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傾国狐のまつりごと-食われて始まる建国物語-  作者: つね
 第2章 猫神の都
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バステトの加護 2

フルリに与えられたテトの加護とは…

「ははーっ!」

「うむうむ、苦しゅうないにゃ」

 テトがバステト神本人であることを知った他の巫女たちも一斉に平伏する。テトはその様子に、にまにまと満足げな笑みを浮かべている。


「テト、あのね…」

「わかってるにゃ。みんなにちゃんと加護をあたえるにゃ」

「ちょっ…ちが…!」

 テトは、平伏する巫女たちの間を身軽に跳ねまわりながら、彼女たちの肩や頭、腕になどを一撫でしていく。テトに触れられた巫女の身体は、さきほどのフルリと同じように淡く光り、すぐに元に戻る。

 どうやら、集まっていた巫女たち全員に加護を与えたらしい。


「フィルから、巫女たちに加護を与えてほしいと頼まれていたにゃ。これでテトを蔑ろにした神官どももイチコロにゃ」

 むふーと鼻息荒く言うテトの言葉に、メリシャは苦笑するしかない。

 フィルは、こうなることも織り込み済みだったのだろうか。…使える者は神でも使う。にやりと口角を上げるフィルの姿が見えるようだった。


「まぁ、巫女たちが強くなるならいいかな…」

 メリシャは気を取り直し、不思議そうに身体を見回す巫女たちに言った。

「みんな、聞いて欲しい」

 声を上げたメリシャに、巫女たちの視線が集まる。


 メリシャは、ここにきた理由を巫女たちに話す。この神殿の主であるはずのテトが、神殿の中心に閉じ込められていたこと。神官たちからテトの加護が失われ、巫女たちに加護が与えられたこと。ひどい扱いを受ける巫女たちを助けたいこと。…そして、ペルバストにひどい疫病が発生していること。


「メリシャ様、疫病って…町の人たちが死んでしまうんですか?」

「放っておけば、そうなる。もしかしたら、みんなの中にも疫病にかかっている者がいるかもしれない。けど、ボクは一人でも多く助けたいんだ。その方法もあるし、あと4日すれば王都アヴァリスから救援が来る。だから、みんなにも手伝ってほしい」

 メリシャは、ぐるりと巫女たちを見回した。


 メリシャがフィルに頼まれたのは、神官たちを倒して神殿を制圧すること、そして、町の住民を一時的に神殿に避難させることの2つだった。

 どうやるかはメリシャに任せる、好きなようにやってみなさい。そう言ってフィルはメリシャたちを送り出した。


「あっしは、メリシャ様をお手伝いするでやす。バステト様の加護のおかげで、すごく身体が軽くて、今なら神官連中にも勝てそうな気がするでやす」

 フルリがタタッとメリシャに駆け寄った。フルリに続いて、何人かの巫女たちがメリシャの前に立つ。


「私たちも戦えます。フルリちゃんほど強くありませんが…」

「ありがとう。よろしく頼むね」

 メリシャは彼女らの顔を見回して微笑んだ。


「テトの巫女たちよ。テトは、このメリシャのことが気に入ってるにゃ。皆の者、メリシャに力を貸すのにゃー!」

 テトがそう言ってメリシャの腰に抱き着くと、残りの巫女たちからも歓声が上がった。


「テト…」

「こんなに楽しいのは何百年ぶりかなのにゃ。だから、もっとテトを楽しませるにゃ」

「もう、遊びじゃないんだよ」

 メリシャはテトを軽く睨むと、考えていたこの先の行動を修正する。


 当初の計画では、ここに巫女たちを探しに来たのは、巫女たちが戦いに巻き込まれないよう身を隠させるためだった。しかし、テトの加護を得た巫女たちは、十分に戦力になる。


 加護を失って弱体化したとは言え、この神殿には神官たちが100人以上いるらしい。

 メリシャとリネアだけで神官たちを倒して回るのは時間がかかり過ぎるし、だからと言ってリネアのブレス一撃で神殿を壊滅させるわけにもいかない。


 メリシャは、加護を得た40人ほどの巫女を、役割に応じて3つに分けた。戦うと言ってくれたフルリ以下10人ほどの巫女は、メリシャと一緒に神官たちの討伐に行く。


 約半数の20人ほどはここに残り、この作業場に神官たちを入れないように守る。ここには食料をはじめとする神殿の備蓄物資が納められている。避難民を受け入れた時に必要となる物資を、神官たちに奪われでもしたら大変だ。


 そして、残りは手分けして、神殿内にいるほかの巫女たちに声をかけ、この作業場まで避難させる。

 ここにいない巫女たちはテトの加護を得ていない。神官たちとの戦いに巻き込まれないようにするためだ。


「あの…メリシャ様…」

 ここを守るように頼んだ巫女のひとりが、メリシャに声をかけた。

次回予定「バステトの加護 3」

テトの加護のおかげで強くなった巫女たちだが…

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