表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
暇潰市 次話街 おむにバス  作者: 誘唄
かくれんぼ【夏のホラー2021】
70/287

「もういいよ」

【夏のホラー2021】の【かくれんぼ】という題材で書いています。

それ系の言葉を使っていればOKかなぁ、という緩めの基準なので、若干テーマとはズレているかもしれません。



本項のタグ:「夏のホラー2021」「かくれんぼ」

「もういいよ」「ベッドの下に男はいません」

 

 ベッドの下の男、という話がある。

 斧を持っていたりナイフだったりするが、凶器を持って隠れている男の都市伝説だ。

 大抵の場合はツレが気づいて部屋から出ようと誘い、逃げ出した後で説明される。


 一人暮らしのこの家にあるベッドを見て、そんな怪談を思い出したと語った彼に、変な話を知っているんだなぁと笑い返す。



「一緒に寝てくれる?」



 そんな誘いに釣られた彼は可愛い。

 初めて女性の家に上がったのが目に見えてわかる。

 ベッドに脱ぎ捨ててあるパジャマや乱れた布団を見て、寝姿を想像したのだろう。

 それをからかいながら、ベッドへと誘う。



 彼も私の寝姿を見にきたつもりはないだろう。

 隠せていない下心に、身体がもう反応しているのが服の上からでもわかる。

 そのふくらみを確かめたいと告げて、服を脱ぐように促す。


 ためらうように、少し恥ずかしそうにしながら脱いでいくのを見つめていると視線を逸らされた。



「まぁだだよ」



 爪先で彼の足をなぞりながら、笑いを堪えつつそう伝える。

 期待と羞恥と興奮で反り返っているものがさらけ出されて、隠そうとする彼の手を爪先で邪魔する。



「まぁだだよ」



 ちゃんと全部脱いで。

 アクセサリーも外して。

 生まれたままの姿のように。


 そう言って促しながら、私も少しずつ服を脱いでいく。


 床に散らばっている服を足を広げるようにして押し除ける。

 お預けされて我慢ができなくなっているのか、足先を濡らすようにぬるりとしたものが触れた。


 腰を落としてベッドへと上がってこようとする顔が欲望で染まっているのを見つめながら、私は笑顔で囁く。




「もういいよ」



 ベッドの下には凶器を持った男なんていない。


 絡みつく身体を見つめて、その力強さに息を飲む。

 この瞬間がとても好き。



 欲望塗れだった顔から血の気がひいて、恐怖で叫ぶ様子はとても可愛い。

 その全身を締め上げられて骨が砕かれて、嗚咽とも悲鳴ともつかない吐息が顔にかかる。

 引きずり倒されて、さらに強く抱きしめられてボロボロにされて身体の形も崩れていく。

 抵抗することもできなくなって、それでもまだ生きている活きの良い餌。



 嬉しそうに尻尾を振りながら、ゆっくりと丸呑みにしていく姿を見つめる。

 どんどん飲み込まれて、全部がお腹に入って、見た目でわかるほどに膨れているのを微笑ましく思う。

 満足そうに目を細める同居者は、隠れるのも隠すのも得意だ。



「今日は一緒に寝ようね」



 そう言って滑らかな肌を撫でて、寄り添うように横になる。

 私よりも大きな蛇と抱き合いながら、私は夢に落ちていった。







部屋に入り込んだ強盗が隠れていて、もう一人強盗が侵入して両方から脅される。


というネタを書こうとして『ベッドの下の男の話』を調べて、気がついたら美人局に騙されて蛇に呑まれていた。


何故だ。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ