海17
俺は男の問いに頷きで返した。
「そうか。まあ、失言は少なかったし、問題ないっしょ?てっきりマヒルちゃんと一緒にいたからうちの子とばかり」
ポジティブなのか気にしていない風に装っているが、頬に落ちる冷汗はマズいと物語っている。もう口を閉じてほしいよ。俺も
冷汗は見なかったことにして、ルカにはこの人達は遠足の時に助けてくれた人の仲間と説明すれば能力のことは目を瞑ってくれると思う。
「マヒルちゃん。うちの子ってどういう意味なの?」
「きっと僕らのことをバスで一緒に来た子達と思っているみたい。ここに着いた時何台もバスがあったじゃん?あの中に僕の知り合いが何人もいて、たぶんその子達も僕がバスで一緒に来たと思ってこの人達に話したんじゃない?」
ルカが小声でそんなことを聞いてきたから俺も同じように仲間だと思われないように返した。こんな説明をすれば俺がこの人達の仲間とはいかなくても知り合い程度だと思ってくれるはずだ。
「でも別の人はマヒルちゃんのことを新入りって呼んでいたよ?」
「それは気にしなくていいよ。深い意味はない」
本当に深い意味はない。不快だけども。スーパーアルティメット団のメンバーだって言いたくはないけど、他の能力者の組織からの勧誘はめんどくさそうだし、勧誘されないために所属していることにしといた方がいいよな。俺が知っている中で他の組織って世界中に人が死ぬウイルスを平気でまき散らす委員会とか宗教の部とかしかわからないけど。
もしかすると西村に弱みを握られているわけだからな。
「話は終わったか?俺達はこっちに用があるから付いてこい」
「ごめんね。調べものが終わったら友達がいる場所に案内するから」
俺達は男達と行動することになった。
☆☆☆
一方ミキミ達は見知らぬ人達に連れられてどこかに連れてこられていた。
「何ここ?空が灰色?銀色?」
私の目の前には空に届きそうな高いビルが二棟も立っていた。それに加えて空が灰色なのか銀色なのかどっちにも見える異常な色をしていた。
さっきまでいた田舎の港町とは思えない物がここにはあった。
「ミキミ平気?」
「どこか座る場所を聞いてみる」
異常な光景を目にして私は戸惑っているとタマコちゃんと田中さんが心配そうに私の顔を覗く。
「ううん。大丈夫」
本当はさっきの出来事で大丈夫じゃないけど、二人に心配させないようにカラ元気で誤魔化す。
今すぐにでもマヒルちゃんを探しに行きたいけど、さっきマヒルちゃん達がコインランドリーコーナーへ行ったあとに私もついて行こうとしたら部屋の外の廊下で物音がしたと思ったら、私と同じくらいの男の人が血まみれで倒れていた。
ショッキングな光景に悲鳴を上げると知らない人がいっぱい出てきて、その後はタマコちゃんと田中さんと三人でここに連れてこられた。
ここがどういう場所かわからないけど、ルカちゃんも心配だけど早くマヒルちゃんに会いたい。
倒れていた男の人は何者かに襲われたみたいだからマヒルちゃん達も無事でいて。
ここにどうやって来たのか見当もつかないから宿に戻る方法が分からない。小学生くらいの子達が無邪気に走り回っているから危険な場所ではなさそう。
「街の住民が全員いないですって!」
「ええ、そうなんです。宿の従業員以外にも他の民家にも誰一人いなくて、まるで元々いなかったみたいで。外に連絡が取れない今どうすればいいのでしょうか?医療班の子達も見回り組にほとんどついて行ってしまいましたので死傷者が出るトラブルが起きないといいんですが」
「そんなフラグを立てるようなことを言わないで!このあと西村さんに用事があるから一緒に言うわ」
揉めているような話し声につられて行ってみたら、私達をここに連れてきた人達が建物の陰でなにやら話しているようだった。盗み聞きするつもりは毛ほども無かったが、気になったので物陰に隠れて話しを聞いてみる。
もしかしたら宿に戻る方法をうっかり喋ってくれるかも入れない。
町の住民が忽然と消えたみたい。
「で?宿の宿泊客の避難は全員ここに連れてきたの?」
「いえ、二人ほど一般人がいないと報告がありました。それと宿の管理室で台帳と照らし合わせて二人ほど人数が足りないので宿に二人残されているようです。あとリンちゃんがマヒルちゃんがいないと騒いでましたが、噂の新入りだと思いますけどマヒルって子も見回り組に入ってましたか?」
「ハァ?その子もいないの?三人が行方不明なのね。見回り組に保護されていればいいけど」
ここに宿の宿泊客をほとんど連れてきたみたいなことを言っているようで、数名ほど取り残しあるみたいなことを言っているけど、ほとんど何を言っているのか理解できない。見回り組は街を見回っているのか。街の人達が消えたことと関係しているのだろうかな?
大学生みたいだけどこの人もマヒルちゃんのことを新入りって言っている。
何のことだろうと考えていると。
「ちょっとあなたそこで何しているの?一般の方はさっさと中に入りなさい」
後ろから声をかけられた。




