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この手の中を、守りたい  作者: カヤ
飛び出す子羊編

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アーシュ11歳4の月再びメルシェへ

今日2話目です。

ナッシュでは、クッキーが好評だったので、レーションも一緒に製造するところを委託することにした。というか、5の月まで手に入らないとなったら、暴動が起きそうな勢いだった。ダンはお茶の仕組みをさっさと作り上げると、夏の再会を楽しみにひと足早く王都へと戻っていった。


「君とガガを飲めなくなると、さみしくなるよ」

「5月には戻ってきますよ、そんなにガガが好きですか?」

「パウンドケーキもだけど、魔術師向きの飲み物だとおもうんだよね」

「うーん、子羊亭がここにあったら」

「なんて素晴らしい発想なんだ!お茶販売には影響が出るかもしれないけど、ここでははやるんじゃないかな」

「2号店、いや3号店か……貯金から出資すればあるいは……任せられる店長の確保……」

「アーシュ、もう行くよ、戻ってきて」

「はっ!いけない、それじゃギルド長、また1ヶ月後に!」

「待ってるよ、子羊たち!」


たった2週間しかたっていないのに、もう麦の緑が濃くなっている。ダンは抜けたが、楽しくメルシェまで戻った。


「やあ、戻ってきたね」

「はい、さっそくキッチンを見せてもらえますか?それから人手は集まりましたか?」

「バッチリだよ」

「ではさっそく仕入れをして、あすの朝から朝食とランチを始めますね」

「お試しからこっち、再開をうるさくせっつかれていてね。助かったよ」

「あとこれ、ナッシュで好評だったお菓子なんですが」

「クッキーだね、これは受付の子に試食を頼むかな、おーい」

「なんですか?」

「このクッキーの試食を、あっ、持って行っちゃったよ」


「売り出してください!すぐに!職員のためにも!」

「お、おう、アーシュ君、どうだろう」

「わかりました、明日からお茶販売の時に出しますね」


そして4の月、1日目。


「D級初日、がんばってね」

「手伝えなくて悪いけど、行ってくる!」


セロたちはダンジョンに行った。朝食は遅れながらもしっかり出し、あっという間の完売だった。さて、


「はい、これがお給料」

「わあー、200ギルも!ありがとう!おねえちゃん!」

「これをどうする?」

「んーおやつにする」

「そう、じゃあ、ちょっと考えてみて?」

「何を?」

「今日おやつがまんするでしょ、そしたら明日にお金は?」

「残ってる」

「じゃあ、明日もがまんしたらいくら残る?」

「んー400ギル」

「じゃあね、20日がまんしたら?」

「4000ギル。え!そんなに?大人みたい!」

「使ってもいいのよ。でも、毎日半分貯めておこうか、そしたらお母さんにプレゼントも買えるよ?」

「わかった!半分貯めておく!約束する!」

「そして大事な時に使ってね」

「うん!」


「ああやって貯金する子が育つんですね……」

「セロ君たちは教育されていたというわけか」


雇う人も順調に増え始めたので、少しずつ手を離していく。2週目の終わり、マリアから、


「そろそろいいわよ、ダンジョンいってらっしゃい」


と許可が出た。


「いいの?」

「大丈夫よ、3の月の2週間がしっかりきいてて、みんな使えるわ」


「セロ、ウィル、明日行ける!」

「よし、荷物持ち、お願いします!」

「こちらこそ、お願いします」

「お願いします!」


いよいよ4人でダンジョンだ!

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