004
「さてと、んじゃ登録済ませてちゃっちゃとクレス様とご飯だー!」
部屋を連れ出され、そのまま持ち運ばれていく。
「ふんふふーん♪」
軽快な足取りで、ルンルン気分で歩くアイシャ。
「んんっ! んが!」
「もー、ちょっとは大人しくできないのかなー……」
まるで俺が駄々をこねているかのような言い草……。
俺は悪くない……俺は悪くないんだ……。
元はと言えば、あんなモンスターが居ることを知らせなかったギルド長でもあるクレスの責任だ。
一から冒険者を始めるにしても、なにかクレスにしてもらわないと割に合わねぇ。
「クレス様も、君なんかと何の話してたのかなぁ。教えてくれる?」
「……」
今更、「俺がビオリスで元四十半ばのおっさんです」って言ったところで信じられんだろうに……。
「ほほーん、そこだけは黙るんだね」
アイシャに「お前が今抱えている子どもの中身はおっさんだぞ」と言ってやりたいが、バカにされるだけだろうしな……。
クレスが言っていたように新人冒険者の扱いを受けるしかないのか……。
「――――あ、アイシャちゃん……ってその子どうしたの? なんで裸……?」
廊下を歩いていると、ギルドの別の受付嬢がアイシャに話しかけた。
黒髪の大人しそうな女の子で、胸は中々に大きい。
ぺたんと垂れた獣耳がまた和やかな雰囲気を生み出している。
片方の目が前髪で隠れている分、内気な感じがする子だ。
「クレス様から預かった冒険者なんだよー。服を着てないのは気にしないでね」
「あ、あはは……そうなんだね……。アイシャは今からその子の登録なの?」
「うん、そうなんだよー……。嫌だけどクレス様から頼まれたからやらないといけないんだよねー……はぁぁあ……」
本気で嫌がっているアイシャ。
そこまで嫌なら俺を開放してくれればいいものを……。
「そ、そっか……」
「シズクちゃんは? お昼から受付?」
「うん……、今からなんだけど、大勢の人が居ると思うと緊張しちゃって……」
俯いてそわそわするシズクと呼ばれた彼女。
シズクは前髪を触りながら、不安げな表情を浮かべている。
アイシャは元冒険者として名前は聞いていたが、この子のことは何も聞いていないな。
慣れていなさそうだし新人か?
「シズクちゃんはそろそろ人前で緊張する癖を直さないとだねー。私よりもギルドに居るの長いでしょー?」
そ、そうなのか……。
「そ、そうなんだけどね……なんか男の冒険者の人たちの熱がすごくて……」
えへへ……と、頬をかくシズク。
「あー、シズクちゃんはモテるからなぁ。大人しくて可愛くて……胸も大きいし羨ましい……」
「ア、アイシャちゃん……? なんで私の胸を揉んでる、のかな……?」
柔らかそうな彼女の胸を片手で揉むアイシャ。
うらやましい……。
「大人しそうな見た目なのに、なんていう武器を持ってるのさー……」
「あっ……アイシャちゃん……だめ……だよっ……」
シズクは体を右に左にと動かすが、アイシャが胸を鷲掴みにしたまま離さない。
「んっ……ひゃうっ…………いや……んんっ……そこ、だめっだからぁ……」
「ほれほれー、ここか? ここがいいのかー?」
アイシャが完全にエロ親父のような振る舞いに変わっている。
だがしかし、女の子同士がじゃれ合うというのは、思っていたよりも良いものだな。
「アイシャちゃん、ダメだよぉ……んんっ……」
「ふんっ、巨乳は私の敵だ! つまり、シズクのこのおっぱいは私の敵だー!」
「ふぇぇ……なんでそうなるのぉ……」
「あー、片手じゃ足りなーい!」
アイシャに押さえられていた俺の体が一瞬だけ浮きあがる。
「え、ちょ、待――――――」
「こうなればおっぱいもみもみの刑だー!」
「きゃぅっ!」
言い終えたアイシャが俺を放り捨て、シズクへと襲いかかった。
「ぐぉっ……ぬぉぉぉ……頭がぁあ……!」
壁に打ち付けた俺の頭に致命的なダメージが入る。
痛みで死ねるなら、今すぐにでも死んで楽になりたい……。




