海11
タイミングの悪いことにスーパーアルティメット団の彼女達にバッタリと出会ってしまった。
「まあね。運が悪いことにこの土砂降りで帰道も塞がれてね。今夜は友達とここに泊ることになっちゃったよ。そっちも?大人数で来ていたような気がするけど全員泊まれないよね?」
スーパーアルティメット団は数台のバスで来ていたはずだから、宿屋とは言ってもホテルのように何十部屋も無い。全員は泊まれないはずだ。
「ほんとうに災厄よね。海に来たって言うのに。まあ、私達も同じ感じだけど女性陣と小学生の男の子と数名の男子が泊まことになったわ。それ以外はバスで寝泊まりするらしいわ」
他のお客さんが泊まれなくなったら悪いしね。とアイちゃんが続ける。
女子と小学生の男の子は泊まるのか。女子はいいとして、数名の男子が泊まるのは小学生の男の子だけで泊まらせるわけにはいかないので保護者兼お目付け役として宿に泊まるのだろう。それ以外は可愛そうなことにバスで寝泊まりか。男子のほとんどが泊まれないって何百人レベルで来ているんだよ。
俺達やスーパーアルティメット団以外の客がいるみたいだし、秘密組織なのにそこらへんはわきまえているようだ。
てか、リッカはなんかさっきから喋らずによそよそしい。俺はリッカに何かしたっけ?
「どうしたの?マヒル?」
「その子達はさっき言っていた知り合いなの?」
「もういいでしょ?行こう。マヒルちゃん」
「ちょっとミキミ?」
タマコやルカがリッカとアイちゃんに気づいた。
二人にリッカとアイちゃんの紹介しようとしたら、ずっと俺の手を握っていたミキミが手を引いて部屋に行こうとしている。俺はそれでもいい。あまりスーパーアルティメット団と接点を増やしたくないからミキミの強引な行動は嬉しい。
俺がアイちゃんと喋っている間に田中さんと店員さんはもう先に言ってしまった。後ろにいたはずの俺達がいないと気づいたらさどかしびっくりするだろう。どの部屋に泊るかは田中さんがチェックインする時に店員さんが言っていたのを聞いたから大丈夫だ。
「あー!本当にいた!」
ミキミに手を引っ張られながら宿の廊下に進む。俺達の後ろにタマコとルカが付いてくる。
そこに奇声をあげた子が俺達に向かって駆け寄ってきた。珍しくタマコが引いている。
てかミカだ。
彼女はこの間のウイルス事件で大活躍をしたミカだ。彼女の能力のお陰で世界はウイルス脅威から世界中の男性の命を救った人だ。ただ変な宗教的組織に所属しているからお近づきになりたくない人物だ。
そしてウイルスに感染させるために俺の能力で女の子から男子にした子だ。
あれからいろいろあって性別を戻すのを忘れていた。
「もう酷いんだから、やったらやったでそのまま放置するなんて。私達のような崇高な組織を理解できないあなた達スーパ」
俺は咄嗟にミカの口を塞いだ。
危ない。ミキミ達はスーパーアルティメット団とは無関係だから知られるわけにはいかない。
ミカの言動から察するにミカはスーパーアルティメット団を見下している節がある。ミカと同じ教命部のネネ達は西村に対して好意的とは言えないが、一定のレベルの信頼を寄せていた。自由委員会の件ではそう見えたかもしれないが腹の中では見下しているかもしれない。一部友人同士はいるかもしれないが、組織的に思うところがあるのかもしれない。
ミカの身体に触れたのでついでに身体を元の性別に戻しておいた。
「これでいいだろう?」
「ぷっは。もう終わったの?早くない私の口しか触れていないわよね」
ミカは性別が元に戻ったのか確かめる為にズボン越しであるが、股に触れている。俺でミキミ達から見えないが、体の構造上の女子しかいないこの場で確かめるのはやめてほしい。
性別を戻してもらう為にここまで来るなんて執念だ。帰り道は土砂で通れなくったからミカもここに泊るのだろうな。
趣味の範囲で男として一週間ほど暮らした感想を聞いてみたい。俺以外で性転換をした感想を。それはまた今度にして。
「ミカも海へ遊びに?」
「知り合いが噂のあんたが来てるって言うから来たのよ。なのに帰り道は土砂に埋もれて帰れなくなるし最悪よ」
噂ってなんのだよ。スーパーアルティメット団の中の噂だから聞きたくないけど。知り合いって言うのはスーパーアルティメット団の中にいるのだろう。
「ところで部活の友達と来たの?」
「部活?私達の集まりを部活動かなんかと勘違いしてない?私だからいいけど他の人前で言わないでよ。これ忠告よ?私が海に行くって言ったら二人ぐらいついてきたわ。せっかく来たのに外はこんな大雨で落ち込んでいたけどね」
教命部の組織名を伏せて言ったのに忠告された。部活みたいに言うのは教命部に対しての煽り文句の鉄板ネタみたいな感じなのだろか?
ずっぽりと浸かった教命部の人の前で言うと殺されるのかな?だったら名前を変えてほしい物だ。
教命部の仲間は二人ということか。宿の中を一通り視界で見て回ったけど自由委員会の基地で見た人はいなかった。




