7の日の夜
ダンの屋敷は、そういえば来たのは初めてかもしれない。
「ほら、女子はいつも領主様のとこだから」
「そうかー、あ!みんな帰ってきているよ」
「あれ、ウィルとマル、なんかよれてる?」
「ついさー、途中で西ギルドに行っちゃって、剣の訓練をね」
「えー、マル、それでよかった?」
「ついねー、でもお肉はたくさん食べた。串焼きがいっぱい」
「串焼き多かったよねー」
「幸せだったー」
「マルってさ、女子力低くない?」
「アーシュ……、わかってない」
「ええ?」
「リボンキレイね」
「セロが買ってくれたの」
「趣味イイね、アーシュに似合ってる。お兄ちゃんも私に買うべき」
「おお?買ってやるから自分で選べよ」
「わかってない」
「さあ、ご飯にしようぜ」
とダン。さすがにオリーブオイルを使っていて、おいしかった。
「さあ、ご飯も済んだし、今日のようすを聞かせてくれよ」
「そうねダン、さすがに王都ね。服屋さんがたくさんあって、雑貨屋さんも、素敵なものが多くて、ねえ、アーシュそのリボンどこで買ったの?」
「これはね、セロがね」
「いや、ソフィー、アーシュ、話をそらさないでくれ、で、お昼とかどうだった?」
「オレたちは学院御用達みたいになってる、安い定食屋に行ったんだ」
「学生がいるところなんて初めてで、どきどきしたわ」
「いや、マリアもソフィーも、全然落ち着いてたじゃん。オレたちの方がなー」
「学院の生徒が結構いて、『 あれだれ?』みたいなね」
「後で絶対紹介しろとか言われる。マリアとソフィーだけじゃなく、ニコとブランもな」
「「……オレたちはうれしくねえ」」
「ザッシュ、クリフ、それでお昼はどうだった?」
「ん?子羊館に比べたら、やっぱな、落ちるけど、安くて多いし」
「私には多すぎたし、混んでるからゆっくりはできなかったわね」
「その後は?」
「中央広場あたりをブラブラして、店見るの付き合って」
「屋台で小麦巻き食べたり」
「そんな感じ」
「じゃ、ウィルとマルは?」
「うん、串焼き食べて、肉巻き食べて、西ギルドで剣の訓練して、串焼き」
「あーわかった」
「お茶は7の日はやってないのな」
「ランチもだろ?ウィルがお茶とか言うと思わなかったよ」
「確かに。でも、1日遊んでたら、飲み物ほしくなった」
「そうよね、ちょっと休めるとこはなかったわね」
「メリルはそもそも1日遊べないしな、なくても気にならなかったし」
マリアとザッシュが言う。
「アーシュとセロは?」
「私はね、甘いものが売ってなかったのがちょっとね」
「オレは特に問題なかった。けど、女の人や家族と来たい人には休むとこや食べるとこがないかなって思った」
「やっぱりか」
「やっぱり?」
「王都ってさ、人が多い割に、お茶とか甘いもの売ってないし、何より休める場所がないんだよ」
「確かにね」
「だからギルドのお茶販売が受けるんだよ。たまに冒険者以外も買っていくよ」
「じゃあ、広場でお茶の販売?」
「それも考えたけど、おれ、お茶を飲むお店を考えてるんだ」
「食事も?」
「食事は出さない。座って、ゆっくりお茶を飲める店。できれば甘いものをつけたい。レーション受けただろ?」
「場所代考えて採算とれる?」
「うん、アーシュ、だから高級志向で行く」
「私たち入れるかな」
「セロ、ツレが休みたいって言ったら?」
「ちょっと高くても入るよ」
「ザッシュは?」
「買い物付き合うの男も疲れるんだよ、あっ、いてっ!だから高くても休む」
「オレは一人じゃ絶対に入らん」
「オレもだな」
「クリフ、ニコ、ブランはダメか」
「私たちは、甘いものしだいね」
「よし、王都に出店する!」
「「「「ホントに!」」」」




