恋を叶える為のラブロード
「……さて、と。頭を整理しよう」
宿の天井をぼんやり見つめながら、ひとりごちる。
冒険者になって一日でグロッグドラゴンを討伐。
その事実だけでギルドは大騒ぎ。
危険地帯に新人を送ってしまったことについて、上層部から何度も頭を下げられた。
(テンプレ通りの展開ってのは、安心するな……)
だが、問題はそこじゃない。
あの熱い握手を交わした後、ギルドからの帰りの連絡が来るまでの時間を使い、俺はある程度、未来を知った。
彼女の言葉は、どれもが重く、絶望的だった。
俺がこの世界に来た“意味”。
そして、この世界で“何をすべきか”。
あの子が話してくれた情報は、今後の道を決める指針になった。
「まず一つ、この世界には“魔王”が存在する」
城では“封印された”と言っていたが、それは偽りだった。
今も魔王はどこかに居る。
なので、これを第一目標に土台を作っていく形になりそうだ。
そして__
「俺は……未来で死ぬ」
その死に方を聞いた時、俺らしかった……
誰かに殺されたわけじゃない。
戦いの中で倒れたわけでもない。
自ら、命を差し出す――
金髪、青い瞳、そして異常なまでに美しい容姿。
――アオイさんに。
ユキは、彼女の“娘”だった。
血の繋がりはなくとも、“育ての母”と呼ぶほどに深い絆があった。
そして、アオイさんは未来で『女神』と同化し、世界を終わらせてしまう存在になる。
「『女神』……絶対悪」
この世界での共通認識である『女神』=悪。
「確かに、未来で世界を滅ぼす存在だから合ってると言えば合ってるな」
もう一つの目標。
サブミッションといった方がいいか、未来の事を知った故のサイドミッション。
「“アオイさんの中にある女神を取り除く”」
彼女を殺さない。
救い出す。彼女自身を、未来の悲劇から。
「こんなものか」
俺は本型のメモ帳に書き記していく__
・魔王は存在する。
・女神=アオイさんは、未来で世界を滅ぼす。
・俺は未来で彼女の為に命を落とす。
・etc,,,,,,
書き終え、目前の目標を明確にした。
「まずは、“ダイヤ冒険者”になる」
この世界の冒険者には当然【ランク】と言うものが存在する。
それぞれのランクは__
・ブロンズ
・シルバー
・ゴールド
・プラチナ
・ダイヤモンド
・ルビー
・サファイア
・エメラルド
と有り。
階級が高くなるほど討伐できる魔物や行ける場所が多くなる。
ちなみにグロッグドラゴンはプラチナランクである。
ダイヤモンドからはまだ未開拓の地を行けるようになり、功績を上げてエメラルドまでなれば王宮の騎士にもなれる様になる。
この世界では世界地図がない。
街を出て、生きて帰れる者が少ないため、未踏地が多すぎる。
だから、ダイヤ冒険者以上にならなければ、自由に探索もできない。
「ギルドの認可を受けて街を出るなら、城も表立っては文句を言えない」
勇者が無断で姿を消せば、それは国際問題になりかねない。
でも、規則に従っていれば、誰も止められない。
「……ふぅ……」
とりあえず、一段落だ。
「…………アオイさん」
今頃、どこで何をしてるんだろう。
会いたい。
でも、会うのが怖い。
もし、冷たい目を向けられたら――
俺の想いが、一方通行だったら――
「……くそっ」
胸が締めつけられる。
こんなにも誰かを想って、苦しいなんて……初めてだ。
でも、それでも――
俺は、恋を叶える。
待っててください……アオイさん。
「――これが、俺の“ラブロード”だ」
迷いは、もうない。
アオイさんを救うための物語は、ここからが本番だ。




