テンプレ勇者、目星をつける
あれから時は経ち__
「よぉ銀騎士!今日は誰についていくんだ?良ければ俺のパーティーに来るか?」
「いや!銀騎士は今日は俺の所だ!」
「アンタら何言ってるんだい、最初に目をつけたのは私たちパーティーなんだからね」
俺はこの街で有名人になっていた。
装備を新調しないで鉄の装備のまま出ていき、汚さないで帰ってくるのでついたあだ名は“銀騎士”…………まぁついてしまったもんは仕方ない。
こういうのは自分で決めるものじゃないしな。
「みんなごめんな、今日はギルド長に用があって来たんだ」
そう応えると、周りの知り合い達はシーンとなり、俺を最初にジャログドラゴン討伐に連れてってくれた女冒険者が口を開く。
「と言うことは………あれかい?」
「そう、あれだ」
今度は一斉に祝福の声がみんなから上がった!
「うおおおおおお!こんなに早くダイヤモンド冒険者に!?」
「ギルドで最速じゃないか!?」
「私が見込んだだけのことはあったよ!私は人を見るのが得意なんだ!」
「昇進祝いだ!今日は依頼なしにして飲み明かすぞー!」
「は、ははは、ありがとう!みんな!」
そう。
俺はダイヤモンド冒険者まで登り詰めた。
まぁ、異世界のテンプレとしては遅いか?運が悪かったんだろうな。
途中からはギルド長から「上げたいのだけど流石に早すぎるから周りから反感を__」なんて言ってたから、周りの冒険者のパーティーに片っ端から入って依頼を速攻でこなし周りの好感度もあげ。
ギルド長の仕事である書類の整理から予算の管理、冒険者の斡旋にトイレ掃除まで言う事ないほどやって外堀を全て埋めた。
そして今日に至る。
「ギルドカード、更新してくれ」
「はい!ギルド長を呼んできますっ!」
そう元気に応えたのは、若いギルド員の女の子だった。栗色の髪をポニーテールでまとめた、明るい印象の――いわゆる“ゆるふわ可愛い系”
そんな彼女が、ふと頬を赤らめて口元に指を添える。
「……それとリュウトさん」
「?」
「もし良ければ、お祝いにこの後、二人きりで__」
「断る」
「きゃふん!」
「出た!リュウトの女100人斬り!」
「今度はギルドの娘か〜逆玉なのにな〜」
「ま、仕方ないか、だって銀騎士様は仕える主がいるって噂だからな」
そう、異世界に来たらハーレムにするのが当たり前なのかこういう色恋沙汰は多い。
時にはラッキースケベというものも体験したが………………
どれもアオイさんを見た時よりも遠く及ばない!
なんだろ?いくら女の裸を見ようが触ろうがアオイさんを見た時ほど興奮しなかった。
「やぁリュウト君」
「ギルド長、お久しぶりですね」
「いや、2週間前に会ったばかりだね……と言うか、やってくれたね」
「?」
「周りの信頼、依頼の早期解決、書類の整理、トイレの掃除……全て見事にやってくれたね……終いには僕の嫁さんを__」
「上げない理由はもう無いですよね?」
「はぁ……」
ため息をついたが、ギルド長はニッコリと笑顔になる。
「もちろんさ!いや〜君のおかげで仕事も楽になったし依頼主達も大満足!城からの評価も上がって僕のお給料も上がるし万々歳!俺の嫁さんもリュウト君のおかげで元気になったし!」
「フフッ、それは良かったです」
「ギルドカード、更新承認!」
ギルド長が俺のギルドカードに魔力を流し、表記がダイヤモンド冒険者になる。
「はいどうぞ!」
「ありがとうございます」
さて__
「銀騎士ぃ〜やったな!今日は祝いだ!俺が奢ってやるから飲もうぜ!」
「……」
「銀騎士?」
「あ!いや!ちょっとダイヤモンドになったら行こうと思ってた場所があったんだ!だから今日はごめんな!」
「お、おう」
「じゃ!」
俺はそう言ってギルドを出ていった。
「おいどうしたんだよ?黙ってて」
「いや……さっきの銀騎士の顔……」
「ん?」
「なんかいつもと雰囲気がちが__気のせいかもな!それより今度銀騎士の祝いパーティーみんなでしようぜ!」
「おうよ!人集めてくらぁ!」




