公国よりの入植者たち
ホルス視点のお話です。
俺は、アークトゥルス公国の辺境の村で農家として暮らしていた。
しかし、軍備拡充のために税金が跳ね上がり俺たちの作った作物をほぼすべて納めなければいけない状態に陥った。
このままでは、家族みんなで死ぬしかない。
俺は住んでいた村や農地を捨て、家族と共に逃げ出すことにした。
そのような境遇の仲間が集まり、俺を中心とする盗賊団が結成された。
狙うのは、王国と公国を行き来する商人たち。
商人たちも冒険者や傭兵を護衛に雇い、自衛手段を持ち商売をしている。
身内である女子供を利用し商人たちを嵌め、略奪した事もある。
正面からぶつかり犠牲を払いながらも盗賊行為を行う事もあった。
俺たちの正体がバレないように皆殺しにして、すべて荷を奪っていた。
ある日、男と女だけの傭兵らしき二人組が縄張りとしている地域でキャンプをした。
装備を見るだけでも金を持ってそうな二人組。
細心の注意を払い、襲撃するはずだった。
だが、その動きはバレていた。
二人は、俺たちが襲撃する直前に声を掛けてきた。
襲撃がバレていることに俺は焦りを感じたが、相手は二人全員で囲み襲い掛かれば殺れるはずだ。
ただの剣士に見えた二刀を携えた男が巨大なファイヤーボールを空に向かって放つ。
これは、まずい・・・
全滅の可能性さえあるだろう。
仲間の中には、それを見て腰を抜かすものまでいたのだった。
奴は俺たちの家族も呼んで、飯を食わせるという。
その言葉に大人しく従うと、奴は本当に俺たちに腹いっぱいの飯を食べさせてくれた。
奴は公国軍の兵士として志願すると言い、ついて行く者たちがいるかを募った。
仲間の一部が彼について行くことになり、俺はどうするのかを問いかけてきた。
俺としては、お尋ね者になり死ぬ未来しかない生き方を変えたい。
彼はその選択を俺に与えた。
公国を捨て、別の国での生活を保障するというのだ。
彼は公国軍に志願しない人間を集め、魔法を唱えた。
そこは、立派な城壁がある都市だった。
門番に誰かを呼ぶように伝え、女性が二人やってくる。
後は任せたとだけ言って、彼は魔法でまた消えたのだった。
そこでマリアという補佐官より、ここはローゼライト国の城塞都市ワッカで領主がヤマト・フォン・アマツ公爵だと教えられる。
一瞬で他国に連れて来た彼は何者?と思いつつも女性からの説明を聞くことに。
入植希望者用の住宅がこの都市にはあり、農地も貸与される。
税金と一定額のお金を納めれば、その農地は自分たちの物となる事。
当面の生活を貸与してくれる事。
収穫出来たときにその作物を売り、税金と借りた金の返済だけでも構わないとの事だった。
あてがわれた住宅は、公国時代に住んでいた家より上等なものであり快適だった。
農地も公国の痩せた大地と違い、素晴らしいものだった。
税金も安くまさに天国にも思えた。
俺たちは新天地に骨を埋める覚悟も出来た。
家族の笑顔が見られるようにもなり、良い事尽くめでここに連れてきてくれたヴァイスに感謝するのであった。
彼に再び会う事が出来たなら、礼を言っても足りないが礼を言おうと誓うのだった。
ヴァイスに救われたホルス。彼は、ローゼライト国に骨を埋める覚悟で来たのです。故郷を捨て、後悔のない人生が歩めそうです。誤字脱字等があれば、報告お願いします。感想や評価も良ければ、お願いします。




