっていても無駄に時間が過ぎていくだけだからそろそろ動くか。


「イチローがドアを開けたら、俺が新入りを抱えて出る。その後ろからヨウとアヤがついて行く。すまないがイチローは救助が来るまでこの部屋で待機だ」

「りょーかい。ヨウが残るよりマシか。さてとヨウを正気にさせるか」

「私はヨウを盾に使っていいわよね?コイツたぶん動く人形を見たら失神するわよ?倒れたコイツが誰が運ぶの?私しかいないよね?きゃあ!えっ、外?今度は何!?」


 三人が作戦会議をしている間に全員を寺の外にテレポートをした。


「陰気臭い部屋の中に出られた?」

「そうみたいだぞ!やったな。ヨウ!」

「今のは空間の揺らぎか?違うな。テレポートのように感じた」

「外にでられたのはいいけどまた異常が発生したの?」


 閉じ込められた部屋から喜ぶヨウとイチロー。そして何か考察しているシン。疑い深いアヤは外へテレポートは何かの異常と思っているようだ。


「僕の能力、テレポートで外に出た。早く宿に戻ってこのことを報告しに戻るよ」


 テレポートのことを隠しても面倒なことになりそうなので、当たり前を言うようにさらっと言う。


「貴女の能力って治癒系じゃなかったの?」

「僕の能力は人の身体を自由に操作できるだけ。傷を塞がるようにできるし、新しい腕を生やすこともできる」

「でもその能力でテレポートできるんだよ?人の身体を操作できるだけじゃ空間をどうすることもできないぞ」

「能力を複数持っていることだろう。何珍しい事じゃない。彼女以外にも二つ三つ能力を持っている奴が何人かいるのを知っているだろう?」

「能力を隠していたんだぜ?」

「ボス達が知っているのだろう」


 なんとかテレポートを異常ではなく俺の能力だということを理解してもらった。

 寺から離れる前に視界を寺の中に飛ばしてっと。いつまでも俺達がいなくなった部屋のドアに尖った物を投げ続ける人形の何体かを四次元空間に入れておいた。

 報告するといっても現物があった方がいいだろう。

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