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海19

 私達はエレベータを出た先に四方向に無限に近い廊下が続いていた。


「なにこれ?」

「いやいや、あわない。あわないよ」


 田中さんの発狂に近い呟きが廊下に響いた。

 現在私達がいるフロアの広さは100メートル以上続いているが、外で見たビルの横幅と奥行が合わない上に廊下にある扉は2メートル間隔で設置されている。

 目の錯覚かと続いている廊下を疑ったが、奥で子供達が走って競争しているので廊下の奥行きは目の錯覚ではないようだ。


「私達の部屋はこっちみたいよ?」


 田中さんは長い廊下のことは一旦、見なかったようだ。

 廊下は一方通行だから迷う心配はないようだけど、どっちの方向にエレベータがあるのかわからなくなりそうだ。できればエレベータはこっちですってみたいな感じで案内標識が欲しい。

 田中さんが受付で渡された鍵の札の数字と扉の描かれた部屋番号を確認しながら廊下に進む。


「ここよ」


 鍵に付いた札と部屋番号が同じ数字に扉に付いた。

 何メートル歩いたかわからないが、結構な距離を歩いたと思う。どれほど歩いても廊下と扉の景色が変わらないから長距離を歩いたと錯覚しているかもしれないけど。

 扉の鍵穴に鍵を鎖して回す。カチャリと音が鳴り、鍵が開いたようだ。

 2メートル間隔で扉が設置してあるから中の部屋はビジネスホテル以上に狭いに違いない。こんなに部屋があるのなら一人一部屋でもよかったのに、でもマヒルちゃんと狭い部屋で二人っきりも悪くない。


 私達三人は扉の奥へ進む。その先は私の予想が外れた。

 一般的な玄関があった。そこで靴を脱いで部屋に上がり、もっと先へ進むと広々としたリビングがあった。とても2メートル間隔の扉から入ったとは思えない広さだ。家具もあるが、窓が一つも無い。

 その場に持ってきた荷物を下ろした。

 今まで黙っていたタマコちゃんはリビングの家具や壁に触れて何かを確かめている。


「こっちに上に上がる階段があるわよ。見てくるわね」


 田中さんがリビングにあった階段を発見したみたい。

 年甲斐もなくワクワクした顔で2階へ上っていった。さっきまえ目に映る物が信じられないといった顔をしていたのに。

 私はリビングに設置してあったソファーに座ってここから脱することを考えたが、ここにどうやって来たかわからないのに抜け出す方法を考えても思い浮かばないのは当然。無駄なことだ。私はここでマヒルちゃん達が来るまで待つしかできない。


「マヒル達のことが心配なの?」


 タマコちゃんがホフンと私の隣に座った。


「うん。ここを抜け出して探していきたいけど、ここにどうやって来たのか分からなくて」

「わからないならここで待っていようよ。きっと私達をここに連れてきた人達がマヒル達を連れていってくれるはずよ」


 とタマコちゃんはそういうけど私は悠長に待っていられない。

 私はヤキモキしながらタマコちゃんに体重を預けた。


 ☆


 男達と共に行動して彼是一時間弱経過した。宿を出て何故か宿の近くにあった神社に来ていた。

 相も変わらず、外は雨が降り続けいているから宿の裏口にあった傘立てから傘を拝借した。男達は三人ほど傘を取らずに外に出た。傘をさしていると片手が塞がるから取らなかったのだろう。

 宿の裏口から出て宿の裏庭を通って神社に来たが、宿の裏口は管理が行き届いていないのか雑草がぼうぼうと生えてあり、裏から見た宿は寂れた風に見えた。田舎だし若い者達が減り続ける上にこの間のウイルス騒ぎで男性が大幅に減ったから裏の管理ができてないのあろう。

 観光客が少ない中で裏の管理をしていなかったのかもしれないけど。ウイルス騒ぎが無かったとしても30年、40年後には過疎化が進行して誰も住まなくなって廃墟の街化していくだろう。


「マヒルちゃん、大丈夫?手を握っててもいいのよ?」

「僕は大丈夫だよ。それよりももう少し早く歩こうよ?ちょっと遅れているよ」


 スーパーアルティメット団の男達に守られながら神社に着いた。夜とは言えない時間帯の為俺達の周りは暗い。砂利道の設置してある電灯は足元を明るく照らすことはなく、寂しいただの夜のオブジェに成り下がった。田舎でも人通りの少なくても道路の電灯は無駄に地面を照らして、光に群がる虫を漂わせているはずなのにこの街の街灯は寂しげに砂利道の飾りになっている。

 なので明かりは男達の懐中電灯だよりだ。和風探索ホラーゲームみたいな感じだ。

 真っ暗な神社は雑草が伸び放題で人の手入れがされていないことで奇奇怪怪な雰囲気を醸し出している。そんな雰囲気が苦手なのか、それともさっきの陰の化け物にまだビビっているのかルカはやたらと俺の手を握ろうとしている。肝試し気分でこの場にいる俺の手を握った状態でいたら、野生動物がひょこっと顔を出した程度の驚きで握っていたルカの手を奇奇怪怪な物に変えかねないのでやんわりと断っている。


「封印していた形跡もないし、何かが壊れた形跡もない」

「こっちも何もない」

「草がのびのびと生えていること以外はこの神社は問題ないな。この現象が起きたのは別な場所と思うぞ」


 俺とルカと二人の男は神社の石畳の上で待っていると、神社を調査していたスーパーアルティメット団の男達が腰ぐらいまで伸びた草をかき分けながら戻ってきた。

 話しを聞いていたが、スーパーアルティメット団の連中は影の化け物の正体を知るために調査しているようで、正体を知るためにこんなくらい神社まで来たという。そして俺とルカは付き合わされたといった感じだ。


「そうだな。宿にいた時に比べて真っ黒いヤツの姿もないしな。よし、俺達は宿の中に戻って調査を進めよう」


 調査した結果、神社には何もなかったそうで、影の化け物がうろついているであろう宿に戻ることになった。

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