海23
サンドイッチを食べ終えて、落ち着いたところでリビングでお互いの体験した状況を話し合った。
「マヒルちゃん達の後について行こうとしたら血まみれの男の人が倒れていて、それから人がいっぱい集めってきてね。いつの間にか空が灰色の場所にいたの」
「うん。あれは不思議な感覚だった。あ、人が倒れているのはわからなかったけど部屋の外に女の人の悲鳴が聞こえて出たら、人影っぽい物が逃げているのを見たよ。暗くて男の人なのか女の人わからなかった。その後すぐに人が集まってきて何人かそれを追いかけて行ったよ?」
「そうなの?悲鳴が聞こえたけど私その後よく覚えてないのよね?」
田中さんが「まだ二十代なのに忘れっぽくなったのかしら」とポヤポヤした様子で言って残ったサンドイッチを食べる。
ミキミ達の話を聞く限り、俺達がコインランドリーへ向かった時に宿の部屋の近くに影の化け物が現れたらしい。男を襲った後にスーパーアルティメット団の連中がその後を追ったようだけど、コインランドリーで襲われた時に近くにスーパーアルティメット団の連中がいなかったからタマコが見たのは俺達を襲ったのと別の個体か?宿には神出鬼没な影の化け物が二体以上がいるのか?
スーパーアルティメット団の連中が管理しているこのマンションには現れないだろう。
ミキミ達はこの空間にいつの間にかいたといっているが、記憶を操作されているのか、ここに来るまでの移動する間に催眠状態で連れてこられたようだ。催眠術みたいな能力を持っている人が何人いてもおかしくないな。
「よかった。私達はコインランドリーでタマコが見た影のオバケみたいなヤツに襲われたのよ。マヒルちゃんが火事場の馬鹿力のキックで追い払ってくれたのよ。その後に私達をここ連れてきてくれたお兄さん達の一人が襲われたんだけど倒したみたい。マヒルちゃんも凄く怖かったよね」
「馬鹿力は余計だよ。僕は思わず足が出たって言うか。足を振り上げて押したら当たったんだよ」
ミキミ達と出会えて安心したのかさっきまで顔が真っ青だったルカが俺達の体験したことをミキミ達に話した。俺を称賛するルカに偶然と言わんばかりに誤魔化した。
ミキミ達は運がよかった言うよりかは近くの客室にいたスーパーアルティメット団の連中が駆けつけたことで影の化け物に襲われずに済んだみたいだ。
「でもマヒルちゃんがあの時やってくれなちゃ、」
ルカの顔が曇る。たぶんスーパーアルティメット団の人が襲われ光景を思い出したのだろう。
「大丈夫。ここにいればあの化け物は来ないよ」
「大丈夫じゃないよ。マヒルちゃん私を庇って刺されたじゃん。その浴衣に空いた穴と赤いシミ」
「え?マヒルちゃん大丈夫なの!救急車!」
今にも泣きそうな表情で俺が着ている浴衣の赤いシミを指した。コインランドリーで刺されたことをルカは覚えていたようだ。
ミキミ達には言えないように隠していたのに。こうなるのであればさっさと着替えればよかった。ここに着替えがあるかどうかは知らないけど。
「あー、そんなに騒がないで僕は大丈夫だから」
ミキミ達を安心させるために浴衣を捲って赤いシミが当る場所の肌を見せえる。
影の化け物から逃げる最中に治したから、見せている肌は傷一つない綺麗な肌がある。
「ほらね?ないだろ?」
見せたからこれで安心してくれるはずだ。
「マヒルちゃん下着はどうしたの?」
「え?浴衣の中って下着を付けない方がいいんじゃないの?僕、水着とスマホと財布ぐらいしか持ってきてないよ?普通はつけないんじゃないの?」
顔を赤いミキミが大慌てで俺の身体を指した。
ミキミの指摘の通り俺はノーパンだ。
コインランドリーの洗濯機の中に下着類も入れてきたから今下着はない。必要な物があれば自宅や無人島にテレポートして持ってくるつもりでいたからな。
ここでテレポートを使えるかはわからないけど、視界が薄皮一枚の壁の向こう側が見えないのでテレポートで出られないと考えた方がいい。
「付ける人はつけるよ。それにパンツはどうしたの?」
「コインランドリーで洗おうとしたら襲われたから置いてきた」
みんなが着てきた物も置いてきたけどね。
取りに行くにもこの謎空間から抜け出さなくちゃいけないけど、膜のような壁を見つけられれば宿に戻れると思う。
みんなが寝静まったらヘルメスさんタイムかな?この空間でスーパーアルティメット団の連中に見つからないように暗躍するのは骨が折れそうだ。
ピンポーン。
そんな時、この部屋のと思われる呼び鈴が鳴った。
「誰かが来たみたいね。私行ってみるわ」
黙って俺達の話を聞いていた田中さんが確認しに行った。
なんだか余計なことを頼まれそうな気がしてきたぞ。




