謎の少女のパターン
「……こんなもんか」
海辺に横たわるグロッグドラゴンの死体は綺麗に解体されていた。
「意外となんとかなるもんだな」
動物の解体はしたことなかったが魚が捌けるのでそれを応用してみたが綺麗に上手く行った。
「これを支給された魔皮紙の上において転送か、この魔法便利だよな」
元の世界で存在しなかった“物質の転送”
流石に魔法の知識はもう少し勉強していかないと構造とかはまだわからない。
ただ、この魔皮紙の上において魔力を通すと指定されたもう一つの魔皮紙に転送されるらしい。
切り取った素材は広げた魔皮紙の上に並べ、魔力を流してギルドへと転送。
風呂敷程度の大きさなので何度もやることになるが____
「転送先のギルドでは大騒ぎしてるだろうな」
これでまた一歩……あの人に近づけた気がする……
目に、否、心に焼き付けた彼女の姿を思い出す。
陽の光を溶かし込んだような金色の髪。
澄み切った青い瞳。
整った顔立ち。
服越しでもはっきり分かる、豊かに主張する胸。
思い出すだけで、心臓が少し速くなる。
「あぁ!もう好き!」
おっと、抑えきれない感情が声として出てしまった様だ。
____その時だった。
「リュウトさーん!」
聞き覚えのない少女の声に振り向くと__
「なるほど」
砂煙を巻き上げて、全裸の幼い少女が全力でこっちへ向かって走ってきていた。
「新しいイベントの発生ってやつか」
ならば俺もテンプレのリアクションで応じるべき。
「わ、わ、わ!は、裸じゃんか!」
大げさに目を隠し、顔を背ける演技。
異世界転生者は女の裸に弱い!これもテンプレ!
「? 何言ってるんですか?」
この反応、“本人は裸という自覚がない”もしくは“裸という事に恥じらいを感じない野生児”という2パターンに絞り込まれた。
前者ならこの後に「キャーーーーー!」と言いながら俺がビンタされるテンプレ。
後者なら「は、裸は恥ずかしい事ですよ!」と俺が恥じらいながら常識を教えるテンプレ。
どっちだ!とりあえずもう少し揺さぶりをかける!
「こ、これを」
ギルドから支給された毛布を取り出して渡す。
「ありがとうございます」
素直に受け取り、少女は身体を隠し__
「ん〜……おかしいなぁ」
と言いながら、俺をまじまじと見てくる。
年齢はたぶん小学生くらい、肩までの黒髪。
透き通るような雪肌。
赤い目…………
ん?
「色付き……?」
彼女もまた、色が付いて見える人物だった。
「あぁ!思い出しました!リュウトさん、私に対しては“テンプレート”を意識しなくて大丈夫ですよ」
!?
「ほぅ」
俺の顔つきが変わったのが分かったのか少女は先ほどより安心した顔になった。
「あぁ、“いつもの”リュウトさんになりました、これでお話ができますね」
ここまでの会話で第三のパターン予想が俺の頭の中で出てくる。
「君、未来から来た人間だろ」
「流石、リュウトさんですね、話が早そうです……私は“ユキ”って言います、ご存知の通り未来から来ました」
「君の姿を見て、“過去”に来てあまり時間は経ってないのは解った、そして、異世界に来たばかりの俺に会ったのも何かの運命……何があったか詳しく、話を聞かせてくれ」
「はい、実はですね____」




