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傾国狐のまつりごと-食われて始まる建国物語-  作者: つね
 第2章 猫神の都
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神殿制圧 2

神官たちとの戦いが始まる。

※累計10万PV超えました。ご愛読ありがとうございます!

「…みんな、手伝ってくれる?」

 やや低い声で言ったメリシャに、フルリたちもメリシャの怒りを察する。

「へい。もちろんでやす!」

 フルリが返事をし、他の巫女たちも大きく頷いて木槍を握り締めた。

 武器が木槍だけというのはやや心許ないが、フルリたちにはテトの加護がある。

 あえて『殺すな』とは言わなかったが、そこは虐げられていた彼女たち自身に任せることにした。


「…掛かれ!」

 メリシャが叫ぶと、フルリたちが広場へと飛び出した。神殿の石段を一足飛びに駆け下りたフルリたちは、わぁっと声を上げて神官たち中に乱入し、手にした木槍を振り回す。

 

 ブンッと音を立てた木槍が鈍い音とともに神官の脇腹に入ると、神官は弾かれるように吹き飛んで地面に転がった。だが、木槍もその一撃で真っ二つに折れてしまう。

「あっしが、こんな…」

 フルリ自身も自分の攻撃の威力に驚いたが、呆然としている暇はない。

 フルリは折れた木槍を投げ捨て、自分に向かって振り下ろされるメイスを軽く身をひねって避けると、地面を蹴って跳躍し、神官の頭に回し蹴りを放った。蹴りをこめかみ辺りに受けた神官は、あっさりと意識を刈り取られて前のめりに倒れる。


「こいつはすげぇ…さすがはテト様の加護でやすね」

 フルリは楽し気に笑ってつぶやくと、次の相手を求めて神官たちの中へと飛び込んでいった。


 周りの巫女たちもフルリに負けじと奮闘を見せていた。やはり木槍はあまり役に立たなかったらしく、フルリと同様に素手で戦う者、また神官から奪ったメイスを振り回している者もいた。彼女たちが身を躍らせる度に、神官の身体が次々に倒れていく。


「なっ…!」

 フルリたちを完全に侮っていた神官たちは、思いがけない反撃に驚きを隠せない。

「…巫女ごときが、なぜ…!」

 これまで召使いにしか思っていなかった巫女たちに、全く歯が立たないことに神官たちは混乱していた。


 神官たちの注意が完全にフルリたちに向いた隙に、メリシャとシェシは並んだ石像の影を伝って巫女たちのところに向かう。塔門の上のティフォンの姿が掻き消え、竜人姿になったリネアも塔門の上から飛び降りてきた。


「リネア、シェシとその娘たちをお願い!」

「わかりました。メリシャも気をつけてください」

 リネアは、身を寄せ合っている巫女たちを守るべく前に立ち、シェシもリネアの側に駆け寄る。


 声を聞いた神官たちの一部が、メリシャに気付いた。

 メリシャは、感触を確かめるようにゆっくりと手を握って開き、自分に襲い掛かってくる神官たちに向かって軽く指先を振るった。


 メリシャの戦いは、シェシの目にはとても不思議なものに映った。メリシャは神官たちに一切手を触れていないのに、神官たちが次々と地面に倒れていく。


 時折、キラッと光を反射することで、メリシャが細い糸を使っているらしいことはわかる。だが、先程のように神官たちを縛り上げたり、武器を切り落としたりするではなく、ただ糸が神官たちをかすめる度に、突然力が抜けたように神官たちは膝を落とし、その場に倒れていく。


 さして時間をかけることもなく、メリシャは自分の周りの神官たちを全て倒し、仕上げに地面に転がる彼らを粘着糸で簀巻きにした。


 それとほぼ同時に、フルリたちも神官たちを倒してこちらにやってきた。怪我をした者はいない。こちらの完全勝利だ。


「よくやったにゃ。さすがはテトの巫女たちにゃ。褒めてとらすにゃ!」

 それまで隠れていたテトが、ぴょんと手近な石像の頭に上に跳び乗り、平らな胸を張った。

 踏みつけているのは自分の像なのだが、特に気にはならないようだった…。

次回予定「神殿制圧 3」

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