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傾国狐のまつりごと-食われて始まる建国物語-  作者: つね
 終章-そして、再び。
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それぞれの旅路

主要キャラクターのその後です。

テミス・アスクレピオス


 サエイレム専制公領、そしてサエイレム王国の宰相として初代フィル、二代目メリシャに仕えた名政治家。

 下半身が蛇体のラミア族の女性で、サエイレムに住むラミア族の族長でもあった。宰相就任の際にフィルから『アスクレピオス』の姓を贈られる。

 極めて聡明な女性として知られ、フィルを補佐してサエイレムの発展に大きく寄与したとされている。

 政務のほか、サエイレムの食文化の発展にも大きな功績を残したと伝えられているが…それはサエイレムのためというよりも、食べることが大好きだったフィルを喜ばせたかったのだとも言われている。

 メリシャ女王の治世が安定するのを見届けた後に引退し、サエイレムで静かな余生を送った。

 享年148。死後はメリシャ女王により国葬が営まれた。彼女の国葬の際には、長く姿を見せなかったサエイレムの神獣、金の大妖狐と守護竜ティフォンが、別れを惜しむようにサエイレムの空を舞ったという。


シャウラ


 フィルの護衛官を務めたラミア族の女性。

 隠し武器による戦闘を得意とするほか薬物にも詳しく、パエラとともにフィルの影を担ったとされる。

 フィルが女王位をメリシャの譲った後は護衛官を引退。

 その後はエルフォリア王家の護衛を務める後進の育成に力を尽くしたというが、引退後の記録が乏しく、没年不詳。


グラム・メルヴィン


 エルフォリア家古参の家臣としてフィルに仕え、ベナトリア総督代行、そしてフィルがサエイレム専制公となった後はベナトリア総督となる。

 サエイレム領の要とも言えるベナトリアの統治をフィルから一任されており、農地改革を進めてベナトリアの農業生産をさらに高め、ルブエルズ山脈を越えて、ティミア族長率いるアラクネ族の領地に至る街道を整備するなど、大きな功績を残した。

 ベナトリア辺境の村にいた魔族の娘、エナとアニアを養女に迎えて、優秀な行政官に育て上げ、自らの補佐とした。

 引退後もサエイレムへは戻らず、ベナトリアにて没した。享年70。


バルケス・マキシマス


 エルフォリア家古参の家臣としてフィルに仕え、エルフォリア軍第一軍団長、そしてフィルがサエイレム専制公となった後はサエイレム軍の最高司令官である『総帥』に就任、軍政や戦略面でフィルを支えた。

 50歳で軍を退役したが、アルゴス王アルラから自軍を訓練してほしいと請われ、アルゴス王国軍事顧問として赴任する。

 軍の訓練を指揮する傍ら、多くの孤児を引き取ってリンドニアのような保護院を開設、その院長となり、たくさんの優秀な人材を育てた。

 サエイレムに戻ることなくアルゴス王国で没した。享年66。保護院の敷地に葬られ、子供たちの成長を見守っている。


フラメア・クレスティア


 リンドニア総督代行、そしてリンドニア総督となった。

 他の領主が街の改革と発展に力を尽くしたのとはやや異なり、発展を目指しつつもフィルの故郷であるリンドニア、特に領都リフィアが以前の面影を失わないよう、細やかな統治を行う。

 知己である保護院長、サラ・エミリウスを口説き落としてリンドニア領軍の軍団長に就任させ、国境の警備と治安の維持を図った。

 これにより、リンドニアは極めて治安の良い安全な場所だという認識が広がり、美しい林檎園をはじめとする田園風景を求めて、サエイレム領と帝国の両方から多くの旅行者が訪れる場所となる。

 毎年秋、林檎が実る時期に催される盛大な収穫祭に合わせ、領都リフィアの旧エルフォリア本邸を訪れるのがフィルたちの恒例行事であった。

 総督を退いた後は、旧エルフォリア本邸の管理人となり、屋敷を守って穏やかな余生を送った。

 享年85。彼女は、フィルの総督就任以前からエルフォリア家に仕えていた家臣の中では、最も後まで生きた。


ウェルス・シリウス


 魔族の兵士で構成されたエルフォリア軍第三軍団の軍団長。

 フィルによって見いだされ、魔族で初めて軍団長の地位に就く。軍団長就任時にフィルから『シリウス』の姓を贈られた。

 バルケスが全軍の総帥として後方に退いた後は、彼に代わって現場の指揮を執る『将軍』となった。

 彼と同族の狼人や狐人などが中心の部隊は、魔族としての身体能力の高さと帝国軍が培った集団戦闘のノウハウにより、兵数以上に戦闘力が高く、人間の騎兵部隊・戦車部隊と組み合わせて高い機動力を誇った。

 結果、彼らはサエイレム領防衛の中心戦力として領内を駆けまわることとなり、サエイレムに帰ってくる度に「姫さんは人使いが荒すぎる」とフィルに文句を言うのが通例になっていたという。

 帝都でフィル達に救われた狐人の娘シアナと結婚し、10人もの子宝に恵まれた。

 60歳で軍を退役したものの、長命故にまだ現役であった専制公フィルや宰相テミスから度々仕事を言い付けられ、のんびりした老後とはいかなかったようである。享年78。


ウルド


 ケンタウロス族族長。サエイレム総督時代のフィルと信頼関係を築き、その後も人間との交流を進めた。

 息子に族長を譲った後は、良くサエイレムを訪れてはサエイレム騎兵に稽古をつけたり、ティベリオと酒を飲んだりと、悠々自適の暮らしぶりであった。

 享年77。ケンタウロス居住地で行われた葬儀にはフィル自ら駆け付け、その死を悼んだと伝えられている。


ティミア


 アラクネ族族長。ベナトリアの企みによって大きく数を減らした一族を立て直すため、サエイレムとの交流を進める。

 フィルの護衛であるパエラとは幼馴染で、ティミアがサエイレムを訪れた時は、一緒に酒を飲みに出かけたりしていたらしい。

 メリシャ女王の代以降、ティミアはアラクネ族の精鋭を代々のサエイレム女王のもとに派遣し、警護や諜報の任に当たらせた。このおかげで、歴代のサエイレム女王のうち、暗殺によって命を落とした者は一人もいないとされている。

 女王のもとに戦士を派遣する理由について、彼女は一言「パエラの頼みだから」と述べたという。

 娘に族長を譲った後は、サエイレムの北に広がる深い森に良く出かけていたらしい。享年162。


アルラ


 アルゴス族族長。アルゴス族は人間の国を真似て『王国』を名乗っていたが、サエイレム王国の成立後にはその一部となり、他種族と同様アルゴス族という呼称に戻った。

 サエイレム王国二代女王のメリシャはアルゴス族であり、アルラはメリシャの叔母に当たる。そのためメリシャ女王の治世が始まると、種族内でのアルゴス族の優遇を求める動きが起こったが、アルラは断固としてそれを認めず鎮圧した。

 長命種であることから、メリシャ女王の治世を通してアルゴス族族長を務め、メリシャの良い相談相手になったとされている。

 メリシャが女王を退く際にアルラも息子に族長を譲り、以後はサエイレム王国の歴史の編纂に力を注いだ。

 享年285。その最後の日、アルラは自室を訪ねてきたふたりの少女と言葉を交わし、とても安心したように息を引き取ったという。


マルクス・ボルキウス


 ユーリアス帝前半期の帝国元老院議長。

 元老院の代表として、皇帝ユーリアスやサエイレム専制公フィルと度々対立したことで知られているが、本人もまた、無能な者たちが世襲によって労せずして高い地位に就いていることで、むしろ元老院の権威が下がることを憂いていたという。

 ユーリアス帝の即位から数年で引退。ボルキウスの退場により、元老院の発言力はより一層低下し、むしろユーリアスの治世の安定に寄与したとされる。

 引退後は博物学の研究に熱中し、意外な事に視察や標本採集などのため、サエイレム領に何度も訪れている。

 政治を離れた後は、フィルとの関係もそう険悪なものではなかったという。植物標本の採集中に毒蛇に噛まれたのが原因で死去。享年68。


ティベリオ・グラスス・アルスティウス


 帝国第6代皇帝ルスキアヌス帝の末弟。ユーリアスの大叔父に当たる。

 ユーリアスの父、第7代皇帝ロマリウス帝による魔王国領への侵攻に対し強硬に反対したため、帝国西方地域の直轄領を管理する地方長官に左遷されていた。

 戦争が終わり、第8代皇帝ユーリアスの招聘で、フィルがサエイレムに向かうのと同時期に帝都に戻る。

 皇帝の政務顧問を務め、皇帝派貴族たちの筆頭としてユーリアスを支えた。その後、サエイレム専制公領の独立に合わせ、帝国の駐サエイレム全権大使として赴任。以後、亡くなるまでその職にあり続けた。

 帝国大使の肩書ではあるが、フィルたちサエイレム首脳陣に信頼されており、帝国との交渉に当たっては、むしろサエイレムに有利となるような入れ知恵を行うこともあったらしい。

 帝都に戻ることなくサエイレムで没した。享年82。


ユーリアス・アエリウス・アルスティウス


 帝国第8代皇帝。先代が起こした魔王国との戦争を終結させ、以後は内政に力を注いだ。

 サエイレム専制公フィルと、まるで兄妹のような間柄だったのは周知の事実であり、フィルが独立後、そして彼の死後も長く帝室を支えたのは、ユーリアスとの絆を重んじたためと言われている。

 サエイレムとの交易を軸に帝国の経済を発展させ、帝国が最も豊かだった時代を築いた。

 次代皇帝には、それにふさわしい能力を持つ者をと、あえて実子を設けることなく、側近の子弟のうちから優秀な者を養子に迎えて次代皇帝とした。

 また、帝国貴族の子弟たちを募って、10代前半の多感な時期にサエイレムへの留学を経験させるなど、サエイレムとの関係強化に努めたとされる。

 享年62。遺言により、サエイレム領のリンドニアに葬られた。


エリン・メリディアス


 エルフォリア軍第二軍団長から、後に近衛軍団長となった。

 フィル直属の武将として活躍し、単騎では王国軍最強と伝えられる。その戦いは、大刀と呼ばれる長柄武器を用いた独特のもので、彼女が本気で稽古できる相手は、同じ大刀を使うフィルやケンタウロス族の精鋭だけだったとされている。

 帝国のサエイレム駐在武官スケビオ・アルバレスを婿に迎える。40歳を過ぎた頃に近衛軍団長を辞し、新兵の頃から自身の手で鍛え上げたリンドニア保護院出身のアーシェ・リピアを後継の近衛軍団長とした。

 その後も、官職に就かない自由騎士の身分でフィルの側に仕え、死の1年前まで現役を通したという。

 享年75。メリディアス家は女系相続とされ、エリンの大刀は代々の女当主に引き継がれている。


パエラ


 フィルの親友にして相棒。下半身が蜘蛛の身体となっているアラクネ族の女性であった。

 フィルが最も信頼する仲間のひとりでありながら、生涯、正式な官職に就くことなく、フィルの個人的な護衛を務めた。

 サエイレム王宮の警戒網を作り上げたのは彼女であり、フィルの影として諜報と暗殺を担ったと伝えられるが、彼女の功績についての詳しい記録は残されていない。

 初代女王フィルが退位した時期を境にパエラに関する記録も途絶え、その後の消息は不明。

 

フィル・ユリス・エルフォリア


 サエイレム専制公、後にサエイレム王国の初代女王となる。

 人間と魔族の融和に力を尽くし、魔族側からも信頼を寄せられた。

 人間のはずなのだが、百年にわたる治世においてその姿は全く変わらず、初めてサエイレムを訪れた時のままだったという。

 養女のメリシャに女王位を譲ったのち、サエイレムから姿を消す。それ以後の記録はほぼ皆無で、消息は不明。


リネア・ファム・エルフォリア


 フィルの伴侶として、その傍らで常にフィルを支え続ける。フィルの身の回りの世話は、決して他の者に任せなかったという。

 正式な官位ではないが「女王妃」と通称され、その優しく穏やかな人柄で身分種族を問わず多くの者たちに慕われた。

 狐人族の出身とされるが、フィルと同じく百年を経ても少女の姿を保ち続けた。

 フィルと時を同じくしてサエイレムから姿を消し、以後の消息は不明。


メリシャ・サリア・エルフォリア


 フィルの養女で、その跡を継いで二代目サエイレム女王となった。フィルの治世を引き継ぎ、サエイレムをさらに発展させた名君と伝えられている。

 アルゴス族の出身であり、多くのアルゴス族がすでに失った未来視の能力を持つが、自らの政治においてその力に頼ることを強く戒めていたという。

 百年に渡り女王を務めた後に退位。その後しばらくしてサエイレムから姿を消した。フィル、リネアと同様に以後の消息は不明。

次回予定「そして、まつりごと再び」

第一部サエイレム編は、次回で完結します。

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