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この手の中を、守りたい  作者: カヤ
飛び出す子羊編

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アーシュ10歳7の月

短めです、今日1話目です。

部屋に戻ると、ウィルにも謝られた。


「自分のことしか考えずにごめん。でも、強くなることを諦めるってどうしても言えなかったんだ」


ウィルは熱い。マルと一緒で、戦うことが本当に好きだ。諦めさせていいわけがなかった。


また4人で一緒の部屋は、なんだか安心した。明日からも、がんばろう……


5時半にギルドだ!


「よお、今日から来るとは思わなかったぜ、アーシュ、ウィル」

「そのわりに待ってましたよね」

「くっ、これは涌きでたまたまだ」


「ギルド長、これからの練習でお願いがあるんです」

「なんだ?」


マリアをめぐって争った時、私はあの魔法師の戦い方をまったく知らなかった。もちろん、ダンジョンでパーティを組んで戦ったことなどないからだ。牽制や、威嚇。魔法師として、まだまだ戦術は広げられる。


「お前は!」

なぜにゲンコツ!

「そんな危ないことをして、そもそも、だいたいセロとウィルは何をやっていた」

あーあー、聞こえない聞こえない!

「チッ、まあ、まだ早いかと思うが、少しずつは教えてやる。コイツはいつトラブルに巻き込まれるかわからん。ただ、9の月からだ」

はい!


「ウィル、ちょっとこい!」

「はい!」

何かな?

「おい、あれだ、あれ、おさまったか」

「セロが謝ったみたいです」

「おまえは」

「オレもです」

「じゃあ、修行は?」

「行くことになりました」

「あー、そうか、アーシュ、甘いな……」


練習は?

「よし、始めるぞ!」


6時からはセロとマル、ニコとブランも来た。


「リボンついてるな」

「やっと謝ったか」

「アーシュ怒らせると案外怖い」

「「気をつける」」


しばらく打ち合って、剣の師匠は、セロたちに

「お前ら、王都でだいぶ鍛えたな!」

ほめていた。

「マルとアーシュは忙しかったか?むしろ落ちてるぞ?」

うむ。仕事だったのです。

「これからまた、がんばる!」

とマル。

「はい、がんばります」

と私。


「ニコ、ブラン、セロ、ウィル、『涌き』で人はいくらいてもいい。稼いでこい!」

「「「「はい!」」」」

「アーシュ、マル、荷物持ちも足りねえ。行ってこい!」

「「はい!」」


日常が戻ってきた。

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