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外伝『食人鬼オブザ江戸』

二部36話『心中物の話』に出てくる靂の書いた作中作の続きです

なので江戸本編に関係ない外伝です

 前回までのあらすじ!

 幼馴染で遊女のお遊に入れ込みすぎた靂は、お遊を見受けするためにとうとう本業の資金にも手をつけようとする。

 それを察知した嫁である小唄の父に、彼女を実家に戻されてしまう。

 失意の靂はお遊と心中しようとした瞬間、インドの食人鬼ピシャーチャが襲ってきてお遊を捕食。

 どうにか靂はそれを退治するが、お遊の遺言で小唄の元に戻ろうとする……





 ──江戸の町は阿鼻叫喚地獄だった。


 そこまで考えて靂は、そもそも叫喚地獄と阿鼻地獄は地獄の深度や内容が違う上に、阿鼻地獄の責め苦は叫喚地獄の100万倍に達するという知識が脳裏に浮かんでその感想を否定したがともかく。

 江戸の町には無数の食人鬼、ピシャーチャが発生して無差別に人々を襲っていたのだ。

 食人鬼の数はわからない。だが靂が見渡した限り、江戸のあちこちで火災が発生して死体が転がっている。生きて逃げ惑っている人の姿は、少なくとも目に付く場所には居なかった。

 

「ピシャーチャ……人食いの鬼で、主な特徴は凶暴性と怪力だ……なんでこんなところに」


 見た目は日本で知られている鬼とは大きく異なる。かろうじて人形といえるが、体を縦真っ二つに割るように牙の生えた大口が顔から股間まで開いており、目は蝸牛のように飛び出ていた。手足の指にはそれぞれ刀のように尖った爪が生えており、白い体つきは筋肉の盛り上がりが見えるのが気持ちが悪かった。

 嫌悪感すら覚える醜悪で凶暴な姿。

 それが遠目から見える町に数匹徘徊している。商店や長屋は打ち壊されているのも見えた。

 あの怪物に襲われた者はひとたまりもなく殺されてしまっただろう。すぐにその場で食うのではなく、あたりに人の気配が無くなった後で死体を食い始める性質があるようだ。つまり周囲に生存者が居なくなるまで殺しまくるということだ。


「ピシャーチャという鬼は元々、供養をせずに死体を打ち捨てることを戒めるために生まれたからか……」


 ともあれそのような怪物が跋扈する町を抜けて行かねばならない。


「小唄……絶対に会って、謝って、今度こそ守り抜かないと……!」


 靂は短刀を握りしめて、次々に破壊されつつある江戸の町を睨んだ。それを抜けて千駄ヶ谷に行かねばならない。

 妻を捨てて幼馴染の遊女と共に死のうとした。そんな情けない男でも、もはや迷わない。 

 靂は大川のほとり、熊井町から足を進めることにした。



 初期装備:短刀 リーチ短 威力小 縄を切るなどの細工が可能になる


 熊井町から……


→西へ進む

 北へ進む




 *******




 靂は破壊が酷く遠目から見てもピシャーチャの数が多い日本橋方面を避けて、まっすぐ西へと向かった。

 そちらへ進めば八丁堀が見えてくるが、町奉行所の家族や手下なども多く住んでいるこの地域は火災も発生していないようだった。

 短刀を抜き放って持ち、音を出さないように壁際を進んだ。

 富岡八幡宮も清澄庭園も酷いことになっており、死体がごろごろと転がっている。

 恐らくは大勢の町人らが逃げ込んだのだろう。だが、神も仏も助けてはくれなかったらしい。山のように積み重なった死体に、ピシャーチャがたかって貪っているのを遠くから覗き見た。


「この世の地獄だ……」


 靂はピシャーチャが通りを這っているのを見て物陰に隠れこむ。

 このあたりは旗本屋敷も多いのだが、門のあたりに死体が転がっている屋敷は恐らく中に入られて食い殺されているのだろう。中には固く門を閉ざしているところもある。いち早くピシャーチャに気づいて篭もることを選択したのだろう。

 

(人が多いところによく出るのなら……)


 と、靂は木置き場を進むことにした。大川の河口近くにあるここいらには木材を置く場所が沢山並んでいた。

 積み上げられて縄で結ばれた木材の合間を靂が歩いていると、ピタピタと足音が聞こえる。

 咄嗟に身を隠すと、前方の十字路をピシャーチャが通り過ぎて行った。

 充分に離れたことを確認して、ピシャーチャが背中を向けているうちに靂はその十字路を通過する。

 と──、


 ぎょろり、と人喰い鬼が靂の方を向いた。


(バレた!? 完全に背中を向けていたのに──ってしまった!)


 胸中で己を罵る。ピシャーチャはその目が飛び出ているので背後まで見ることが可能なのだ。

 振り向いて走り追いかけてくるのを靂も駆けて逃げ始めた。


「くそっ!」


 先程お遊を襲った個体は、目の前で食事を始めるという隙を見せたために、また靂も無我夢中だったので倒せたが今度はそうもいかない。

 持っている武器は短刀で当てるには近づかないといけない上に、相手は靂の体を丸呑みできる口を持っているのだ。そんな相手に、お互いが手を触れ合えるほどの距離に近づくなど自殺行為だ。

 例え刺してもその間に頭から飲み込まれるだろう。

 早いリズムで地面を蹴る音が背後から聞こえる。靂が一瞬だけ顔を向けると、異様に長い手をついて四足歩行で追いかけてくる姿が見えた。怖気を背中に感じる。

 その速度は鍛えている靂よりも早い。このままでは追いつかれる……

 靂は咄嗟に材木を繋いでいる縄を短刀で切り裂いた。積み方の甘かったそれは、縄の補正が無くなると途端に崩れ始める。

 急ぎその場を駆け抜けると、丁度ピシャーチャが下を通った瞬間に数本の重たい木材が化物に降り注ぐ。


「ギュエエエエエ!!」


 叫び声を上げるそれを、靂は立ち止まって振り向いた。


「やったか!?」

「ギャアアアア!!」


 だがピシャーチャは怒りを滲ませた声を出しつつ、自分の体にのしかかる木材を退かそうと無理やり軋ませる。

 怒りや憎しみの念から生み出されたとされる食人鬼は靂を食おうと躍起になっているようだ。

 大きく罅が入る音がした。鬼の怪力によって今にも壊されるだろう。

 靂は背中を向けて走り出した。とにかく八丁堀へ抜けて……と、考えてふと思う。

 

(もしあの地域がまだ鬼による被害が出ていないのなら、僕が連れていくと大変なことになる!?)

 

 だがもう横道に逸れている時間はない。

 背後からも木材を粉砕して再び追いかける足音が聞こえ始めた。


(どうする!? 戦うか!? 短刀で!?)


 靂は握りしめて、歯を食いしばった。自分は小唄のところに帰らないといけない。こんなところで死ぬわけにはいかない。江戸中でピシャーチャが発生しているならば、ここにまだ現れていないのはただの偶然で自分が連れてこなくてもすぐにやってくるだろう。襲われているのは自分も、他の人も同じだ。中に逃げ込んで、他の人が襲われているうちに逃げれば生存確率は高くなる。

だが──

 

「──畜生!! かかってこい!!」


 靂は足を止めて短刀を構え、ピシャーチャを迎え撃つことを選んだ。

 四足歩行をしていたピシャーチャは、ネコ科の猛獣が飛びかかるように両手を広げて腹にある口を大きく開き攻撃を仕掛けてくる──



「──よゥし! よく吠えたな!」


 

 空中に飛び跳ねていたピシャーチャが、真っ二つに割れて左右に散らばった。

 靂の前に着流しに陣笠の中年が立っている。刀に付着した体液を軽く振って飛ばし、靂へと振り向く。


「……影兵衛さん!?」

「おうよ。こっちは八丁堀に生存者集めて防衛戦中だ。危ねえなら逃げ込みな。おっと、釣られてやってきたか?」

 

 影兵衛は再び前を向くと、他のピシャーチャが三匹纏めて走り接近してきていた。

 獰猛な笑みを浮かべて白刃を構えた。


「ちょいさァッ!!」


 先頭の一匹が十文字に切られ、次の一匹が袈裟斬りになり左右に分断。最後の一匹はすれ違いざまに両足を切り落とされた。

 だが、最後のピシャーチャは倒れたが残った両腕を使って跳ねるようにし、靂に無理やり近づいてくる。

 

「おらよ!!」


 それを後ろから影兵衛が踏み潰す。ぐしゃりと地面に張り付き、触覚のようにしていた目が垂れ下がった。


「こいつら、いいところ切らねえと体横に真っ二つにしても動きやがるから注意しねえとな」

「は、はあ……」

「八丁堀は町方の同心含めて何人かで警護してる。町奉行所は真っ先にやられたみてえでな。命令系統はボロボロ。拙者も独自の判断で嫁と子供が居るこのあたりを守ってるわけよ」


 喋りながら、刀を布で拭きつつ八丁堀への道を歩く。

 [切り裂き]同心が一切の自重をせずに敵を殺しまくるモードで守っている八丁堀は、この混沌とした江戸では有数の安全地帯かもしれない。

 相手は化物だ。情けも容赦もなく、誰からも感謝されて彼は切りまくれる。更に云えばそこらの雑魚悪党ではなく危険な殺し合いという状況を楽しんでいるフシもあった。

 他にも町方の同心、小者らも袖搦みや梯子を使った中距離からの制圧術に長けていて、相手の間合いに入らずに行動を止めることができる。


「で、どうすんだ坊主。ここに留まるなら、見張りでも何でも手伝う仕事はあるが」

「いえ、僕は家族が心配なので千駄ヶ谷に帰らないといけないんです」

「そうか……なら、こっから真っ直ぐ行く江戸城の南を進むのは止めとけ」

「どうしてですか?」

「あの辺りは武家屋敷ばっかりで道も直線が多くて隠れにくいだろ。あの鬼共は、音もだが目で見て襲い掛かってくるから、桶なんかに隠れるといいぞ。ついでに江戸から離れる街道もうようよしてやがる。町中を突っ切って危なかろうが、江戸城の北回りで行くこった。途中で九郎の屋敷もあるしな」

「わ、わかりました」


 影兵衛は靂の胸元を掴んで引き寄せ、真面目な顔で云う。


「いいか。手前ももう大人だから拙者ァ引き止めねえ。自分の選択を進め。だがな、死んでいいことはねえんだからな。生きるんだぜ」

「はい……!」

「よし、じゃあこいつは預けておくぜ。代金は、後で酒でも奢れよ」


 云うと影兵衛は予備で持っていた、そこらの侍の死体から剥ぎ取ってきた太刀を渡してきた。

 靂はそれを受け取ると、まっすぐな目を向けて頷く。


「はい! 必ず!」



 入手

 太刀:リーチ短 威力中 



 さて、それでは……


 →北方向に回って行こう

  敢えて真っ直ぐに危ない道を最短で行こう




 *******




 バリケードを築き遊撃隊として近づく食人鬼を駆除する影兵衛のおかげで多くの住民が守られている八丁堀の一角とは打って変わり、日本橋は壊滅状態だった。

 少なくとも生きている人は一人も見当たらない。一角には相打ちになったのか、ピシャーチャ数体とさつまもんの死体が転がっていた。中には射殺されたピシャーチャに、種子島銃型のきぐるみの死体があり、それを調べようかと悩んだが……


 何か役に立つものを持っているかもしれない 

→きぐるみがそんなものを持っているはずがない


 ということで諦めて先を急いだ。

 靂は食人鬼に見つからないように大通りを避けて川沿いを進んでいる。


(一体このピシャーチャは何処から現れたんだ……いや、何かの文献で、ピシャーチャは呪いや毒などを受けた人間が変質してなることもあるとあったな……病気だったりしたら、危険だ)

 

 そんな感染症があるのならば江戸中の誰もが潜在的食人鬼となり得てしまう。自分さえもそうだと考えると靂も不安になってきた。

 ふと靂は店の軒先に並ぶ鉢になっている植物を見つけた。


(これは確か免疫力を高める効果がある……念のために採取しておくか)


 入手

 シソハーブ:回復力中

 

 それにしても、相当あちこちで即席のバリケードが作られたようで道の多くに塞いだ跡が残っていた。

 中には塞がれたが無理やりピシャーチャが崩した様子も見られる。 

 川岸には舟が一隻も残っておらず、逃げ出したか或いは川を進んでも襲われただろうか。

 ばりばりと周囲から人間を咀嚼する音が聞こえる中で、靂は慎重に見られないようにして進んでいた。


 その瞬間、突然上から覆いかぶさってくるものがあった。

 硬い肌。びちゃりと付着する涎。熱い呼吸。ピシャーチャだ。屋根の上から降ってきたようである。


「──この!!」


 靂は噛まれないようにもがいて、一本背負いの要領で地面に投げつける。

 受け身も取れずに落ちたピシャーチャに、刀で切りつけるが傷が浅い。

 慌てて離れるピシャーチャは再び振り向いて、靂を睨み口を大きく開けて叫びを上げた。


「落ち着け……呼吸を整え、先生の教え通りに……」


 ここのところ、結婚し紙作りの職を得てからはめっきりと道場にも通わなくなってしまった。

 だがそれでも昔習っただけの技術を使って切り抜けなくてはならない。

 バクバクと高鳴る心臓を深呼吸で押さえて、基本を思い出す。

 相手は剛力だが動きは直線的だ。冷静に対処すればどうにかなる。姉弟子妹弟子に殴られまくった自分だが、唯一褒められたのは動きを見る眼力だったではないかと励ました。

 

「ギュギャアアアア!!」


 叫びながら突っ込んでくるピシャーチャに対して、靂はその動線から体をずらしながら薙ぎ払った。 

 回避と攻撃を同時に行う基本的な動き。また、ずらした軸を戻しながら切りつける技術だ。六天流[羅陰(ライン)攻撃]──基礎的な技であった。

 避けながらの一撃と、相手の背後に周りつつ一撃を放ってピシャーチャに致命傷を与えた。

 

「ふう……ってまずい」


 周囲からぺたぺたと走り近づいてくる音がする。戦闘音で他のピシャーチャを呼び寄せてしまったようだ。

 急いで逃げねば──と靂は駆け出したが、すぐ曲がり角でいきなりピシャーチャと対面した。


「ギョアアアアア!!」

「くっ!」


 刀を構えるが構っている暇はない。一対一ならば何とか倒せても、囲まれると絶対に死んでしまう。

 そう思った瞬間──


「オークパンチ!!」

「ギャアアアア!」

 

 目の前のピシャーチャが吹き飛んだ。

 代わりに現れたのは拳を突き出した、黒いボロボロの袈裟を着た雲を突くような大男だ。

 腕周りは成人男性の胴体ほども太く、巨体は靂が見てきた一番の巨漢よりも頭二つ分は高かった。全身いかつく、手力男命が現れたようだ。


「君、大丈夫!? すぐに逃げて!」


 その──顔を向けると人と形容するには奇妙な、毛の生えていない猪めいた異形だったが、慌てた様子で告げてきた。

 

「あ、あなたは!?」

「江戸に蔓延る魔物を倒してこいって上様に命じられて……とにかく! ここは危ない! 江戸城の周りも沢山居るから近づかないようにして!」

「は、はい!!」

「くそ、なんだこいつら──オークキック!!」


 近づいてきたピシャーチャを丸太のような足が吹き飛ばした。徒手空拳でこの巨漢はピシャーチャを退治して回っているらしい。

 徳川吉宗に仕えている元エルフ現オークの男、シンである。本来ならば将軍が軍を率いて制圧しようとしたのだが家臣らから猛反対を浴びて江戸城に籠城させられたので、やむを得ず最も腕っ節の強い部下を市中に派遣したのであった。

 

(世の中にはヤバイ人も居るんだなあ……いや、影兵衛さんとか九郎さんとか先生とか他にもいそうだけど)


 こうして信じられないが充分に戦えているのならば、頼れる人だろう。


「貴方も気をつけて!」

「死なない程度に頑張るよ!」

「これ使ってください! 使うと回復します!」

「ありがとう──これ紫蘇だよね!?」


 そう言い合って、靂はその場を急いで離れるのであった。




 **********

 



 ピシャーチャから逃げ惑い遠回りになりながら靂は進んでいた。

 あちこちの道が塞がれ、或いはピシャーチャが徘徊しているので安全な道を選ぶとそうならざるを得なかったのだ。 

 周囲に気配が無く、どうしても仕留めないと行けない場合は靂も奇襲してピシャーチャを倒したりしながら進んだ。

 

(刀を貰っておいてよかった……短刀だけじゃどうにもならなかったな)


 そう考えながら周囲を見回すと、かなりボロボロになっているがこのあたりは親しみのある町並みであった。


「……あの、入り口が破壊されているのが緑のむじな亭か……?」


 恐らく誰も中にはいないだろう。無残に狸の絵が描かれた暖簾は切り裂かれ、戸は破壊されていた。外から眺めても中の座敷などがメチャクチャになっているのがわかる。

 あそこには、靂も知り合いな六科一家が住んでいたはずだ。何処かへ避難してくれただろうか。或いは、中で無残なことになっているだろうか。

 靂は目を逸らして先を急いでもいいし、死体が見つかって気落ちする可能性を考慮しつつも誰か残っていないか確かめてもいい。


 先を急ごう

→中を確かめよう


 ──周囲を見回して靂は壊れたままの入り口から店の中に入った。

 生存者が居る可能性はゼロに近いだろう。だが、それでも確かめないと心残りになると思ったのだ。

 死体が出て来る可能性も覚悟して中に入る。

 いつも常連客が居る店内は血の匂いが充満していた。座敷に血がべっとりとこびりついていて、死体が転がっている。顔を見てみると、名前は知らないが客としてよく見る者だった。恐らくは客もまだ居る時間帯に急に襲われたのだろう。 

 靂はそっと先へ進む。もし食人鬼が居れば仇討ちとして退治しようと決めながら、奇襲に備える。

 板場近くに誰か倒れていた。

 ぞっとして遠巻きに見ると、倒れている相手は六科であった。

 胸を切り裂かれたように血で染めて、腕が一本千切れ欠損しながら、すりこぎ棒を片手に仰向けに倒れている。 

 慌てて近寄り脈を取ったが、既に死んでいるようだ。

 目を瞑って冥福を祈ろうかと思ったが、それよりも先に奥の部屋を確かめた。彼には二人の娘と妻が同居していたはずだった。

 そして──

 靂は、六科が死んでいるというのにホッと胸を撫で下ろした。そこには彼の家族の死体は無かったのだ。


(家族を逃がそうと、入ってきた化物と戦ったんだろうな……)


 そういう、父親の生き様に自分を重ね合わさて殊更惨めな気分になりながらも、逃しきった男の見開いている目を閉じてやろうと近づいた。

 すると──


「──!?」


 がばりと六科の体が跳ね起きた。

 

「生きて──」


 と、声を出しかけてすぐに思い直す。脈は確実に無かった。死んでいるはずだ。

 顔は土気色をしていて目は瞳孔が開き、起きたことで口から血反吐が垂れながらも気にしない。負傷も気にせずに起き上がろうとしていた。ただ、すりこぎ棒を持った腕だけはビキビキと筋肉が軋む音が聞こえる。 

 何かがおかしい。靂はそう思いながら、一歩後ろへ退いた。

 同時に六科の持っていたすりこぎ棒が横に振られる。近くに置いていたタレや薬味を入れる壺を薙ぎ払って粉々にした。


「六科さん!?」

「オオオオオオ」

 

 そして前進して襲い掛かってくる。靂は再び振られる棒の一撃をしゃがんで避ける。座敷の机に当たって、頑丈な棒で殴り飛ばした。

 壁に机が突き刺さる。とんでもない威力で棒を振っている。明らかにこちらを殺す気でありながら、その顔には一切の生気は無い。

 靂の知識からピシャーチャと動く死体の関係で導き出されるのは、


「ヴェータラか!? こんなものまで!!」


 絶望的に叫んだ。ヴェータラというのは同じくインドに於ける悪鬼の一種で、死体に取り憑く悪霊のようなものである。

 取り憑かれた死体は暴れだして生者を殺すようになる。それが六科に取り憑いたようだった。

 

「オオオオオ」

「くそっ!」


 すりこぎが振り下ろされる。間一髪で避けるが、人体の限界まで筋力を使っているようで非常に早い。地面に叩きつけられたすりこぎが弾け飛び、頬を破片がかすった。

 ヴェータラは棒を投げ捨て、近くの食卓を無理やり手に取って振り回し始めた。当たれば一撃で骨がへし折れそうだ。

 

(この動き出した死体の首を切るしか無いのか)


 靂はそう思って刀を構えるが、暴れる相手は技術など無くとも身体能力が三倍にもなっているようだった。迂闊に近寄れない。

 そうしていると、入り口付近で小さな声がした。


「おとう、さん?」


 靂が肩越しに見ると、六科の娘であるお風が一人そこに立っていた。

 店にやってきたピシャーチャを足止めする六科に言われて、お風と妹、それにお雪は長屋の住人と避難したのであったが彼女は父が心配でならずに、ピシャーチャから身を隠して必死に戻ってきてしまったのだ。

 そんな彼女の存在に一瞬気を取られた靂に、六科の振り回した机が当たる。刀で防いだが、手が痺れるような一撃だった。


「くっ!!」

「オオオオオ」

「お父さん! お父さん! どうしたの!? はやく、逃げないと……!」


 店に入ってこようとするお風を靂は手で押しとどめて、叫ぶ。


「お風ちゃん! 君のお父さんは、死んでしまって悪霊に操られている! 近づいたら危ない!」

「死──」


 その言葉を聞いて、改めて靂は血色が失せた顔色をして片腕が無い六科を見た。

 ぼろぼろと涙を流しながらお風は首を振る。


「嘘だ! お父さん死なないもの! 死なないって言ったもの! ちゃんと後から……大丈夫だって……」

「お父さんは君たちを守った! 立派な人だ! だから……あれはもう、違うんだ!」


 死して動き出す体。家族を守ろうと命を落とした男に施すには、あまりに哀れな姿であった。

 だがそれでも娘は認めたくない。

 

「嫌だ! 嫌だ! お父さん! 正気に戻って……!」

「駄目だ──! しまった」


 靂の制止を聞かず、お風は走って六科の前に出ていった。

 このままでは暴れる六科の攻撃でお風が死ぬ。

 それだけはさせてはいけないと、靂は刀を鞘に納めて手を伸ばした。どうにか少女の襟首をつかみ取り、引き寄せて抱きしめる。

 ヴェータラの攻撃が迫り──


 お風を腕の中に抱いて背中を向けた靂の寸前で、机の一撃は動きを止めた。

 

 震える声で、お風が云う。


「おとうさん」


 それに答えず、六科は一歩下がった。

 すると傷口である胸と腕から全身残らず血液を吹き出すように大量に出血を始める。六科が己の意思で行える血流操作術だ。

 死体から一切動かせないように力が抜けていった。

 別れの言葉よりも、六科は残った肺の空気を一言に込める。


「たのむ」


 靂は頷いた。動きを失った六科の体に、お風はすがりついて泣いた。だがその体にはもうぬくもりは僅かにも残されていなかった。



 六科の骸に別れを告げさせて、ひとまず靂はお風を避難させる為に話を聞いた。

 落ち着かせるために精神安定にも効果のあるハーブを使った。


「これって紫蘇じゃ……」

「それより、お母さんとかは何処に?」

「お母さんたちと一緒に神田明神に行ってたの……いっぱい人が集まってたの」

「神田明神か……それならそこまで離れていないな」


 そう判断して連れて行こうと、神田明神の方角を見ると。


「……まずいな」


 靂は冷や汗が流れた。その江戸有数の神社の方角に、高さ十間(18メートル)はありそうな巨大ピシャーチャが足元に土煙を上げながら歩いているのが見えたのである。



→神田明神に助けに行こう

 危険だから別の避難場所に預けよう





 ********




 

 ピシャーチャの怪力は個体によって強さが違う。

 普通のピシャーチャは人体を引き裂く程度だが、強大なものになると羅刹を殴り殺したり山を砕いたりするという。 

 まさしくその神田明神に迫る巨大ピシャーチャは、山を砕かんばかりの剛力を持っているだろう。


「ギシャアアアアア!!」


 その岩石のような拳が振り上げられ、門へと向けて振るわれた。

 門下には一人の男が自分の体よりも巨大な、振ってくる拳に向けて逆にタイミングを合わせて殴りかかっている。

 人体ならば触れた瞬間に粉々にならん威力を込めたピシャーチャの一撃と男の拳が重なり──


「ギャアアア!!!」


 と、ピシャーチャの悲鳴が鳴り響いた。

 男の立っているところはクレーターになりつつも、体には傷一つ付いていない。


「[蚩尤鉄身]……さあ、かかってこい持国天の使いよ! こちらは多聞天の化身から習った技で相手をしよう」

 

 拳を開いてピシャーチャを挑発しているのは録山晃之介であった。彼も家族を連れてこの神田明神に避難してきていたのだ。

 

「ギョオオオ……」

「はあ!!」


 ピシャーチャが起き上がろうとした際に回り込み、脇腹を殴りぬく。人体を拳が貫通して衝撃を体内に伝播させ、ピシャーチャの内臓をグズグズに千切れさせた。

 平将門の鎧を取り戻した功績で将門の霊に認められた晃之介が身につけた術で、頭以外の身体全てを無敵の硬さに変化させる硬気功の一種である。多聞天の加護を得ていたと言われる平将門はこれを使って戦場で無双の強さを誇っていた。

 彼の五体そのものが最強の防具であり、最強の武器と化していた。

 

「うおおお!!」

 

 晃之介は悶えるピシャーチャの口に自ら飛び込んで、体内から巨大な鬼を破壊し始める。

 いたずらに狙わず明確に急所の心臓と脳を破壊して外に飛び出し、気合を発散させると体にべったりと付いた血も霧となって吹き飛ぶ。

 それを唖然と、駆けつけた靂は見ていた。

 

「ん? ああ、靂か! 無事だったんだな。そっちは六科殿の娘の……送ってくれたのか」

「いえ、いいんですけど先生。非常識な強さですよね」

「食人鬼が出始めた頃にここに祀られている将門公に呼ばれてな。家族を連れて匿っている」


 そう説明しながら境内に戻ると、多くの避難民が不安そうに見ていたが晃之介を見るとホッとしたようにした。


「お風!」


 飛び出してきたのは、お風が帰ってきたという声を聞いたお雪だ。

 耳が良いとはいえ盲ているのだ。彼女がどれだけ娘を行かせないように気をつけても、抜け出すことは容易だっただろう。


「おかあさん……」

「ばかっ、心配かけて……おと、おとうさんが、助けてくれたんだから……」

「う、うん……お父さんね、最後まで……助けてくれたよ……」


 泣きながら抱き合う親子を見て、靂は僅かに目元を拭いその場を後にしようとする。


「行くのか」

「はい。僕の家族に会いに」

「そうか……できれば助けてやりたいが、俺はこの場から離れられん。境内の入り口以外は、将門公が呪いを掛けているから大丈夫なのだが入り口を守るためにな。もし生きている人が居たら、神田明神に集まるように告げてくれるか」

「わかりました」

「それと、これを」


 晃之介から渡されたのは弓と矢筒であった。


「お前は弓が得意だっただろう。何かに使えるはずだ。頑張れ。あと、九郎にもどうにかできないか会ったら聞いてくれ」

「はい!」

「いけ、俺の弟子よ!」

「あとこれ使ってください! 回復します!」

「ああっ! ……紫蘇じゃないのかこれ」


 晃之介から背中を叩かれて靂は走り出す。師から触れられた背中は、妙に熱く感じて勇気が湧いてきた。



 入手

 弓矢:射程長 威力中 矢10本



 さて……


→神楽坂を経由して千駄ヶ谷へ向かう

 神楽坂へ近づかないように遠回りして向かう


 



 ********




 牛込、市ヶ谷付近は壊滅状態であった。

 現在進行系で最悪な状態であり、まともな人間は真っ先に逃げ出すであろう。

 ピシャーチャが居ようがなんだろうが、この一帯よりマシだと思うのが当然であるようだった。


 巻き起こる火炎旋風。


 迷宮と化した区画変動。

 

 空から降り注ぐ炎や氷や雷。

 

 爆発する地面。


 暴れる巨人。

 

 だと云うのに恐怖を塗りつぶす勇壮な歌。



「なんだこれは……」


 靂が呟くと上空から青白い影が地面に向けてかっ飛んできた。


「すぐ避難しろ!! って靂か! 急いで逃げろ危ないぞ!」

「九郎さん!? どうしたんですか!?」


 近づいた靂に即座に警告を出してきたのは、天狗と名高い九郎であった。

 何故かお遊にちょっかいを出して身請けしようとしたことが色々と破局の原因になった設定だった気がしないでもないが、彼の焦った表情はそれどころではなさそうだ。


「己れにもわからんが嫁たちがヤバイことになった! 将翁の体に荼枳尼が降臨し、豊房が百鬼夜行を巻き起こしてお八は化け猫、夕鶴は高女に取り込まれ、石燕を狙った悪魔が複数体現れ、スフィは王電オーディンに憑依され、サツ子は薩意の波動に目覚めた!!」

「どうしてそうなるんですか!?」

「知るか! とにかく根来百人組と協力して厄払いをしているところだ! 近づいたら災厄に巻き込まれて死ぬぞ!」

「人の遊女を寝取ろうとするからですよ!」

「そんな設定もあったな! あっ荼枳尼将翁が来た!」


 空中を走り尻尾の先から狐火を灯して周囲に撒き散らし、火災を巻き起こしている狐面の女が急接近してくる。

 靂は咄嗟に弓矢を構えてしっかりと狙いをつける。

 古来より狐は弓矢に弱い。単に、当たると死ぬ威力があるというだけではなく狩猟動物であったという概念が本能的に弓矢への恐怖を身につけてしまうのだ。

 かの白面九尾の狐とて、大勢に弓で射られて弱ったのである。

 靂はじっと構えて狙いを定め、放った。


「ギイイイイイイイ」


 荼枳尼は叫びを上げて、真っ二つに割れた面を押さえて地面に落ちる。

 九郎は慌ててそれを受け止めた。傷はないが、既に将翁の意識は無いようだ。狐面に宿る荼枳尼に操られていたようである。


「すまん! 助かった!」

「いえ、僕は家族の元へ向かいます!」

「頑張るのだぞ!」

「あと九郎さん! これを使えば体力が回復します!」

「紫蘇だよな!?」


 九郎に紫蘇を押し付けて、靂は荒ぶる大災害を背に自宅へ急ぐのであった……






 *******



 


 走る、走る。

 靂はひたすら走りながら自宅を目指した。 

 途中で見かけるピシャーチャは、遠距離から頭に矢を一発見舞ってから刀で切れば効率的に仕留められた。

 また、ヴェータラも時折見られたがこちらは人間の体をしているだけあって、足の一つでも切ってしまえばまともに行動ができなくなり、やり過ごせる。

 途中で生存者にあったら、八丁堀か神田明神へ向かうように告げる。ひたすら耐えてさえいれば、オークか嫁を調伏させた九郎が化物を仕留めきるはずだ。神楽坂近辺には絶対近づかないように警告したが。

 走り、走り。

 やがて自分の屋敷が目に入り、喉もカラカラになりながら慌てて中に進み叫ぶ。


「小唄!! 皆!!」


 叫ぶが何の反応も無い。一瞬、血の気が失せるが靂は思い直す。

 小唄は実家の父から戻されていたのだ。あまりに遊女に熱を入れた挙句に金まで使い込む靂のだらしなさで。

 一切の言い訳ができないダメ人間っぷりだ。それでも靂は、ほっと安心した。まだ実家に居たほうが危なげが無い。彼女の実家である富農に働く者たちの多くはやたら意味不明に強いのだ。避難場所にちょうどよい。

 地主をしているのだから或いは周囲の避難場所になっているのだろう。

 靂は今度は根津甚八丸の屋敷へと足を早めた。


「てめえ! このクソ野郎が! うちの敷地またげるとでも思ってるのかハァァーン!!」


 凄い門前払いを食らったが。


「あの、小唄は! うちの子供たちは、そちらに居るのでしょうか!?」

「バーキャロウ!! うちの娘に孫だ!! 保護してるに決まってんだろうが!! てめえなんざ、お呼びじゃねえんだよ!」

「よ、よかった……」

「なにが良かった!? 夫が、父が守らねえといけねえ家族を見放して、どこにほっつき歩いてやがった!! 食人鬼にでも食われてろボケナス!!」


 甚八丸から死ぬほど罵られた。

 だが当然である。靂は妻と子供が居ながら幼馴染の遊女に入れ込んで、更には妻に心配までされて店の金を使い込もうとしたのだ。

 シリーズ人間のクズである。 

 だが、それでも。


「もう止めないか! 父さん!」

「アァーン!? ハハァーン!? なんだ小唄! まだこんなガキをかばうつもりかよ」


 靂の妻である小唄は進み出てきて、すぐ目の前に立った。

 彼女は靂が何か言う前に抱きしめて告げる。


「心配したぞ。探しに行こうとしたんだ。でも父さんに止められてしまった」

「……ごめん」

「お遊ちゃんは?」

「……僕をかばって、死んでしまった……」

「そうか……じゃあ、靂はお遊ちゃんの分まで生きないとな」


 小唄が手を回してぎゅっと抱く。

 自分を責めない優しさと、温かさに靂は涙が出てきた。


「ありがとう、小唄……」

「いいんだ。お前が無事なら」

「僕はさ、大事な人を守る為に鬼を切って回れるほど強くなくて、大勢の人を守る為に巨大な敵に勝てるほど逞しくなくて」

「うん」

「死んでも子供の為に血を流す人ほど尊くなくて、大事なお嫁さんを助ける為に天変地異と戦う力もない無力なだめ男だ」

「そうか」


 小唄は静かにうなずき、靂の申告を肯定も否定もしなかった。



「でも、これからずっと君の側に居て君と家族を守らせてくれないだろうか」

「いいとも。他の誰でもない。私が許す」


 

 小唄は笑って、泣きじゃくる幼馴染に口づけをした。

 忌々しそうに甚八丸はそれを見て、頭を掻いた。もはや自分の娘は、他の誰をも選ばずに軟弱で貧弱で意志薄弱だが、地獄のような江戸を横断してやってくるこの男に惚れ抜いているのだ。

 それを引き剥がすこともできないのならば。

 

「クソッタレが。せいぜい死ぬなよ糞ガキ」


 そんな悪態をつくだけであった。





 新井靂には力が無い。

 悪鬼を倒す力も、江戸を救う力も、世界を守る力も、あらゆる人を助ける力も。

 知り合いが持っているようなそんな力を彼は持っていない。多少、腕が立つが学者肌で引っ込み思案で、偏屈で劣等感を抱えたただの男だ。

 それでも、家族を守ろうと決めた。

 この騒動が収まることに、靂は殆ど関与しないだろう。だがそれでも、彼は守りたいものを自覚した。たったそれだけの変化だが、きっとこの世界に暮らす多くの人にはそれだけが必要なのである。 



「あ、それと町中で採ってきたものですが……」

「紫蘇なんざ庭に生えてるわ!」





 その後、ピシャーチャが一切発生していない吉原を参考に対策を練った。

 知識人が、ピシャーチャを退けるには印度では色粉を使った節分をしているという話を取り上げる。ホーリー祭りと呼ばれる行事である。

 それを実行すべく江戸中で色粉を撒き散らされ、ようやく食人鬼パニックは収まるのであった。

 

 なお怪我の治療にはやけに紫蘇が効くと評判になり、江戸のあちこちで以降紫蘇が多く育てられることになったという。





 ********




「……というふうに、怪物騒動ものは最後は愛を確かめ合うのが重要なんだ! わかっているのか! 靂!」

「ごめん小唄。聞いてなかったよ」

「うう……だから、その……わ、私は、なにがあろうと、お前が──」

「はーいネズちゃん熱々の湯豆腐ができたぞー」

「ふあっつぁ!」

「あれれー? 口を火傷した? 暫く喋れないねー……靂は気を付けて食べよーなー」

「あ、ああ……」

「ちなみにあたしは、靂と一緒なら死んでもいいからね! むしろ死ぬとき靂を連れて行くからね!」

「そんなこと言われても……」



「……はあ゛」


 茨は大きくため息を付きながら、小唄の書いたパニックホラー小説に自分が登場しないことを微妙に思うのであった。

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