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守銭奴無自覚ブラコン妹と盲目ヤンデレいじめっ子皇女に好かれる極悪中ボスの話  作者: 溝上 良
第2章

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第28話 そういうことだ

 










 悪人面の老若男女がしゅんと落ち込んでいる。

 なんだこいつら……気持ち悪い……。


「……という感じでもいいんだが、まあせっかく王都に来たし、適当に遊んで来いよ」

「さすが閣下! 好き!」


 一転して上機嫌になる私兵たち。

 きも、死ね。


 こいつらに好かれても何も嬉しくないじゃん。


「ただ、俺の顔に泥塗ったら殺すから」


 俺がそう言うと、目を丸くする私兵たち。

 顔を見合わせて、次に俺に視線を向けた。


「悪逆非道なことをして、めちゃくちゃやればいいってことっすね!」

「そういうことだ。じゃ、解散」

「「「うおおおおおおおおおおおおおお!!」」」


 シュバッと一気に王都中に散っていくゴミカスども。

 うわぁ……王都の連中が気の毒になるわ……。


 本当、あいつら金に物を言わせて好き勝手するだろうし。


『何がそういうこと!? 普通、そういうところはメンツのために問題を起こすな、とか言うんじゃないの!?』


 プレイヤーがとんでもなく的外れなことを言うので、思わず鼻で笑ってしまう。

 バカ、舐められるだろ。


『いや、君の評判がどんどん悪くなるじゃん! あの人たち、そういうこと全然気にしないで本当に好き勝手やるよね!?』


 ここまで的外れなことを連続して言われると、なんだか疲れてしまうな……。

 いいか、プレイヤー。よく聞け。


 俺、もともと評判悪いから。


『あっ……』


 何かを察したように黙り込むプレイヤー。

 その反応は、それはそれでむかつくな。


「さてと……俺も謁見まで暇だしなあ……」

『明日だっけ? 時間かかるんだね』


 馬車の中という地獄を潜り抜けて、身体が色々と強張っていた。

 背伸びをしながらプレイヤーに応える。


「そりゃ、ほとんど力のない王族といえど立場は重たいからな。事前に連絡が行っているとはいえ、時間は必要だろ。しかも、謁見する奴俺だし」

『ああ……』


 要は、王族側も俺を警戒して警護の数や体制を整えているということだ。

 大変だよな。じゃあ俺を呼ぶなって話だが。


 俺も行きたくない。パトリシア以外の王族も来てほしくない。

 これ、完全に意見が一致しているよな? なんで行くことになってんだよ。


 パトリシアから俺を連れて行くと言われた時に、ちゃんと断れよ、他の王族。バカか?

 ……まあ、ホーエンガンプ家って貴族の中でも最高クラスに力を持っているから、むげにできないと思ったのだろうが。


 しかし、オオトリやニックのように、王族どころか貴族でもないくせに俺に舐めた態度をとる奴らもいるから、世の中って不思議だよな。

 まあ、あいつらは単純に自分の仕出かしたことの重さを理解していないだけだろうが。


 それはそうと、プレイヤーのその反応はむかつくな。


『でも、どうするの?』

「楽しみ方なんて色々あるだろ。美味い飯を食ってもいいし、高い酒を浴びるほど飲んでもいいし……」

『王族と謁見する前日に酒を浴びるほど飲むのはどうなの……?』


 別にどうでもいいだろ。大した話なんてしねえんだし。


「あと、目についた奴適当にいたぶって殺してもいい」

『いいわけないじゃん!!』


 王都を歩いている市民を見る。

 パトリシアのメンツをつぶせそうだが、それ以上の報復をされそうでいやだな……。


 となると、できることなんて限られる。


「んー……まあ、暇だしあそこ行くかあ」

『あそこ? それって?』


 不思議そうな声を発するプレイヤーに、答えてやる。


「娼館」










 ◆



「ねえ、知ってる? 今、この王都にあのディオニソス・ホーエンガンプが来ているって」


 王都を歩きながら、一緒に歩く男に対して女が声をかける。

 それを聞いて、男は目を丸くする。


「あの悪名高いホーエンガンプ家の嫡男が!? 何でここに……」

「さあ。地方で暴れていた賊を倒したからって聞いたけど……」

「自分から褒美をもらいに来たのか? とんでもなくがめつい奴だな」


 嘲笑する男。

 無論、そんなことができるのは、自分が絶対に安全だと心の底から信じているからである。


 何せ、ここは王都。

 ホーエンガンプ領ではなく、ディオニソスの権力が及ぶところではないからである。


 安全圏からなら、誰でも文句は言える。

 彼らは、今まさにそれをしていた。


「ちょっと、止めてよね。聞かれたら、私たちもどんなことされるか分からないし」

「ははっ。ここはホーエンガンプ領じゃなくて王都だぜ? 心配する必要なんて……」


 鼻で笑いながら、男がそうなだめようとした時だった。


「そうか? たまたま聞いちゃうホーエンガンプ家の私兵もいるかもしれねえぜ?」


 がっしりと男の肩を掴むのは、屈強な肉体を持つ悪人面であった。

 すなわち、ディオニソスの私兵である。


 王都を満喫しているときに聞こえてきた悪評に、首を突っ込んだのだ。

 そして、王都で遊ぶ際にディオニソスから言われているのは、舐められないこと。


 今、まさに目の前のカップルは、ディオニソスを舐めたのである。

 だとすれば、許すわけにはいかない。


 というか、見逃したら自分がディオニソスに殺される。


「あ、ああ……」


 絶望しているカップル。

 そんな彼らを多少脅しつけようとして……。


「何をしている?」

「き、騎士様!」

「あー?」


 私兵が振り返ろうとした直後、すでにその騎士は彼に迫っていて……。




過去作のコミカライズ最新話が公開されました。

期間限定公開となります。

下記のURLや書影から飛べるので、ぜひご覧ください。


『人類裏切ったら幼なじみの勇者にぶっ殺された』第6話

https://kimicomi.com/series/eb41931417e85/

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