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『長編版』ゴリラ物語 〜全てはゴリラとバナナで解決〜  作者: ほしのしずく
ゴリラ、仕事終わりにスーパーへ行く

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スーパーへ

 1月25日(金)


 時刻【19:00】

 天気【雪 最低気温5℃ 最高気温10℃】


 仕事を終えたゴリラは地元スーパーのマルデ・プラザを訪れていた。


 買い物カゴを持ったゴリラは気合いを入れると、入口付近のオリジナルブランドの衣服が売られているファッション雑貨ゾーンを通り抜けていく。


「ゴリラさん! 今日もお買い物ですか?」


 彼に話し掛けるのは、茶色のハンチング帽を被り、赤、黄色、黒色のカラフルなボーダーラインが胸元に入ったニット生地のセーター。

 クリーム色のテーパードパンツにムートンブーツを履いた身長150cmの女性店員。


 森野(もりの)さき28歳。


 彼女も例の如くゴリラとバナ友だ。


 そして、実は……ゴリラがオーダーメイドのバナナの椅子を発注したデザイナーでもある。


 話し掛けられたゴリラは仕事終わりということもあり、とても上機嫌で白い歯を見せて応じていた。


「ウホ、ウホ!」

 

「金の房ですか?! えっ、でも高くないですか?」


 金の房というのはユニフルーティーの自信作。

 高原で長期熟成栽培をしているバナナであり、その果肉はぎっしり、食感はもっちりなのが特徴だ。


 豊富なでんぷん質をじっくりと糖化しているから甘さも絶品で、一本一本が濃厚な品種でもある。

 

「ウホウホ、ウホ!」

 

「なるほど、週末のご褒美ですか!」


 金の房の話を聞いた彼女は、バナ友ということもあり前のめり気味になっていた。


 その反応が嬉しいのかゴリラは首から下げていたスマホを見せた。


 そこには、スクショされた今日の広告が映し出されていた。


「ウホ、ウホウホ」


 子供ような笑顔をしながら、大きな指で小さなスマホの画面を指差している。

 

「このネットのチラシにも載っていた?」

 

「ウホウホ!」

 

「そういうことですか! 特価で売っていたと!」

 

「ウホ!」

 

「それは急がないとですね! 売り切れたら大変です」

 

「ウホウホ」

 

「あ、はい。気にしないで下さい! またお時間がある時にでも! その時は、新調依頼してもらった靴のお話もしましょうね」

 

「ウホ、ウホ!」

 

「いえいえ! お礼なんてとんでもない」

 

「ウホ!」

 

「そうですね! お気をつけてー!」

 

「ウホウホー!」


 さきとのやり取りを終えたゴリラは頭の上に音符を浮かべながら、左手にコーヒーショップ、右手にシュークリーム屋がある通路を歩いていく。


 すると、コーヒーショップの中から声が聞こえた。


「ゴリラさーん、グアテマラ産の浅煎り豆がセール中ですよー!」


 元気に話し掛けるのは、身長170cm。

 中肉中背の清潔感の漂う雰囲気に白のタートルネックのセーター。

 下は黒のスキニーパンツと白色のスニーカーを履き、コーヒーショップのエプロンをつけたコーヒー好きの男性店長。


 森野大木もりのだいき32歳だ。


 当然ながらゴリラはこの男性ともバナ友であり。


 その名前からもわかるように、先程のショップ店員、森野さきと夫婦である。


 しかし、今までのバナ友とは関係性が少し違う。


 というのも、大木はそのままのバナナを食べることができないのだ。


 本人が言うには味わい自体は好きなのだが、どうしてもあの独特な食感が苦手らしい。


 ただ、そこはバナナ好きのゴリラ。


 自分の推しシロップMONIN(モナン) イエロー バナナや、バナナを加工することによって美味しくなることを教えバナ友になったのである。


 そして、その影響か今では、夫婦2人で週末限定のカフェ&オーダーメイド家具店【バナナで憩いのひととき】を開くまでになっていた。


「ウホ!?」

 

「本当ですよ! どうします? 寄っていかれますか?」

 

「ウホ……」

 

「いやいや、強制じゃないので」

 

「ウホウホ?」

 

「そうですね。30%OFFはなかなかにないですね」

 

「ウホ!」

 

「あ、はい! わかりました。すぐご用意致しますね」

 

「ウホ!」


 彼はお気に入りの豆であるグアテマラ産浅煎りコーヒー豆200g。豆のままで購入することにした。


 ちなみに、ゴリラの好きな豆の精製処理は、ウォッシュド(水洗式)ではなく、ナチュラル(乾燥式)の果肉が残った状態で処理された少しフルーティーな物を好んでいる。


 理由は自然に優しい製法と言うことに加え、バナナシロップとの相性がいいからということらしい。


 要するに完全な彼の好みだ。

 

「お会計は1026円となります」

 

「ウホ!」

 

「〇〇払いですね! ではこちらにかざしてください」

 

「ウホ」


 大木から言葉を受けた彼は首から下げているスマホを手に取り、画面を切り替えてQRコード読み取り機へとかざした。


 ――ポヨンピーン♪


 決済完了の音が鳴る。


「はい、大丈夫です」

 

「ウホウホ?」

 

「あ、そうですね! ポイントカード! それとエコバッグはお持ちですか?」

 

 ゴリラは胸ポケットをトントンと叩き、得意げに財布を取り出した。


「さすが、いつもありがとうございます。では、こちらに入れさせて頂きますね!」

 

「ウホホ……」


 大木の「さすが」という言葉を受けてゴリラは顔緩ませる。

 

「はい、まずはポイントカードをお返ししてと! そしてこちらが豆です!」

 

「ウホウホ!」

 

「いえいえ! また来てくださいね! もちろんカフェにも」

 

「ウホ!」


 こうして、彼は左手にコーヒー豆が入ったエコバックを大木から受け取りあとにした。

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