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守銭奴無自覚ブラコン妹と盲目ヤンデレいじめっ子皇女に好かれる極悪中ボスの話  作者: 溝上 良
第3章 

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52/52

第52話 お前、弱いぞ

過去作『自分を押し売りしてきた奴隷ちゃんがドラゴンをワンパンしてた』のコミカライズ第1巻が2/14に発売されます。

表紙も公開されていますので、ぜひご確認ください!

https://www.amazon.co.jp/%E8%87%AA%E5%88%86%E3%82%92%E6%8A%BC%E3%81%97%E5%A3%B2%E3%82%8A%E3%81%97%E3%81%A6%E3%81%8D%E3%81%9F%E5%A5%B4%E9%9A%B7%E3%81%A1%E3%82%83%E3%82%93%E3%81%8C%E3%83%89%E3%83%A9%E3%82%B4%E3%83%B3%E3%82%92%E3%83%AF%E3%83%B3%E3%83%91%E3%83%B3%E3%81%97%E3%81%A6%E3%81%9F-%E6%88%AF%E7%94%BB%E7%89%88-1%E5%B7%BB-%E3%83%9E%E3%83%83%E3%82%B0%E3%82%AC%E3%83%BC%E3%83%87%E3%83%B3%E3%82%B3%E3%83%9F%E3%83%83%E3%82%AF%E3%82%B9Beats%E3%82%B7%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%82%BA-%E6%BA%9D%E4%B8%8A%E8%89%AF-ebook/dp/B0GHXL4ZMB

 










 フロウは、革命軍実行部隊のリーダーとして、今まで数多くの修羅場を潜り抜けてきた。

 この世界でも若者と評される年齢ではあるが、それ以上の経験を積んできている。

 それは、間違いなくフロウの実力を作る大きな糧となっていた。

 そして、そういう経験を積んできたからこそ、相手の力量を見定める能力も上がった。


「これほどの威圧感……! 本当に、ただの貴族なのか……?」


 襲い来る重圧。

 無理やり跪かせ、首を垂れることを強要してくる威圧感。

 それが、ディオニソスから放たれていた。

 冷や汗を流しながらもそれに抗うことができているのは、フロウが卓越した戦士であるからだ。

 一緒に行動を起こしている他の実行部隊ならば、すでに跪いていたことだろう。

 そんな彼を、ポカンとした表情で見るディオニソス。


「え、なに威圧感って……。別にそんなの出しているつもりないんだけど……。お前らみたいにちょっと戦える奴らって、何でそんな目に見えないことを強調するんだよ……。ちょっと恥ずかしくないの?」


 威圧感とかさっぱり分からん。

 そもそも、こういう戦闘において、他人に気圧されたことすらないディオニソス。

 オーラとか、威圧感とか、重圧とか、まったく理解できないレベルの話であった。


「ほら、さっさとかかってこいよ。お前を殺して、後はもう帰るわ」

「殿下はどうしますの?」

「置いていく」

「グッジョブですわ!」


 グッとお互いに親指を立て合う二人の兄妹。

 自分から目を逸らし、あまつさえ背中さえ向けている。


「今!」


 その隙を逃さず、フロウは襲い掛かった。

 卑怯、なんて考えはない。

 勝った奴が正しい。卑怯などという言葉は、負け犬の遠吠えに過ぎない。

 革命軍として、国軍や貴族と相対し戦っているフロウにとっては、当たり前の行動であった。

 実行部隊のリーダーを任されるだけあって、その動きは素早く、剣は確実にディオニソスに届く……はずだった。


「不意打ち狙うのは良いと思うぞ。ただ、声出すなよ……。せっかくの奇襲が意味を成していないぞ」

「っ!?」


 呆れたようにこちらを見るディオニソス。

 フロウが振り下ろした剣は、あっさりと受け止められていた。

 それだけなら理解できるが、驚くべきことは、全力で力を込めても微塵も動かないことである。

 両手で剣を握り、上から思いきり力を込めている。

 一方で、ディオニソスは片手で剣を握り、下から受け止めている。

 だというのに、少しも押すことができなかった。

 直後、フロウのわき腹に鋭く蹴りが飛んでくる。


「ぐっ!?」


 腕を盾にしたが、ミシミシと骨がきしむ嫌な音が響く。

 その勢いのまま地面を転がされ、距離が離れた。


「そら。何寝てんだよ。戦ってんだから、さっさと起きて構えろよ」

「ッ!?」


 ニヤニヤと嗜虐的に笑うディオニソスが見下ろしてきていた。

 その姿にゾッと背筋を凍り付かせる。

 素早く地面を転がると、顔があった場所を強烈に踏みつけていた。

 顔が砕けていたのではないかと思うほどの威力。

 人間の頭部をそんな気安く攻撃することができるのかと、フロウは戦慄する。


「おいおい、さっきから逃げてばかりじゃねえか。俺を殺すんだろ? ほら、さっさと攻撃してこいよ。いつまで経っても殺せねえぞ?」

「うわぁ、すっごい生き生きしていますわぁ。命の取り合いの何がそんなに楽しいのでしょうか? わたくしにはさっぱり分からない世界ですわ……」

「お前の狂気的な金好きも理解できないし、お互い様だろ。あと、俺は別に命の取り合いが好きなんじゃない。弱い者いじめが好きなんだ」


 そっちの方が問題だろ、とダイアナは思ったが言わなかった。

 せっかく兄が投資しているお金を自由に勘定してゲヘゲヘできるのに、それを禁止されかねないからである。

 そんな兄妹の会話を聞いていたフロウにとって、聞き捨てならない言葉があった。


「弱い者、だと……?」

「んあ? そこが気にかかるのか? なんだよ、自覚がなかったのかよ。自分で分からないなら、他人に言ってもらって理解するしかねえよな? 俺はそこまでしてやる必要はまったくないが、仕方なしに教えてやるよ」


 ニヤニヤと、嫌な笑みを浮かべるディオニソス。

 悪辣な性格、原作で主人公と敵対するにふさわしい、厭らしい笑顔だった。


「お前、弱いぞ」

「――――――舐めるな、ディオニソス! 僕はまだ、本当の力すら見せていない!」


 爆発的に殺意が溢れ出す。

 自分のやっていることに正義を感じているフロウは、それを為す自分の力にも誇りを持っている。

 それを踏みにじられ、見下され、弱いと断言されることを受け入れることは、到底できなかった。

 実際、フロウには特別な力がある。

 これがあるからこそ、革命軍の中でも名が通っているところもある。

 そして、その力はまだディオニソスには披露していない。

 それを使えば、あのふざけた笑顔もこわばらせることができるだろう。

 その力を使おうと魔力を高めた時……。


「バカ」


 心底見下した、嘲りの笑みを浮かべたディオニソスが、眼前に現れていた。

 ギョッとして逃げようとするも、とっくに遅かった。


「弱い奴が力の出し惜しみなんてするなよ。本気を出す前に殺されたら、意味ねえだろうが」

「がはっ!?」


 とっさに剣で防ぐが、その斬撃は自分のものと比べるとあまりにも重たかった。

 踏ん張ることすらできず、弾き飛ばされて壁に激突する。

 息が詰まり、立ち上がることもできずにズルズルと座り込んでしまった。

 革命軍実行部隊のリーダーが、明確に殺戮皇ディオニソスに敗北した瞬間であった。


『……中ボス悪役キャラとは思えないほどの力だよねぇ。格好よくて好き』

「キモイ」



過去作のコミカライズ最新話が公開されました。

期間限定公開となります。

下記のURLや書影から飛べるので、ぜひご覧ください。


『偽・聖剣物語 ~幼なじみの聖女を売ったら道連れにされた~』第42話前編

https://manga.nicovideo.jp/watch/mg1000909

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― 新着の感想 ―
そのうち両手で剣持ったほうが強いらしいぞとか言い出しそう
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