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海25

「これから寝るところ悪いけどお願いを聞いてくれるかな?」

「それで何?」


 分かり切っていることを改めて聞かれるとイラっと来るが、不機嫌を表しても何にも変わらない。でも相手は西村だしぶっきらびうに返してみた。


「西村さん。その前にいいですか?」

「うん。いいよ。私も知りたいし」


 俺をここに連れてきた男達の片方が西村に声をかけた。

 知りたい?何かここで西村に報告でもするのか?俺は関わりたくないから部屋から出た方がいいだろうか。


「マヒルさん。答えたくなければ答えなくていいですけど、貴女の能力を教えてください」


 と問いかけてきた。

 黒服の男達が俺の能力を知りたがるのはわかるが、西村はすでに俺の能力について知っているはずなのに何故、再度知りたがるのか理解できない。

 知りたいなら教えるけど。


「知っての通り、体の部位を操る能力です」


 俺はいつも通り答えた。


「それとテレポートと遠くの物を見ることができる能力、他人から認識されなくなるのと、未来予知と念力。最後に祝福の願書って言う本に願った四次元空間を作り出す力かな」


 俺の能力は今言った七つだ。

 能力者相手に話す設定上の体の部位を操る能力以外の能力を誰かに話したのは初めてだ。

 何故俺は今まで西村達にテレポートとか念力の能力を隠していたのか分からない。何か知られてはマズいと思っていたはずなのにそれが何だったのか忘れてしまった。忘れたならどうせ大したことではなかったのだろう。


「七、だと」

「おいおい、マジかよ。こいつはとんでもない化け物だぜ」


 俺を連れてきた男達が絶句するほど驚いている。その反面西村は静かに俺の話しを聞いていた。まるで俺の能力が複数持っているのを知っているみたいに。

 もしかしたら西村は俺をヘルメスさんだと気づいているのかもしれない。性別を偽っているのもバレているから俺のことをとことん調べて能力を複数持っている確信を得ていたのかもな。


「祝福の願書ね。こんな場所でそんな代物を聞くなんて思いもしなかった」


 西村は俺が今まで隠していた能力を晒したのも関わらず、目をつけたのは祝福の願書。もう少しリアクションがあってもいいと思うが、やはり西村は俺が能力を複数持っていたことを確信していたか。


「マヒルちゃん?今言った祝福の願書は今持っているかな?よければ見せてくれないか?」

「別に構わないけど、ちゃんと返してくださいよ」

「ああ、ちゃんと返すから」


 手元に四次元空間の入口を作ってその中に手を入れて祝福の願書を引き抜いて、祝福の願書を西村に手渡した。


「これが噂に聞く祝福の願書か。大きさの割には持った感じがしないほど軽い。表紙の文字は見たことが無い読める。これは説明文かな。ここまでは読めるが次のページは読めない。読めないというよりかは理解できないのか。これはこれで面白い」


 西村は渡された祝福の願書に触れ、ページを開いて書かれた文字を読んでいく。


「マヒルちゃん。この祝福の願書はオリジナルなのかい?」

「言っている意味が分かりません。オリジナルってコピーとか偽物でも出回っているの?その本は数時間前に空から降ってきましたよ。丁度雨が降ってきた時くらいかな」

「そう。参考になったよ。見せてくれてありがとう。君がそれを持っているのは誰にも話してはいけないよ」


 祝福の願書を返す際に「これは争いの元になるからね。それとまた借りるよ」と西村は付け加えるように言う。

 誰も彼もが欲しがるような願いが叶う本をあっさりと返された。一瞬、没収されるとでも思ったが、願いを一つも書かずに返された。西村の質問の意図が分からなかった。オリジナル?写本とかあるのだろうか?願いが叶う本の写本とか偽物が出回っていそうだ。

 西村が言う通りこの本は人を殺してでも手に入れたい代物だ。過去にこれを手に入れる為に大勢の人が死んだに違いない。

 黒服の男達がこそこそと祝福の願書について何だろうか話している。西村は祝福の願書について知っている風だったけど黒服の男達は知らないようだ。


「予想できないことを知ってしまったが、マヒルちゃんが自身の能力を打ち明けてくれて私は嬉しいよ」

「そうですか。自分の能力を隠しているのはスーパーアルティメット団内でもいますよね?能力を複数持っている子は隠していと思いますし、能力も個人情報だから話したがらない子もいると思いますけど?」


 心底嬉しそうに言う西村に対して、俺は冷たく言う。

 アイちゃんも自分のもう一つの能力を隠しているようだった。アイちゃんは人の心読む能力よりも人を操る能力の方が得意だったぽいけど。


「そんな子もいるだろうね。ちなみに僕は能力者を見極めることができるよ。その人がどんな能力なのかわからないけどね」


 いきなり自身の能力を暴露した西村は変哲もなく語った。おそらく西村は能力者を一目で見るだけで能力者だとわかる能力。西村には俺がどんな風に見えているのか分からないが、能力者は普通の人と違うように見えてそれで能力者と判断しているのだろう。

 能力者だと分かったから俺に近づいたんだ。ただ相手はどんな能力を持っているかわからないと言っているが、複数の能力を持っているとまた別の見え方に見えるのだろう。

 初めて出会う前に西村はどこかで俺を見かけて、接触してきた。その前から俺についての情報を漁っていた。あの遠足の日にはすでに調査済みと思った方がいい。あの時のパーキングエリアでは西村は偶然を装っていたが、あの日に俺を監視するためにスーパーアルティメット団のメンバーが複数人いたかもしえないな。

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