ヤマト北へ
新章開始しました。ヤマトは、ローゼライト国を旅立ちます。
いよいよ準備が整い、クーク山を越えノルマンド大河を眼前に眺める。
この大河は、向こう岸が見えないほどの川幅があり横断するとなると苦労するだろう。
商人や人が移動するために渡航船が運行されている。
ヤマトとサマルフィは、渡航する人たちと共にアークトゥルス王国へと渡る。
目指すは、首都であるメトカーナである。
渡航した場所から、徒歩で進むとなると10日くらいの場所である。
メトカーナまで向かう場所も出ていたが、調査を兼ねているため徒歩で向かう。
途中の村や町でいろいろな噂を仕入れ、首都での行動方針を固めるためだ。
首都へ向かう道は、整備されているというほどではなくある程度場所が安全に移動出来ればいいといった道であった。
邪神が封印されているだけに大地に生えている草にも力がないのが感じられるようだ。
今日は、近くにある村で泊めてくれる場所を探す。
通常であれば馬車が通り過ぎてしまう村であるため、宿泊施設などはなかった。
住人は、やせ細って傍から見ても明らかに栄養が足りないようだ。
「こりゃ、村の外で野宿するしかないのか?」
「主さまよ、野宿はイヤなのじゃ・・・」
サマルフィが我儘を言い、ヤマトは村長の家に宿泊の交渉のために向かった。
「すみません。旅の傭兵ヴァイスと言う者です。こちらは、相棒のサマルフィ。出来れば、一泊泊めていただきたいのですが?」
「お泊めするのは構わぬ。しかし、食事を出してあげることは出来ない。この村は、食べるだけでギリギリなのだ。」
「ええ。構いませんよ。では、こちらを泊めていただくお礼と言う事でお渡しします。」
ヤマトは、宿泊のお礼に自分のマジックバックより大量の肉と野菜を取り出す。
「これだけあれば、村人にも少し分け与える事もできるでしょう。俺は、今使う予定もないしまだかなりの量を持ってますので差し上げます。」
村長は、涙ながらに礼を言う。
そして、今の村の窮乏の原因が首都で軍備を整えるために臨時の税徴収が行われた事によるものであるのを教えてくれた。
ただでさえ作物が育ちにくい土地であり今までもギリギリの生活をしていた中での増税であった。
首都近郊では、異世界から召喚された農業従事者たちが一定の成果をあげてはいるのだが首都からかなり距離のあるこの村ではその恩恵に預かれていない。
ヤマトは、何故この村から出て他国や首都近郊に移り住まないかを尋ねた。
公国では、大量の人間が動く場合軍隊が動き静止を聞かなかった場合実力行使もありえる。よくて、奴隷落ちだという。
村人は、生まれた村に縛られてしまっているのだ。
才能があり貴族たちの目に留まる事があれば、この生活を脱する事もできるようだが基本的に皆無であるというのだ。
ヤマトは宿泊代の食料とは別に大きな鍋を使用し、大規模な炊き出しを村長宅の前で行った。
村民全員に行きわたるくらいの量を調理し、偽善ではあるだろうが少しでもお腹を満たすようにした。
赤ん坊のいる母親には、ヤギのミルクを分け与えてそれを薄めて与えるように伝えた。
翌日、ヤマトたちは大勢の笑顔の村人に見送られながら村を後にした。
『思ったより、この国は貧窮しているようだ。王国襲撃の背景は、こういう一因もありそうだな。』
ヤマトは、次の街へ向かい歩き始めるのだった。
アークトゥルス公国に渡ったヤマト。この国の村の惨状に驚き、偽善的な行動に出ます。首都に行くまでにどんな事が起きるのでしょう。誤字脱字等があれば、報告お願いします。




