海15
俺とルカは懐中電灯の明かりが眩しくて、明かりを遮る為に手を翳した。懐中電灯の明かりが強すぎて相手の男達の顔がよく見えないけど人のようだ。
「女の子?」
「君!怪我しているのか?!ここは危ないから誰か彼女達を安全なところに連れていってくれ」
俺の浴衣に赤いシミがあることに気づいた男が仲間に呼びかけている。
浴衣に付いた赤いシミは影のせいで刃物で刺さった腹部から出血したときに出たものだ。すでに傷は治っているが、浴衣が汚れているなら弁償しなければいけないだろうか?刃物が刺さった穴もあるわけだし、俺の能力は服も治せたらいいんだけどな。
「待て!この子達は本当に人なのか?さっきの化け物の仲間だったとしたら迂闊に近づいたら殺されるぞ。さっき一人殺されたんだぞ。赤いシミだって俺達を誘う罠かもしれない」
一人の男が仲間達に忠告をする。俺達に駆け寄ろうとしていた男がぴったりと動きを止めて忠告する男の顔を窺う。
男達もさっきの陰みたいな化け物に遭遇して襲われたらしい。もしかするとあれ以外にもいるとなると複数いると思ったほうがよさそうだ。俺達の近くにはいないようだけど。
「マヒルちゃん」
とルカが心配そうに俺の浴衣の裾を握る。
影みたいな化け物に襲われたばかりなのに急に出てきた男達に化け物の仲間という疑いをかけられて気分は最悪だろう。
「ん?マヒル?聞いたことがある名前だな。その名前は確か、そうだ!お前が噂の新入りか?」
「でもよぉ。ここにいるヤツで新入りの顔を知っているヤツっているのか?」
「お前知っている?」
「知らん。だけど新入りってアキラが転校していった学校の生徒だよな。こんなことならアキラを連れてくるんだったぜ」
男達はお互いに聞きあっているが、俺の名前を知っているだけで顔を知らないようだ。俺の名前を知っているなのとアキラを知っているってことはこの男達はスーパーアルティメット団か。
「マヒルちゃん。この人達知り合いなの?」
「まあね。とある団体の人達でね。訳あって」
ルカに誤魔化しつつも、男達の様子を見る。
俺達を化け物の仲間と思っているのが不明だが、早く通してほしい。ルカ達には能力のことやスーパーアルティメット団のことを隠しているからボロが出る前に男達の前から去りたい。
向こうも俺達のことを疑っているみたいだし。
ここで無駄に時間を浪費するのも向こうとって悪いはずだしさ。
「僕達はあなた達に何もしないからここを通してほしい」
「ダメだ!この先は客間だ。化け物の仲間かもしれない奴をここを通すわけにはいかない。だが、お前が噂の新入りなら、能力を見せてみろ」
ただ俺達はここを通らせてほしいと頼んでみたが、忠告男がとんでもないことを言いだした。
俺の後ろで隠れているルカも「能力って何?」と困惑している様子で俺に問いかけてくる。
今俺が能力を見せたところで化け物の仲間じゃないと証明するに値しないのに、逆に能力を見せたところで化け物の仲間だって言われて攻撃されそうで怖い。てか、俺の名前が暇っているから俺の能力一つでもある体の部位を自由に操れることはスーパーアルティメット団内で広まっているかもしれない。
男達が持っている物は懐中電灯ぐらいしかないが、男達はスーパーアルティメット団だからどんな能力を持っているのか不明だ。化け物を探しているみたいだから攻撃系の能力を持っているはずだ。
仲間が襲われて殺されたと言っているから化け物を撃退している。影の化け物は俺の蹴りで吹っ飛んでったから物理的に大勢でタコ殴りすれば撃退はたやすいと思うけど。
俺が能力を見せるかどうかで迷っていると奴は現れた。
俺達を警戒してる男達の後ろに影のような人型が姿を現した。さっきの陰とくらべて一回り大きい。
「おい!後ろに化け物がいる!」
「がああ!」
「きゃああっむぐ」
視界で周囲を探索して近くにいないのを確認していたはずなのに急に現れた。テレポートみたいな能力で移動してきたに違いない。となると視界で周囲を警戒しても無駄になるが、不意打ちは避けられる。
男達が振り向くころにはすでに遅く、影から一番近い男が背中から刃物でざくざくとめった刺しにあった。
目の前のグロッキーな光景にルカが悲鳴をあげた。
これ以上化け物を呼び込まないために悲鳴をあげるルカの口を手でふさいだ。
窓の外は今だに雨が降り続けている。




