グレアムさんが来た
今日2話目です。
「グレッグ!」
「よーう、グレアム、去年のギルド長会議ぶり?」
「いつもさっさと帰りやがって、ろくに話す暇もない」
「野郎がお、は、な、しする事なんてそうはねえだろ。あ!お前まさか嫁が来んのか!」
「お前にはそんな暇があるのか」
「ねえな」
「俺にもだ」
「「……」」
「と、ところでよ、マジで何しに来た」
「視察だ」
「あー、まあ、来たからにはいろいろ見とけ。今日は泊まるとこは」
「子羊館を予約してある」
「試験の時か」
「そうだ、お前あの時はよろしくの一言ですましやがって、小さい子供が茶を売りたいって、どれだけ驚いたと思ってる!受付に洗礼食らって、話さえ通らないところだったんだぞ」
「だって、王都で認めてくれそうなのお前だけだったんだもん」
「だもんって……確かに、東は神経質だし、中央はカッチカチだがな」
「それに、うまく行ったろ?」
「うまく行き過ぎたくらいだったよ。ダン君もすごいが、アーシュ君も驚いた」
「メリルの秘蔵っ子だからな。ホントは外にはまだ出したくなかったんだがな、変なヤツが寄ってきそうでな」
「寄ってきてたぞ?」
「聞いてないぞ!どんなやつだ」
「東門隊長と副隊長だ」
「リカルドとディーエか!あれか、孤高の騎士さまと忠犬か!ああー、トニアとターニャの」
「そうらしいな、まあ、なんとかなったみたいだがな」
「いや、そこんとこ詳しく」
「野郎には、は、な、すことなんてないんじゃなかったのか」
「時と場合による」
「はっ、相変わらずだな」
「まあ、また後で話そうぜ、ほら、迎えが来たぞ」
「グレアムさん、いらっしゃい!」
「泊まりに来たぞ、よろしくな」
「グレアム、とりあえず、明日、子どもたちと一緒に朝練に来い」
「何時だ」
「五時半だ」
「休ませない気か」
「魔術訓練だ」
「!……行く」
「グレアムさん、お元気そう」
「いや、ダン君!案の定、あの後大変だったんだぞ、茶を出せってな」
「すみません、3の月には必ず行きますから」
「ほら、そろそろつきますよ、あれが子羊館です!」
「ずいぶんと、趣のある……」
「古くさいっていっていいですよ、さあ、中にどうぞ。部屋に落ち着いたら、あちこち案内しますから」
「いい部屋だ」
「暖房はこれですから」
「お風呂は自由か」
「お湯も好きなだけ使っていいですよ。石けんをぜひ使ってみてくださいね」
「こちらは……」
「初級者向けの、雑魚寝部屋です」
「こんちはー」
「居心地はどうかね」
「パーティごとだし、寝心地はいいし、なんか隣で話しやすくてこれはこれでスゴクいい。お風呂もイイし、何よりメシがうまい、そんで安い」
「毎度ありがとうございます」
「あと、おかみがかわいい」
「ん?なにか?」
「いやいや、居心地いいっす!」
「あ、そろそろご飯ですね、行きましょうか」
「食堂か」
「どうぞー」
「ん、これはうまい!」
この後、風呂に入る。石けんはいい!あがって食堂でくつろいでいるとお茶も出してくれる。
のんびりしていると、子どもたちが集まってきて、勉強が始まった。学院の予習か。おや、セロ君が先生役か、先生?なぜ入学前なのに、他の子に教えられる?
「ああ、それぞれの担当が決まってて、みんなよりその教科だけはしっかり予習しておくんです。すっごい勉強になります」
なるほど。
ああ、アーシュ君が寝そうだ。
「アーシュは体力がないから。じゃ、寝かせてきます」
宝物のように抱いているな。
では、明日のために私も休もうか。朝ごはんはギルドで?わかった。おやすみ。




