海4
「マヒルちゃんありがとう!」
リンちゃんはそう言い残して俺の目の前から消えた。先に遊んでいる仲間達の下へ行ったのだろう。
やってもらいたかったことをしてもらって、後は用済みてことかな?さてと、自由になったからここから誰にも会わずに戻るとしよう。
「貴女も来ていたのね?丁度いいわ。前みたいに私をナイスバディーにして頂戴」
ハイドモードでミキミ達の下へ行こうとしたが、水着を片手に持ったアイちゃんが登場した。
アイちゃんは自身の幼児体型にコンプレックスを抱いている節があり、それを解消できる能力を持つ俺に胸を大きくしたのだ。今回も背が低いから背を高くしろと言っているのだろう。
今のアイちゃんは背が低いのに胸が大きい、いわゆる人為的なロリ巨乳体型だから背を高くすることによってアイちゃんが望んだボディーなるとでも思っているのだろう。だが、現実は甘くわない。何故なら。
「君って身体を操作できる子なのね。じゃあ、私もお願い。お尻のお肉が気になって小さくしてほしいの」
「次は私。胸を大きくして!」
「その次は私で」
アイちゃんを皮切りにテント内にいた女性陣が次々と名乗りを上げた。小柄なアイちゃんは名乗りを上げる女性陣の波に埋もれて波の外に押し出されてしまった。
ガチの幼女なリンちゃんが試着室から出たら大人の姿になって出てきたところを見ていた女性達は、一緒に試着室に入って出てきた俺がなにかしらの能力を使って成長させたと思っただろう。そしてリンちゃんはまだ子供で駄々をこねられて、仕方なく能力を使わせられたと思われていたから我慢していたのだろうが、自称大学生のロリ巨乳のアイちゃんが俺に頼んだのを皮切りに「リンちゃんのように頼んでいいんだ」と判断されて俺の下に集まってきた。
「待ってこんなに集まられても、僕こんなに大勢できない」
と困惑する演技をしながら、テントから抜け出す算段を考えていたが、集まる女性陣はスーパーアルティメット団の人達でどんな能力を持っているのか未知数の為、この場から抜け出すことは困難。諦めて一人一人要望を叶えることになった。
アイちゃんは最後だった。
「そういえば教命部のミカがマヒルを探していたわ。なんでも元に戻せってうちの子達に怒鳴り散らして来たらしいわ。貴女、あの子に何かしたの?それよりも貴女に教命部の知り合いがいたのが驚いたわ」
「この間のウイルス騒ぎの時にね」
そういえばミカを男にしたままだった。あの時は自由委員会の施設から抜け出して、その場で解散したからミカの性別を元に戻すのを忘れていた。あれからだいぶ時間が経過しているから俺と似た能力の人に頼んで性別を戻しているかもしれないと思っていた。
他に性別を変えられる能力を持っている人がいれば、あの場に俺を呼ぶ必要が無いか。自由に性別を変えられる能力ってレアなのかもそれないな。他にもありそうなのに。
更衣室のテントから出てミキミ達がいる場所に戻る。
戻る途中でスーパーアルティメット団の陽キャに絡まれて、トロピカルなジュースや紙のお皿に盛られた焼きそばや焼き肉を渡された。せっかくもらったので捨てずに食べた。めちゃくちゃうまかった。たぶん高いお肉とかを使っているんだと思う。凄く柔らかかったし、とろけていた。
でもせっかく買ったジュースがぬるくなってしまった。ぬるくなってしまったジュースをミキミ達に渡すのもあれなので買いなおした。ぬるくなったジュースは無人島に送った。後日、無人島にいるときに飲むとしよう。
「マヒルちゃんどこ行っていたの!みんなで探したんだよ?」
先ほどの自動販売機でジュースを買っているとミキミが走ってきて、凄い剣幕で俺の手を掴んだ。
「いや、途中で知り合いに絡まれていて。それで、心配かけたようでごめん」
「中々戻ってこないからまた誘拐されたと思ったよ。タマコちゃんはナンパされていたからマヒルちゃんもって思って、よかった。買ったジュース持つよ」
スーパーアルティメット団のことはミキミ達には言えないので、歯切れの悪いような言い方で何とか誤魔化そうとしたが、安心したような感じでミキミが自己完結して納得してくれた。俺の言い訳で納得してくれたかは、謎だ。今しがた買ったジュースを半分持ってくれた。
タマコをナンパしたヤツは見る目が無いと思う。
「あ!お姉さんいた!」
「お姉さん、僕をリンちゃんみたいに大きくして!」
「僕も」
「私も」
「っえ?この子達何?」
スーパーアルティメット団のちびっ子軍団に囲まれてしまった。
リンちゃんが成長した姿をこの子達に見せびらかしたから自分も大人の姿になりたいと俺を探し回っていたらしく、俺はそれに見つかったらしい。
ミキミの前だから能力云々のことは言えないし、どうやってこの状況を誤魔化すか。




