ミクラルヴォルケーノ
──《ミクラルヴォルケーノ》:火山島、上陸
島に降り立った瞬間、むわりと肌を包む熱気に額の汗がにじむ。
目の前には、果てなく続く蒼い海。背後には、噴煙をあげる巨大な火山。
そして今、俺たちはその狭間――白い砂浜に拠点を設営していた。
「設置完了っ!……ふぅ、やっぱり転送型テント便利ですね!」
「簡易結界も貼った。夜間の防御も最低限は整ったな」
ギルド製の転送魔皮紙を使って、仮設のキャンプを立てる。
テント・簡易結界・資材ボックスと順調に展開され、拠点が出来上がった。
「さて、次は位置確認だな」
俺はギルドから受け取った《探索用魔皮地図》を広げる。
「ここが現在地……つまり島の北側、浜辺ってところか」
「目的地はこのあたりですね、火山の南麓にある……《紅葉密林域》って名前みたいです」
アカネが指差すのは、火山の裾野に広がる赤褐色の森林帯。
《紅葉》と名はついているが、実際には「火山熱に耐える特殊な樹木」が生い茂る独特なエリアで、樹皮は黒く葉は赤い。
「モンスターの住処にはちょうどいい場所ってことか……よし、出発するぞ」
「はいっ、行きましょう!」
──そして、最初の遭遇。
真っ赤な葉が舞う森林の入り口に差しかかった、その時だった。
「っ!? リュウトさん、あれっ!」
「……ヴォルクパルピーヤ、か」
小型だが群れで行動する、獰猛な肉食獣。
体長は大型犬ほど、口からは小規模な火炎を吹き出す。
デカい犬に黒い鱗がある魔物だ。
「来ます……っ!」
群れの数は六。
此方には既に気付いていた様で包囲するように回り込み、連携して飛びかかろうとしている。
「任せてください、リュウトさんっ!」
アカネが巨大なウォーハンマーを構えながら出た。
「痛いのは一瞬ですよ!」
そのまま適切な間合いを取ってその場で踏み込む……うまいな。
あのまま行けば__
「はぁああああっ!!」
狙い通り、と言う所だろう。
そのままハンマーを真横に振り抜くと三体のヴォルクパルピーヤが吸い込まれる様にそこへ来ていた。
最高のタイミングで振り抜かれたハンマーをくらい、魔物は弾け飛ばされ木々をバキバキと砕きながら飛んでいく。
「いい振りだ」
「任せてくださいって言いましたから!」
そのまま残った三体もあっけなくアカネに敗れ、群れは数分で全滅した。
まぁ、勇者のパーティーに入った瞬間即戦力って助かるテンプレートだな。
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「目的のモンスターは居なかったな」
俺とアカネはしゃがみ込んで、ヴォルクパルピーヤを解体している。
「はい……どうしましょうか?」
「今の俺たちはグリードから代表できているようなものだ、流石に手ぶらでは帰れない」
「では、倒すまで帰らないということですね」
「あぁ、幸いにもヒントはある」
「ヒント?」
「通常、コイツらは洞窟の奥に住んでいるはずだ、分布も地図で見れば確認できる」
「ならどうして、ここに居たのでしょう?」
「考えられるのは一つ、住処に住めなくなったってことだ」
「つまり……強いモンスターがそこにいると言うことですか?」
「その可能性が高いな、とりあえず素材を送ろう」
「はい!」
アカネは転送魔皮紙を取り出し、ヴォルクパルピーヤの有用部位を次々と切り取り、ギルドに転送していく。
転送魔法が発動するたび、赤い光と共に素材が“蒸発”するように消えていく。
これであとから戦果報告と報酬が反映される仕組みだ。
「行くぞ」
「はい!」
──かくして俺たちは、灼熱の森林を抜け、《火山の洞窟》を目指すこととなった。




