悪人いないよっ?
「とは言ったもののどぅしよっかな〜」
そう言いながら平和な街を1人で歩いていくみや。
「ぅ〜ん」
雲ひとつない空を見上げるとリュウトの顔が浮かび上がる。
「あ〜……」
リュウトを想うと心が満たされる。
惚れ薬による毒。
そんなものはとっくに自分で解毒した……だけど、物理的な毒よりも心の毒は取り除けない。
初めての恋。
この気持ちは快楽に似て非なるもの。
苦しいが、それが良い。
言葉じゃ現しきれない……いや、現すとしたら__
「__好きっ」
自分の下が熱くなるのを少し感じた後、気を取り直す。
「まずは場所だねっ」
街の中、人通りが多いメイン道路から少し外れ人の気配のない暗い道へ歩く。
「どうかなっ?」
1人の少女が無防備に歩いているのはこれ以上にないほどの獲物なのでは?
「…………」
でも人の気配が無いのは本当に居なかったからだった……
「はずれたっ……むぅ」
その後も同じような裏路地を見つけてはゆっくり歩いていくがヒットしない。
「はぁ……」
ため息を出しながら次の裏路地を歩いて行くと1人のおばさんが話しかけてきた。
「あんた、こんな所を歩いてどうしたんだい?この先にはゴミ捨て場しかないよ?」
このおばさんがいっそ悪いやつならいいんだけどそうは見えない。
「ぅん……ちょっとゴミを捨てに……」
「?、そうかい?まぁいいけど」
「おばさん、私ってかよわそぅっ?」
「何言ってるんだい?おばさんでも一捻りできそうなくらい弱そうだよ、ま、この街に来て良かったね、ここはグリード城に1番近い街だから女の子を襲うような輩はいないよ」
「がーーんっ」
「なんで悲しそうにしてるんだ……まぁまたどこかでね」
そう言っておばさんはそそくさとどこかに行ってしまった。
「リュウト……ふつぅにむりかも……」
例のゴミ捨て場まで来た。
「ゴミ……」
ここから時間になるとゴミが転送魔法で送られる。
「……?」
ふと、ゴミ袋の隅に置かれている壺に目がいった。
見るからに普通のツボだが、何かを感じる。
「……びんごっ」
魔眼を発動させると壺の材質や材料や用途が解る。
解るのはそれだけではない、知ろうとする事が分かるのだ、例えば“所有者の住所”や“目的”
「悪い人にはっお仕置きしなぃとねっ」
蛇の様な笑みを浮かべ、みやは太陽が落ちるのを待った。




