アーシュ8歳収穫月
今日6話目です。
9の月になる前に燕麦も商品化された。オートミールだ。
これは、面倒だったので正直助かった。特許権を言われたが、これは断った。低価格で栄養価の高い穀物は、セロとウィルのようにやせている子どもを減らせると思ったからだ。代わりに割引でかえるようにしてもらった。
そして、9の月、10の月がきた!収穫月だ。
教会の敷地には、なし、ぶどう、リンゴなどの果物が半野生化してなっている。くるみも1本。山にはくりもあった。10の月には、エルダーベリーもなり、夏の間ずっと取れていたブルーベリーの代わりになる。
この頃には街の子の遊び場は、市場から教会に移っていた。山遊びと、収穫だ。好きなだけとっていく代わりに、収穫物の手伝いもさせ(鬼畜)、乾燥させ、大騒ぎだ。魔力は収穫に使うため、アメリアさんに文句も言われたが、保存食は大事よ。
9の月の半ば、
「あのさ」
とダンが言う。
「オリーブの木がたくさんあるぜ?」
「でも、しろうとには手が出ないもん」
「オレに考えがある」
「任せるよー」
「父さん、相談があるんだ」
「なんだね、珍しいな、ダン」
「友達、セロのところ」
「ああ、孤児の子かい」
「オリーブの木があるんだ」
「確かに、以前はかなり収穫してたねえ」
「代わりに収穫してやれないかな」
「さてね、ダンが勉強やる気にさせてくれた子たちだよね」
「うん、がんばってるんだ」
「感謝はしてるよ、でもそこまで親に頼るのはおかしくはないかな?」
「でも、」
「彼らは、大人に頼って生活してるのかい」
「!違う!」
「じゃあ、君にできることはなにかな?」
「……」
「…………」
「オレ、収穫はできないけど、下草は刈れるよ!収穫する準備は、1人でがんばるから、収穫はお願いします!」
「よく言った。1週間、時間をあげるよ」
「うん、ありがとう!」
「……セロくん、ありがとう……」
そこから、ダンはひとりで下草をかった。遊びもしないで、切り傷を作ってもやめなかった。オリーブの木が5本、姿を現したとき、
「やあ、ダン、セロ君、ウィル君、そしてああ君たちがうわさの子羊かい、なんてきれいな子たちなんだ!」
「アーシュとマルだ、父さんのことは気にしないで!」
「ひどいなダン、女性はほめてこそだよ」
「いいから早く!」
ダンの父と男達がやってきて、手際良くオリーブを収穫していった。
「持ち込んだオリーブの3割が手数料だ。オリーブオイル、楽しみに待っててな」
「「「「お願いします」」」」
「……いい子たちだね……」
「ところでこの山、フフ茸が生えるんだよ、知ってた?」
「フフ茸?」
「いい香りのするきのこでね、見つけたら買うから、持ってきてね、私は王都のフフクラブの会員なんだよ」
「フフクラブ?」
「毎年よいフフを持ち寄って品質を競うんだよ、ここのところ負けっぱなしでね」
「じゃあ、オリーブオイルできたらもってくるよ」
「ありがとうございます」




