見えざる手にて(4)
――どうして?
肉が潰れて、骨が砕けて、何度も何度も血を撒き散らされているのに。
――どうして、どうして?
力も、速度も、手数も、ぶつけ合う物全てが推し負けているのに。
――どうして? どうして! どうしてっ!!
激痛なんて生やさしいと言える痛みを感じているはずなのに、傷だらけで、血まみれで、ギリギリで命を繋げている状況で――
「どうして君は本気で戦わないのっ! どうして君はそんなに落ち着いていられるのっ!?」
「………………」
名無と杏奈、二人が戦い初めてから一体どれだけ時間が過ぎ拳を交えたのか。
杏奈の攻撃は最早速度ではなく攻撃密度といっても良い程の手数になっている。その攻撃が秘める威力は既に『施療光包』の回復速度を無いも同然とする程だ。既に三つの能力に加えて自身のあらゆる駆動を任意で倍速する能力『身駆加速』、一度受けた事のある攻撃に対して耐性得る『一克効覚』。加えて風系統の魔法で自分の周囲の風の流れを読み杏奈の攻撃を先読みし、土魔法で彼女の足場を泥化させ踏ん張りが利かない状況も作り上げている。他にも数個ほど同じような効果を持った異能によって治癒力や肉体そのものを強化しその恩恵を得ているいる名無でも、急所に一撃でも貰ってしまえば命を落としてしまうだろう。
そんな杏奈の攻撃を名無は紙一重で捌き続けている。
繰り出される拳に自分の拳をぶつけ受け止め、時に放たれる拳の側面から腕を添え強引に軌道をずらし、時に敢えて急所では無い箇所で受ける事で次の行動に移る時間を作り出す。
一つ一つの行動全てに死が救いだと言えるほどの痛みと恐怖がのし掛かっている。生きたまま痛みを与えられ、避ける事も出来ず自分の肉体が壊される感触を感じ続け、逃げる事も許されずその場に縫い付けられる拳撃の嵐に身を置くことしか出来ない。
戦いどころか拷問と何ら変わらない劣勢の中で、悲痛な叫声を先にあげたのはこの戦いの勝者と言える杏奈の方だった。
「勝つつもりならやり返してよ、勝つきがないなら諦めてよ!! このまま続けても苦しいのが続くだけだって――それくらい分かってるでしょ!?」
「…………」
「黙ってないで何とか言ってよ、名無君!!」
まるで、泣きじゃくる子供のようだった。
名無を言葉で攻め立て、実力行使で追い詰め、主導権の一切を渡すことの無かった杏奈が。己の優位性が揺らぐ事なく進む戦況でありながら……今にも涙を流してしまいそうな程に後悔に染まりきった表情を浮かべてる。
「君だって死にたくないでしょ! 死ねないでしょ! レラちゃんやティニーちゃんを残して死ぬわけにはいかないでしょ!! 死なない為には私を、あたしを殺すしか無いんだよ!! なのに、なんでっ!?」
戦う事を強要し、戦う事を迫り続けてきたはずの名無に向けてきた杏奈の言葉は自分へ戦意を煽る物言いから頑なに戦おうとしない名無への問いかけへと変わっていた。その事に杏奈は気付いていない、自身が放つ言葉の意味が真逆の物になってしまっている事に気付く事無く声をあげ続ける姿はより痛ましい。
名無の銀の双眸は凄絶な攻防の中でも、そんな杏奈の姿を確かに捉えていた――肩で息を切らし疲弊している事に気付いていない杏奈の姿を。
「もしかしてあたしが二人に手を出さないと思ってる?」
「あたしが名無君を殺さないと思ってる?」
「だとしたら、それは酷い勘違いだよ!」
「殺さなくちゃいけない相手ならあたしは殺せる!」
「殺したくないと思っても、殺せるから! あたし達は、《輪外者》は、そういう風に出来てる、君だってそうでしょ!!」
悲鳴にも聞こえる声で吐き出されるのは紛れもない杏奈の心。
名無と戦う事を望み、手段を選び、殺すか殺されるかで決着を望んでいる。だが同時に戦いで高ぶった精神が、この戦いが彼女にとっても望まぬものだった事も曝け出させていた。
「これだけ言っても戦う気が、無いなら。君を殺して、あたしが、私の方が強かったって……もう一度、もう一度あの男に――この力でこの生き地獄を、この手で終わらせてみせ――」
悲哀、後悔、憎悪……言葉で吐き出すだけでは足りない負の感情が杏奈の双眸から涙となって溢れ、悲壮な決意が渾身の右の一撃となって放たれる。
「ああ、終わりだ。俺と貴女の戦いも」
「――――っ!」
一人の少女の胸に納まりきることの無い激情が込められた一撃は、全身を朱に染めた名無に苦も無く止められた。それも尤も威力が乗る腕が伸びきる直前で。
「な……なんで、さっきまで全然……」
「俺が知る普段の貴女だったならこんなミスはしなかっただろう、これだけの戦闘能力。それを維持するのはたとえ輪外者だろうと体力が保たないことくらい分かっていたはずだ」
「っ!?」
名無の言葉を聞いて漸く自分が犯した失態に気付く杏奈。
名無の息の根を止めようと放った最後の一撃。振りは大きかったものの既に体力が底を尽いた身体では今に至るまでに繰り出されていた脅威でしかない攻撃とは比べるまでも無く脆弱、今も数多くの異能を発動させている名無が相手では脅威は無いに等しいものとなっていた。
杏奈の体力切れは息を切らしていた時点で始まっており、たった数分前とはいえそれまでは名無に取っても気が遠くなるような時間だった。その時間を只管に耐え、堪え、粘り続けた事で掴み取ることが出来た辛勝。
「圧倒的な戦闘能力ばかりに目がいくかも知れないが俺達輪外者の能力は強力であれば強力である程、優れていれば優れている程に制限が存在する。杏奈さんの能力の詳細は完全に理解できたとは言わないが、身体能力が上がればソレに比例するように体力の消耗は避けられない」
名無の『虐殺継承』も圧倒的な力を実現する事が出来、身体能力が上がることで体力の消耗も大きい。しかし、『虐殺継承』は相手の全ての力を奪う。その中には奪われた物が積み重ねてきた力を十全に扱えるよう培われた体力も含まれる。
絶大な身体能力を得られる点は名無も杏奈も同じだが、たった一人分の体力しかない杏奈と数万を優に超える鍛え上げられた者達の体力となれば軍配がどちらに上がるかなど分かりきった事だった。とは言え、名無が『虐殺継承』を発動している自分を超える杏奈の動きについていけなくなった瞬間に死という形で敗北していた事も充分にあり得た。
名無が勝てたのは奪い積み重ねてきた力の優位性とくぐり抜けてきた数多の死線によって得られた経験から導き出した防戦に徹するという判断によるもの。
杏奈の激情を冷たく観察したわけでも自分の命を軽んじているわけでも無く、この場を自分の勝利で収めるか。その為に名無は杏奈の攻撃を防ぎどれだけ持ちこたえられるかを冷静に読み切ったのだ。僅かでも判断を間違えていれば勝敗の天秤は杏奈に傾いていただろう、それだけ杏奈との戦闘は熾烈を極めるものだった。
「能力の発動が解けきらない所を見るにまだ動けるだろうが……決着は着いた、能力を解いてミドさん達の所へ向かおう」
体力が切れた事で杏奈の戦闘能力は一気に低下、まだ能力そのもので強化できたとしても動きが元に戻ることは無い。むしろ悪化の一途を辿り名無に勝つなど無理筋となる、それが分かっていても――
「まだ、まだ負けてないから!!」
彼女が矛を収める理由にはならない。
杏奈は震える両足で地面を踏みしめ左の正拳を名無の顔面へ向かって打ち込む、打ち出された拳は名無の顔面へ確かに命中した。だが、その一撃に脅威の二文字は無く、威力も速度も見る影も無い物だった。
名無の顔面――額へ打ち込まれた一撃に対して名無は眉一つ動かさず、何一つ表情を変えず受け止めていた。それは避けられなかったからでは無く、避ける必要も無いほどに弱体化した一撃である事が分かっていたからである。
進退窮まる杏奈を見つめる名無の銀の双眸には、今さっき殺し合いに身を投じていたとは思えないほどに穏やかで気遣いの色が浮かんでいた。だからこそ、その銀の瞳を向けられているという現実が杏奈には耐えられない。
名無と同じ銀の瞳を輝かせてはいても杏奈の身体を包んでいた銀の光は見る影も無く消えて、それでも杏奈は出来る限りの力で手を握りしめ二つの拳で名無の顔を殴り続ける。
息をするだけでも苦しくとも、握りしめた拳が今にも解けてしまいそうでも、震える足が地に膝をつきたがっていても……戦う力が残っていない事を理解して流れ落ちる涙を懸命に堪えながら。
「まだ戦える、まだ動ける、まだ死んでない!! まだ、まだ……あたしは戦え……戦わなきゃ、ミドが、皆が…………もう、何も、また失いたくない、のに」
力なく叩き付けていた拳は次第に名無に届くこと無く空を切り始め、膝を折るまいと力が込められていた脚は杏奈の意思に反し地面に引き寄せられていく。杏奈がどれだけ両手を突き出しても、どれだけ身体を支えようとしても、どれだけ戦う意思を見せても、心ではなく彼女自身の肉体が限界であると弱音を溢す。
「まだ……まだ、まだ……あた、しは……っ……」
そして敗北という現実は上がる息、手足に感じる土の感触、涙に遮られる視界によって、優しく非情に杏奈に突きつけられた。
「……うぅ……っく、……はっ……ぁ……」
「…………」
受けるべき拳は受けた、受け止めるべき信条も最後まで聞き届けた、交わすべき言葉は既に無い。名無に出来る事はただ静かに嗚咽を溢す杏奈を見守る事だけ、それが彼女が涙が止まるまでなのか、再び立ち上がる気力を取り戻すまでのなのか……その答えが分からないままに。
「――やはりナナキ君の勝利で終わったか」
勝者と敗者が行き場の無い決着に身を委ねるしかなかった中で、救いとも罰とも取れる声が痛ましい静寂に波紋を立てる。
「ミー……く、ん……ごめ……あた、あたし……」
「何も言わなくて良い、謝る必要も無い、今は泣く事だけ考えろ。すまない、アンナ……お前一人に重荷を背負わせてしまって」
「ミー君……ミー君、うぅ……――うあぁぁぁぁっ!!」
名無を警戒する事なく杏奈に歩み寄り優しく抱きしめるミド。胸元に抱き寄せられ耳に伝わるミドの鼓動と掛けられた言葉に残っていた戦意は完全に砕け、止めどなく流れ出る杏奈の大粒の涙がミドの胸元を濡らす。
「――ナナキさんっ!?」
杏奈の悲痛な叫声が小さく響く中で、もう一人の焦りに満ちた悲鳴が上がる。
「レラ、君も一緒に来て――」
「大丈夫ですか、ナナキさん!? ああ、ああっ! こんなに血が……服も、はや、早く傷の手当てをしないと!!」
杏奈と同じく悲しみと痛みが篭もる声を上げたのはレラだった。
彼女の眼に映る名無の姿は頭から爪の先まで赤一色と断言しても良い程に血で染まり、身に付けている漆黒のロングコートにインナーやパンツもボロボロ。『施療光包』によって大体の傷は塞がり、失った血液もレラの蘇生の際に使った『造血促進』で血液の補填も終え命の危機は脱している。が、剥き出しとなっている肌が血肉に見間違えるほどに血に濡れてしまっている。
遠目からでも全身が血だらけ、そんな名無を目の前にしてレラが冷静さを失い声を上げてしまっても誰も責める事はしないだろう。
「大丈夫だ、落ち着いてくれ」
名無は自分の血にまみれた姿を見て落ち着きを失っているレラの肩に両手を置いた。服が血で汚れてしまう事が頭の中をよぎったが、今はレラの心を落ち着かせ自分の状態を正しく理解して貰う事を最優先にとレラに語りかける名無。
「攻撃を受けすぎて全身血だらけではあるが傷は全て治した、分かりづらいだろうが出血も無い。命に別状は無い状態だ……安心してくれ、レラ」
「ほ、本当ですか? 私を心配させない為に、隠してたりしませんか? 辛いのを我慢してませんか?」
「ああ」
説得と言うのもおかしいが今の名無の格好では何を言ってもレラを安心させることは出来ないだろう、語れば語るほど彼女に無理をしていると勘違いさせてしまうに違いない。レラが抱く不安全てを拭い去ることは出来ないだろうが、潤み視線が揺れるレラの瞳をしっかりと捉え押し問答にならないよう一言だけ返す名無。
「……良かった、です」
しかし、たった一言だけの返事は思いのほか効果はあった。
手当の必要も命の危険も無いと分かりレラの表情から曇りは消えないながらも、力が入っていた肩は深い吐息と共に下がり目尻から涙が零れた。名無の治療しなければと気を張り堪えていた涙が零れた事で、レラが一応の安心に胸をなで下ろしたことが分かる。
「ミドさんと一緒に来たという事は状況は分かっているのか?」
「はい、ナナキさんとアンナさんが戦っていたのも。その理由もミドさんから話してもらいました」
「ティニーは?」
「ティニーちゃんも無事です、今はリンカさんが眠っているティニーちゃんに着いてくれています」
「そうか……」
杏奈との戦いの最中、彼女が不利な状況に陥れば援護が入るかも知れないと考えていたがそれは無かった。レラとティニーが別行動を取ってしまっているとは言え、杏奈が不利な状況になっても人質として利用してこなかった事から本当に自分と杏奈だけの戦いだったようだ。
(……レラの首元にマクスウェルの姿は無い、今はティニーの所か。何かあれば対輪外者武器の刀身が構築される、それが無いと言う事はティニーも安全だと判断しても問題ないか)
自分の事を《輪外者》と知っている以上、マクスウェルの事も気付いているはずだが電子機器に対する妨害工作も無いのだろう。この世界で精密機器に干渉してくる物が存在しているとは思えないが、少なくともそう言った干渉による異常を感じればマクスウェルが何かしろ対処に動く。それが無いと言う事はミドや燐火達も杏奈と同じように、今の状況を快く思っていないに違いない。
レラの話からしてもミドが杏奈のように戦った理由をはぐらかすような真似も、レラやティニーに危害を加えることも一際せず、真摯に対応してくれたようだ。
(何故杏奈さんが戦いを仕掛けてきたのか確認する必要がある。ミドさん達と戦う事はなさそうだが、俺達が此処にいる限り何度も繰り返されてしまう可能性もある……大本を断つしか無いな)
落ち着きを取り戻したレラの肩から手を離し、まだ泣き止む様子の無い杏奈を優しく抱きしめ言葉を掛け続けるミドに視線を向ける名無。その視線に気付いたミドは名無の意図を汲むように小さく頷く。
「先に部屋に戻っていてくれ、アンナを落ち着かせたら直ぐに向かう。それまではレラさんから話を聞いておいてくれ、大まかにだが彼女にもある程度の事は話してある」
「分かった、話し合いに応じてくれるなら問題ない」
「助かる……念の為に伝えておくが俺達に戦う意思はない。杏奈が敗北した以上、他の誰も君に勝てない事がはっきりしたからな」
自分の腕の中で胸に顔を埋め嗚咽を上げ続ける杏奈の背を優しく撫で、時には叩いて彼女の涙を受け止める事に専念するミド。今此処で話を聞く事が出来ない事は予想するまでも無く分かりきっていた事だ、名無は食い下がる事はせず杏奈とミドに背を向け自室へと向かう。
「レラ、ティニーの元に戻るまでに話せる事はあるか? ミドさん達が戻ってくるまでに考えを纏めておきたいんだが」
「…………っ」
「レラ?」
自室にはティニーと一緒に燐火がいる、燐火とも戦う事は無いと思うが落ち着いて話が出来るかは別の話だ。杏奈の様子からして立ち直るには時間が掛かるはず、自室に向かうまでの時間をそのまま情報共有に使うためにも歩く速度は不自然にならない程度に抑える。部屋に戻るまでに少しでもレラがミドから得た情報を整理して、冷静に対話が出来る様にしておきたい。
そう思っていた名無だったが、名無の言葉に脚を止める事は無かったがレラは顔を俯かせ唇を噛みしめる。レラの華奢な肩が更に小さくなる様に名無は自分の失言を悟った。
「……すまない、配慮が足りなかった」
ミドが普段と変わらず冷静な態度を見せ、杏奈を気遣う姿からレラの負担になりすぎるような話はされていないと勝手に判断してしまっていた。杏奈との戦いで幾ばくか冷静さを取り戻せていたと思っていたが、冷静だったのは戦闘に対してだけだったらしい。
危害を加えられなかったとは言っても、急転した状況に身を置いていたのはレラも同じだったと言うのに。その事に思い当たらない辺り、まだ落ち着いていないのは自分の方だったようだ。
「ミドさん達から聞く事になるのは変わらない、無理に話す必要は――」
「は……肌に触れて確かめた訳じゃないので、本当の事なのかどうか分からないです。でも、ミドさんが嘘を……ついてるとは思えなくて……」
「……彼は何って言っていたんだ?」
「ナ、ナナキさん……が……アンナさんと戦って勝つのは分かってたって……ナナキさんが勝ったら、勝ったら――」
レラが知ったミド達の結末、名無が勝った事で確定してしまった行く末は残酷だ……そんな未来を決定づけたのが名無であると言えるはずも無い。
レラで無くとも何も知らない相手に『お前のせいで多くの命が失われる』などと言える者は多くないだろう。時には躊躇わず事実を教える事が救いになる事もあるが……名無の場合、どちらになるかと考えるまでもなく想像が付いてしまう。
何も知らなかったからでは許されないと、奪ってしまった事に変わりはないと、何でも無いと言うように表情を繕い誰よりも自分を責める姿がありありとレラの脳内に浮かび上がった。
そのせいで名無に掛ける言葉は辿々しく、視線は泳ぎ、唇は震え、蒼い肌はより青さを増す。伝えなくてはならないという焦りがレラの口元を強ばらせていく……だからこそ名無はレラに手を差し伸べた。
「俺は大丈夫だ、レラ――何も心配いらない」
胸の内をいたたまれない不安と悲しみで満たしながら、それでも気丈な笑みを浮かべて。
「…………っ」
それはレラが頭の中に思い描いた想像と微塵も変わらない優しい笑み。
誰かの為に見せるのでは無く、自分の為だと言い聞かせて浮かべる沈痛な微笑。その余りにも痛々しい笑みに引きつけられ、差し出された名無の手をとるレラ。肌を通してレラの中に流れ込んで来る色は強く深い藍色の感情。
しかし、
「選ぶ事の意味は、決断の責任は……よく分かっている」
悲しみに満ちあふれた心色が色濃く出ていても。
その藍色に澱みはなく『後悔』と『絶望』を表す黒色だけは、宛がわれた部屋に戻るまで離れることの無かった手から最後まで見えることは無かったのである。
今年最後の更新です!
少しでも楽しんで頂けたら幸いです、良かったら感想や評価など頂けたらありがたいです(´д`)




