始動
次の日、ダンの屋敷にも連絡して、ダンにも一緒に来てもらった。面白そうだとクリス君も一緒だ。早速なかよしだそうだ。ザッシュたちは寮なので、許可をとるタイミングが悪く来週だ。
「グレアムさん!アリスさん!」
「おお、久しいな、少し大きくなったか」
「毎年7センチくらい伸びてるんだよ」
「正確だな」
「大事なことだもん」
「去年あった時より小さくなった」
成長期の男子と比べないでください、クリス君。
「ところで、簡易キッチンなどができているはずですが」
「ああ、マリア君、こちらへ」
「ふむ、ダン、お茶の販売はどう?」
「50~60程度で安定してる。6人ほど雇って、回してる。」
「利益は出てる?」
「人件費は多少増えたけど、基本結構儲かってるよ」
「冷たいのは?」
「少しずつ。まだ見極めがつかない」
「がんばってるね」
「まあね」
「ダン、ちょっと来て」
「マリア、どうした?」
「お茶わんはどうなっているの?」
「お茶販売用のカップなら、30揃えて、洗いながら使ってるよ」
「それは朝食に使ってもいい?」
「もちろん」
「グレアムさん、アリスさん、朝食はどのくらいを見込んでいますか」
「お茶よりは出ないだろうから、40から50くらいか」
「うーん、ギルドの規模がメリルの2倍なのに」
「メリルよりは食べられる店や屋台が多いと思うのよ」
「アリスさん、確かに損は出せないですよね」
「じゃあ、基本お茶碗なんかは30用意して、人を雇う時、洗い物要員を少し増やすとか」
「そうね、アーシュ」
「食材の納入先は」
「こちらに」
「これ、増やしてもらえるのかしら」
「大丈夫だと思います」
「では、各40食分を今日中に、練習で食材が無駄になるかもしれないから」
「それから働く人なんですが」
「冒険者がらみで声をかけているが、口コミで若いお嬢さんも来ているよ」
「何でですか」
「冒険者は、ほら、実入りがいいから」
「相手探しだ!」
「出会いだ!」
「私も!」
「……ソフィー?」
「グレアムさんも?」
「私は別に……」
「いいんじゃないですかね」
「いつから来てもらえそうですか」
「明日からでも」
「とりあえず、全員に朝6時から3時間ほどで、早速来てもらいたいのですが、最初の1週間である程度ものにします」
「連絡をとろう」
「それから、できた朝食は安くして仮販売をしたいのですが」
「許可する。ただ、混乱するから最初から定価でお願いしたい」
「じゃあ、食事を出す場所と、ランチの販売場所をちょっと確認してくる」
「お願い、アーシュ、マル」
「そうだ、グレアムさん、レーションなんですが」
「それはできるだけ早くお願いしたい」
「ギルドで焼くか、近くのパン屋さんに委託するかなんですよ。先のことを考えると、委託した方が楽なんですが、候補はありますか。複数納入でもいいですよ」
「当たってみる」
「では、しばらくはギルドで1日30焼いて出しますね、早目にお願いします」
男性陣がぼうっとしている間に、どんどん決まっていく。
「思った以上に、なんというか……」
「すごい?」
「そう、有能と言ったらいいのか……」
「圧倒される?」
「そう……」
「慣れますよ、オレたちはオレたちで稼いで家にお金を入れればいいんです」
「お、おお、セロ君、君大人だね」
そして5の月の1週目が始まる。




