13話 敗戦処理。
13話 敗戦処理。
「……光栄だね」
短く返しながらも、
センキーは、視線を逸らさない。
そこで、バーチャは、両手をセンに向けて構え直した。
両掌の中で振動するオメガバスティオンが、さらに密度を増し、
空間が、悲鳴を上げるように歪む。
「最後だ。もうこれ以上の小細工は一切無しで、お互いの全部をぶつけあって……雌雄を決しよう。無駄に泥試合を重ねるよりも、そっちの方が美しいだろう?」
その言葉は、宣戦布告であり、終幕を求める真摯な合図。
「美しいかどうかはどうでもいいが……現状、そっちの方が、まだ可能性がありそうなんだよなぁ。このまま泥試合を続けても、こっちの方が先に折れそうだから……はぁ……」
ため息交じりにそう呟いてから、
センキーは、両手をバーチャに向ける。
体内の魔力とオーラを、限界まで引き上げる。
無理矢理、底上げする。
精神の摩耗など構っていられない。
「くそったれが……」
吐き捨てながら、
その身を包む気配が、一段階、凶悪さを増した。
センキーは、グっと腹の下に力を込めて、
「……ゾディアック・オメガバスティオン」
低い呟きと同時に、
両手に集まる魔力の質が、はっきりと変質した。
膨れ上がるでも、輝くでもない。
ただ、異能として成立していたものが、触れただけで不安定になる感覚。
世界が沈むわけではない。
空間が歪むわけでもない。
両手が、異能を否定するための器に変わった。
――センキーもゾディアック・オメガバスティオンを使ったのを見て、バーチャは、
「おっ、上手く使えているじゃないか。どういう性質の技か、理解しているか?」
「照射にオメガバスティオンを乗せる技だろ。……感覚的には、フルドームで使うのと大差ねぇ。アルカナムよりは簡単だ。できればフルドライブを使いたいんだが……因子がたりないのよねぇ……」
軽口を叩きながらも、
センキーの意識は両手の感覚に張り付いている。
ここで失敗すれば、
照射に『否定』を乗せられない。
「さて、それでは始めようか……最初で最後の……照射合戦を」
バーチャの宣言が、
次の段階への合図だった。
「……ふぅう……」
センキーは深く息を吸い、
吐き切ると同時に、両手の感覚を固定する。
否定の性質を、決して逃がさないように。
真剣に、死ぬ気で集中していくセンキー。
対して、バーチャは楽しげに笑っている。
この時点で、すでに勝敗の一端が見えているかのように。
一瞬だけ、静かな間が産まれた。
風も、音も、魔力の流れすら止まったような、
張り詰めた無音。
そして、
「異次元砲ぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」




