海2
「何して遊ぶ?ボールとか二人用の浮き輪とかあるよ」
田中さんが設置したビーチパラソルとレジャーシートの上で荷物を置いて、ミキミが何して遊ぶか聞いてきて、自分の鞄からビーチボールや大きい浮き輪を取り出した。
「その大きいの誰が膨らますんだよ?僕は喉が渇いたから自販機で飲み物を買ってくるけど、みんなは何がいい?」
「マヒルのおごり?」
自身の鞄から財布を取り出して聞くとタマコが俺のおごりかと聞いてきた。さっきまでグロッキーだった奴が調子を取り戻して、田中さんが敷いたレジャーシートの上で寝そべりながらスマホを弄っていやがる。スマホで見ているのは都市伝説のまとめサイトとヘルメスさん関連のどちらかだろう。
田中さんは運転や場所取りをしてくれたからジュースくらいは奢ろうと思うけど。ついでだから全員分買ってきてやろう。
それぞれ飲みたい物を聞いて自販機がある場所へと向かう。
向かう際にミキミも一緒に行くと言ってきたが、買いに行っている間に浮き輪とか膨らませろと言いつけて置いた。一応、空気入れを持ってきてたから俺が戻るまでにビーチボールまでは膨らませているはず。
田中さんは全員分のお金を渡そうとしていたが、俺は受け取らなかった。昨日や一昨日の夜に体売りの女として仕事をしたから財布には結構な額の金が入っている。
自販機は視界で場所は把握しているから往復五分もかからないだろう。
「お姉さん俺らと遊ばない?」
「ここの海の穴場知ってんだ。そこから見える海が絶景だから一緒に見に行こうよ」
「うーー」
その途中でナンパを見かけた。二人のチャラ男が高身長の女性に声をかけて遊びに誘っているようで、かけられている女性は困っているかのように下にうつむいて唸っている。
可哀そうとは思うけど、大人ななんだから自分で何とかするだろう。俺もナンパには気をつけないとな。その時は無視してハイドモードで姿をくらませれば幽霊だと思うだろう。大勢男が亡くなったのにナンパするような男の人は生き残るんだな。
俺とは別ベクトルでしぶといのだろうか?ただ単に運がよかったのかな?
と考えている高身長の女性と目が合ってしまった。高身長の女性は俺が知っている子だったよ。
「マヒルちゃん!助けて!この人達急に話しかけてきたの」
そういって高身長女性は俺の後ろに逃げ込んで隠れた。
俺を巻きこむなよ。まったく迷惑だな。
「その子の友達?君も一緒に遊ぼうよ。その子俺達がせっかく誘っているのに何も話してくれなくてさぁ」
「その水着ってスク水着?いいね!高校生かな?」
男達はナンパの獲物が増えてテンションが上がったのか捲し立てるように話し始めた。
「おい、うちの団員に気安く話しかけるんじゃねえ!」
「そうよ。うちの子達はナンパ禁止なのよーん。でも遊び相手がほしいなら、わ・た・しが特別に遊んであげるわ」
ムキムキの男がドスを聞かせながら男達の肩を掴んで持ち上げた。その後ろから小男のオカマのお兄さんが舌なめずりをしながら指で片方の男の腹をなぞる。
その後のナンパ男達の運命は知りたくないので、俺は改めて自販機へ向かう。俺の後ろに高身長女性、リッカが後ろについてくる。
「ま、マヒルちゃん助けてくれてありがとう」
「僕は何もしてないけど?助けたのはあの二人だよ。後でお礼でも言いな。それとリッカ、連れがいるとか言えばああいう奴らは去っていくよ?勇気を出さなちゃダメだよ。無理なら無視して相手にしない方がいいよ」
ポロポロとリッカが泣き出してしまった。涙を拭けるものはない。ハンカチをテレポーチで取り寄せることはできるが、リッカは俺の能力を身体を変化させる能力と思っているから迂闊に他の能力を使用できない。使う場面は限られると思うけど。
泣き出したリッカのような気が弱い女の子はナンパは怖いだろう。誰だか知らない人に話しかけられたら何も言わずに黙るのは理解できる。しかもグイグイ来る男の人だったから断ることはリッカにとって高レベルな行動だろう。
泣き止むようにリッカの頭に手を伸ばして頭を撫でてやる。
リッカとの身長差があるため、背伸びしないと手が届かない。また背が伸びたかな?
「落ち着いた?」
「うん。アヒルちゃんも来ていたんだね」
「さっき着いたばかりなんだ。リッカは家族と来たの?」
「え?小さい子達のワガママで海へ行こうって話になったから全国のスーパーアルティメット団のみんなで海に行くって、マヒルちゃんもそうじゃないの?アキラさんあたりから聞いてない?」
「聞いてないよ。最近学校で全然会ってないから。僕は学校の友達と一緒に来たんだ」
スーパーアルティメット団がここに来るなら別の海をミキミに進めたのに。
アキラのヤツ、学校で俺達の話を聞いていたな。きっと俺を海に誘う隙を伺っている時に聞いて、俺がここの海に来ることを知ってあえて言わなかったな。




