【tatsuyasugimoto】という曲
明け方脳内は自分でも理解の及ばない状態になっていることが多く、ネタが降ってきた感覚に叩き起こされることがあります。
寝起きの文章を修正してみたけど、果たして整っているのかしらん。
本項のタグ:「調律曲」「曲も人も実在しません」「同名の実在があったとしても無関係です」「演奏はご自由にどうぞ」「酒飲んで外で寝るな」
【tatsuyasugimoto】という曲はアレック・ホムス・ヘンデルが1997年、当時31歳の春に発表した一音のみでできた曲である。
最初の一音を全音符で、次いで2分の1音符、4分の1音符、と順に続き、64分の1音符まで至る。
またその強さも徐々に変化する。
最初の1音をpppで。その次の音符ではppと変わり更に順にp、mp、mf、f、ffと経てfffへと至る。
音を奏でる度に拍が短縮され、またそれと比例して音を強くして、8種類の音を奏でて終わる。
それだけの奇妙な曲である。
使う音の指定も楽器の指定もなく、ただ一音を重ねているだけのこれが曲ではないとする意見も多い。
しかし音の強弱と拍を体感的に修得するために練習曲として、また楽団が演奏前の調律曲として使うことも珍しくない。
ある有名な楽団では入団試験としてこの曲を流用用し、「ソのフラット、8分の6拍子、1割から7割」などランダムに強さの幅までをも指定した即興演奏を行わせて適正を測っている。
当然、その場ではメトロノームのような物は用意されておらず、入団希望者は自身の感覚が正確であると信じて演奏するしかない。
このため、「最も簡単で初歩的な曲であり、最も多くプライドを砕いた曲」として名を馳せた。
製作者であるアレック・ホムス・ヘンデルが最初に演奏した際は古びた教会に置かれたチェンバロを用い、選んだのはラの4分の4拍子であった。聖歌隊の合唱練習として用いたとされている。
この曲について述べた彼の動画がある。
「真似だけは誰でもできる曲だ。近い音で近いリズムで鳴らせるのは凡人。正確に奏でたら、俺と同程度には演奏家だと名乗っているだろう。教会で演奏家だと名乗っていた奴よりも、シスターの方がよっぽど演奏家だったな」
そう言いながらガラスのコップを指で弾くように演奏した彼は、こう続けている。
「これだけで演奏家のプライドを砕く、音楽の申し子みたいな奴もどこかにいるだろう。そんな奴が自分の才能に気付くように、この曲を作ったんだ」
彼は音楽で世に名を馳せたとは言い難く、知名度はこの曲の方が遥かに高い。
作曲者名と曲名を逆だと勘違いされていることが多いのだと、彼自身が自らの知名度の低さを笑っているシーンが動画にも残っている。
何故、作曲者名と勘違いされるような曲名を付けたのかという問いに、彼はこのように答えた。
「バーであった日本人の名前さ。歌手になりたいって飲んだくれて、意味のわからない雑音を撒き散らしていた。才能があるとうるさかったから、じゃあ試してみようかと思いついたんだ」
その際に聞いた曲のいつくかを動画では演奏しているが、お世辞にもちゃんとした曲とは言えないものばかりである。しかしそれは彼が聞いた音をそのまま再現しているということでもある。
のちに彼はそれらの曲を再編集し、【異曲】というタイトルで発表した。
これが彼の名が世に知られたきっかけと言われているが、それは他者の曲を無断で流用していると判断された訴訟によるものであり、曲そのものが聞かれたことによる結果ではなかった。
その後は曲の発表もなく、代表曲としてはこの二曲のみである。
翌年の32歳の冬に彼は路地裏で酔い潰れた姿で発見され、そのまま息を引き取った。
【tatsuyasugimoto】なる人物と出会ったというバーの近くであったと言われているが、再び彼と出会ったかは定かではない。
曲名と音楽?が降ってきたのでとりあえず書いてみた話。たぶんカウントダウンに合わせて早くなるキッチンタイマーみたいな奴が原因。
胸にタイマー埋め込んだ異星人ってそんな名前だったっけ?




